<   2007年 12月 ( 5 )   > この月の画像一覧
『無なり』のムナーリ。
e0120614_17174791.jpg

'07.Dec.27.
e0120614_12301580.jpg

 師走の忙しい時間をぬけ、板橋美術館に足を運んだ。わたしがグラフィックデザインを目指すきっかけになった、巨匠ブルーノ・ムナーリの展覧会がやっているためである。19才の頃、一度だけ友人を訪ね近くに来たことがある。閑静な住宅地の中、静かな森に囲まれ美術館はある。寒空の下、人気はなくひっそりとそれは建っていた。来年の1月半ばまでの開催なのだが、持ち越しはしたくなく、慌てて出かけて来た。思っていたほど大きなスペースではなかったが、ムナーリのすごさを感じるには充分すぎる作品たち。絵本はもちろん、その原画やアイデアをまとめたラフがところ狭しと並んでいた。グラフィックだけでは満足出来ず、あらゆるジャンルの壁を超えて作品を創っていたムナーリ。晩年もそのエネルギーは衰えず、それどころかますます増していたようである。本当にすごい!ムナーリの作品を見ていると、自分も含み、いま世に出ている新しいとされるグラフィックの作品たちは、その後をただ追っかけているだけに思えるのは私だけだろうか?柔らかい発想力に声もでない。私がデザインを目指すきっかけになった作品「きりの中のサーカス」もそこにあった。晩年のムナーリの映像が会場で写し出されていたが、その瞳がこどものように無邪気だったのが印象的であった。こんな人はもうぜったい出てこないのだろう・・・。

 最後に展示作品の中に、武満徹が作った打楽器奏者のための図形楽譜「ムナーリ・バイ・ムナーリ」がある。ムナーリの「読めない本」に手を加え作られたそうだが・・・。傍にコメントがあり、こう書かれていた。武満は「奏者は色を聴き、メッセージを全身で送りだし、永遠の時空間を『無なり』へと変貌させる」と語っている。と記されていた。ムナーリの想像力の源はまさに、この『無なり』から生まれているのだと思う。

e0120614_12504154.jpg
B R U N O M U N A R I
生誕100年記念 
ブルーノ・ムナーリ展 
「あの手 この手」
●12・1(土)→1・14(祝) 
9時30分→17時
●板橋区立美術館 
年末年始
(12月29日→1月3日)休館

[PR]
by eddy-web | 2007-12-28 12:32 | 展・覧・会 | Comments(0)
あぁ、山崎ハコの哀歌。
e0120614_11443992.jpg
07.Dec.18.

 友人の紹介ではじめた、みなみらんぼうさんのコンサートフライヤーデザイン。暮れに毎年行われる、らんぼうさんの通年行事だが、今年もお手伝いをさせてもらった。そのおかげで今回も招待状が届いた。らんぼうさんは最近はシンガーソングライターというより、作家のイメージが強いかも知れない。しかし毎年コンサートを開いて、中高年の人たちにひとときの安らぎをくれる。昭和20年代生まれのわたしは、まさに青春まっただ中、らんぼうさんの「ウィスキーの小瓶」を良く口づさんだものだ・・・。昨年はゲストに小椋佳さんが出演し、一度で二度おいしい気分になった。らんぼうさんとの絶妙な話術のやりとりで大いに会場をわかせた。もちろん歌は最高!!そして今年・・・。あの山崎ハコさんの登場。彼女もまた70年代にデビューしたフォークシンガーで、多くのファンの心をその歌で魅了したひとりである。小さく細いからだで、全身から絞り出すような歌はいまも健在。コンサートのなかばに、3曲ほど歌ってくれた。わたしはふかくにも最初の曲「織江の唄」を聞き、涙で頬を濡らしてしまった。もともと涙もろい自分だが、年のせいか堪えることがぜんぜんできなくなっている。むかしと変わらないその歌声が全身をゆさぶり、いろいろなことが頭の中を駆け巡ったからだろう。この唄は映画「青春の門」の主題歌であった。この本のことや、自分の青春や、当時のことが一瞬で甦りこんなことになったのだろう。ハコさんは一時わたしたちの記憶から消えた。時代の流れのなかの出来事かも知れない。でも彼女は歌はもちろん、舞台に立っていたり、活動を続けしっかり生きていた。すごくうれしい。さっき変わらない歌声と言ったが、いや以前にも増しその歌は強くエナジーを発していた。彼女は昨年、30周年を迎えたという。きっとその30年の重さが、さらに加わったのだろう。とにかくとてもいい気分になり、いい時間を過ごした。

e0120614_117325.jpg   話は変わるが、いまもむかしのLPレコードを200枚ほど持っていて、その中にハコさんの「人間まがい」とらんぼうさんの「武蔵野詩人」がある。大切なたからものである。コンサート会場でハコさんの記念アルバムが売っていたので、もちろん買いサインをいただいた。その日は家で夜中にそっと、むかしを思い出しながら彼女の唄を噛み締め、ふたたび過ごしたわたしである。
[PR]
by eddy-web | 2007-12-26 10:57 | ひとこと・ひとごと・ひとりごと | Comments(0)
理髪店のおかあさん
e0120614_1146871.jpg
07.Dec.14.

 以前に一度書いた、田町の床屋の話しをしよう。田町といっても厳密には芝浦である。海に近いすこし閑静な場所にその店はある。わたしは若者とは違い、美容院より理髪店である。そのお店に通いはじめ、かれこれ14〜5年になろうかと思う。知人から親戚がやっていると紹介され、通いはじめた。お店はもうすぐ60才になろうとする、ご夫婦と娘さんで切り盛りしている。もちろん散髪が目的なのだが、ご夫婦に会うのも実はひとつの楽しみ・・・。旦那さんは若い頃、きっともてたにちがいないロマンスグレーの髪をした伊達男。おかあさんは、やっぱり若い頃はさぞかし可愛い娘にちがいない、ポッチャリの明るい看板娘。いやもう娘とはいえないが・・・?いや失礼。わたしとそんなに変わらない年なのだった。
 今日は、このおかあさんの話。実に明るい性格の人である。行くとわずかな時間だが、とても癒される。わざわざ4〜50分かけ通うのは、それだけの意味があるからだ。椅子につくなり、「さぁ、今日はどんな風にしようかな?!」なんて平気で言っちゃう・・・。お客と言うよりは、実験台。気が若く、いつも新しいことをしようとしている。自分はそう言うとこが好きなので、いつもおまかせ。旦那さんは職人気質で、おかあさんは常にチャレンジヤー。なかなかの夫婦バランスである。おかあさんの今日の話題は、ともだち仲間といつも行くカラオケ店での話。おかあさんは自分のことを、ず〜っと物静かなおとなしい性格だと思っていたが、仲間から「あなたもう少し静かにできない!!」って言われたらしい。お酒も入っていることだろうから、よくある話である。それでも自分はそんなことないと、思い続けていた。ある日カラオケ店の主人が帰り際、「はい!これ!!」ってカセットテープを手渡したとのこと。何か解らず家に返って聞いてみると、その日の仲間たちとの会話が入っていた。聞いてみると30分たっても40分たっても、自分の声しか聞こえてこない・・・?結局最後まで自分の声だけが・・・。と言って大きな声でケラケラ笑いだした。そして「自分のことって、ほんと解らないものね〜っ!」とひとこと。そこから急に血液型の話しになり、「わたしAB型なんだけど、A型にすごく近い自分と、B型にすごく近い自分がいるのよね」て言って、また大きな声で笑った。どこまでもおおらかな人。なんかとっても元気が湧いてくる。帰り際、ひとしきり話しをしたあと急に「あっ!ごめんなさい。これからいい韓国ドラマがはじまるの!」とあわてて店の上にある自宅に帰っていった。玄関口でわたしを見送りながら、ご主人は言った。「あれは長生きするよ!」わたしは笑いを噛み締めた。いつまでも元気でいてほしいと、心から思うわたしである。
[PR]
by eddy-web | 2007-12-21 15:29 | ひとこと・ひとごと・ひとりごと | Comments(0)
ふたり。
07.Dec.8.
 大切なふたりの友人が、時を同じくし展覧会を開いている。同じと言っても少し時期はずれているのだが・・・。
 ひとりはイラストレーター&作家の中村みつをさん。10月の個展に引き続き、モンベル渋谷店にて中村みつを展『山のひとりごと』をやっている。今までに書き溜めた作品を一同に展示している。モンベルは、山関連の商品を販売しているお店。中村さんは大の山好きでも知られているが・・・。と言うことで作品は山中心のものでまとめられている。日本や海外の旅で印象深い風景を、みつをタッチでやさしく描いている。渋谷にお立ち寄りの際は、すこしゆったり時間を過ごしてみてはいかがですか?渋谷の一角にできたオアシスに・・・。
 
そしてもうひとりは、木馬作家の太田氏である。一度ブログで紹介したのを覚えていた方、本物に出会える時が来ました。ぜひ会場にあしを運び、彼の木馬たちに会ってやってください。みんな可愛い連中です。ひとつひとつ個性豊かなな上、手作りのやさしさが伝わってきます。子供さんを連れていってあげると、木馬たちも喜ぶと思います。

展覧会のお知らせ-その1
中村みつを展『山のひとりごと』
これまで描いてきた山の世界を展示します。
モンベル渋谷店を皮切りに、奈良(1月)、諏訪(2月)、町田(3月)、
名古屋(4月)と巡回します。

作品は主に色鉛筆、水彩、銅版画などで描かれ、読売新聞夕刊に
好評連載中の『みなみらんぼうの一歩二歩山歩』をはじめ、
新刊の絵本『ビビ』、それに出来立てほやほやの、
お散歩エッセイ『お江戸超低山さんぽ』の原画も出品予定です。
さらに初めての試みである屏風絵も展示します。e0120614_10503073.jpg


◆会場:モンベルサロン
TEL/03-5784-4005
http://store.montbell.jp/

◆巡回展スケジュール
●渋谷店:12月1日〜24日
TEL/03-5784-4005
営業時間 10:30〜21:00
12/7.9.12.13.16.22日と一時休室している時間帯がございます。
詳しくはお店までお問い合わせください。

【アクセス】
■ 渋谷駅より徒歩8分、東急ハンズ向かい側です。
●奈良店:08年元日〜27日
TEL/0742-36-7452
●諏訪店:2月2日〜24
TEL/0266-71-1577
●グランベリーモール店(町田):3月1日〜23日
TEL/042-788-3535
●名古屋店:4月1日〜5月6日
TEL/052-265-2080

展覧会のお知らせ-その2
“傷だらけの木馬”展
12月8日(土)〜18日(火)
13:00〜18:30(水曜日休廊)e0120614_10512778.jpg
●ギャラリー ローラン
武蔵野市吉祥寺南町4-20-3
TEL/0422-48-8110
Fax/0742-41-6225
http//laurant.whitesnow.jp
JR・吉祥寺駅 南口下車、
徒歩10分 
井の頭線・三鷹台駅下車、
徒歩8分
[PR]
by eddy-web | 2007-12-12 10:34 | 展・覧・会 | Comments(0)
よもやまシネマ-3 椿三十郎
07.Dec.10.
e0120614_13402868.jpg
見たくてしょうがなかった映画を見た。森田版「椿三十郎」である。黒澤監督にどう挑むのか、と野次馬根性で見ている自分も実は少しあった。しかし森田監督、お見事の一言である。オリジナルを大切にしつつ、自分らしさを存分に出し、楽しんで創ったようである。主演の織田裕二が、どんな三十郎を演じるのか?監督と同じに、三船三十郎に挑む彼もまた、大変だったと思う。ある番組でこの映画のプロモーションを兼ね、俳優陣のインタビュウーをやっていた。織田はそこで脚本のすばらしさを語り、全然古さを感じない作品だと言っていた。むしろ新しささえ感じるとも・・・。あと三船さんを意識しないというのは嘘になるが、あくまで自分らしさを出すことをこころがけ演じたといった。はじめ少しオーバーな感じを受けたが、これは計算された森田演出で、全編誇張した創りになっていた。まさにエンターテーメント。脇を固める俳優たちも、良い味をだして大いに笑わせる。音楽も昔のままで、懐かしさがこみあげた。最後の有名な決闘シーンも、いろいろな問題をクリアし違った意味で、迫力のある殺陣になっていた。二本の「椿三十郎」は同じでありながら、同じではない作品である。わたしはどちらも大好きである。e0120614_13523079.jpg
あっ!そうそう、ちょっとひとことだけ。襖を開けるシーンが何度かでるのだが、やたらオーバーでコントを見てるような気分になった。あと、若侍を演じた俳優たちがとても、新鮮。初々しさと緊張感がしっかりはまっていて、とても良かった。松山ケンイチ以外、みなオ−デションで選ばれたそうである。最後にもうひとこと。玉緒さん演じる奥方の名ゼリフ「あなたは抜き身の刀のようなひと。よくきれる」「でもほんとうに良い刀は鞘に納まっているものですよ・・・」。これはほんとうにこころに残る。わたしはやはり、まだ三十郎。いや五十郎である
[PR]
by eddy-web | 2007-12-12 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)



エディデザイン室
by eddy
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
最新の記事
カテゴリ
以前の記事
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 06月
2007年 05月
フォロー中のブログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


logobr.gif