カテゴリ:よもやまCINEMA(映画の話)( 417 )
よもやまシネマ404 “ローズの秘密の頁”
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2018.6.15


さて、はしご2本目の作品です。こちらは今回観たかったメイン。内容はともかく、観たかった要因は主演女優のルーニ・マーラ。この女優さんは観る度、その魅力でわたしを惑わす。はじめて観たのが“ドラゴンタトゥーの女”。実ははじめてとは言ったが“ソーシャル・ネットワーク”でも観ていたが、それほど印象がなく後に彼女がその人だったことを知りました。“ドラゴンタトゥーの女”のリスベットの役があまりにも強烈なインパクトゆえ、この時彼女の名を心に刻んだ。それ以来彼女の名が出る度、出演作品になぜか引かれ映画館へと足を運びました。彼女は期待を裏切らない演技をいつも魅せ、観る度に彼女に引かれていきました。それを決定づけた作品はケイト・ブランシェットとW主演した、“キャロル”で、完全に彼女の匂い立つ魅力に圧倒され大ファンに・・・。
“ローズの秘密の頁”は2年前に公開されたもの。見逃してしまったが、今回鑑賞することができたことに見終わった後、こころから実感したわたし。その年に公開された“ライオン~25年目のただいま~”でも、恋人役で堅実な演技力をみせましたが、共演のニコール・キッドマン(養母)があまりに素晴らしい演技をし話題をさらってしまいました。ですが、今作品を鑑賞し、やっぱり彼女の才能と美しさに触れ間違いなくこれから映画界を牽引していくであろうと確信しました。
ストーリーは第2次世界大戦時のアイルランドが舞台。ピアノの旋律が静かに流れる中、やや重苦しい雰囲気ではじまる。プロパガンダの波に呑み込まれながらも愛を貫き、最期まで闘い抜いた女の生涯を描いたサスペンスである。主人公ローズは赤ん坊殺しの容疑で告発され、精神病院で40年以上も暮らしている。彼女はそれを否定続けていたが、病院の取り壊しが決定したのを機に主治医グリーンと知り合う。そして物語は時間を巻き戻し、過去への旅へと誘う。空の色が冷たい北の青さを写し出し美しい。その風景にピアノの旋律が重なり合い、静けさの中で迫り来る戦争の足音がじわじわと迫り来る。息を潜め見入るわたしは、知らず知らず画面へと吸い込まれていきました。現在と過去が交差し写し出され、物語の核心へと少しずつ近づく展開はオーソドックスな手法だが堅実で上手い。主人公のローズを演じた二人の女優さんが、本当に素晴らしい。晩年のローズを名女優ヴァネッサ・レッドグレイヴ、そして若き日のローズをルーニー・マーラがそれぞれ演じました。二人ともローズの深い愛と、こころの葛藤を見事に演じ女の強さと優しさをみせてくれました。ラストはなんとなく、予想した通りになりましたが大満足。アメリカの評論家には酷評され、作品は「ページに記されたままの方が良かった」と思わせると皮肉なコメントがよせられたと聞きました。原作とよく比較されるのが映画の宿命。これもどうやらその口らしいが、わたしは感動しました。100人いたら100とおりの見方があり、100点満点を取るのは不可能。それでもわたしは、ひとりでも観客のこころに届けば、それはもう良い作品だと思っています。レッドグレイヴの味わい深い演技と、マーラの豊かな表現力に大拍手。マーラは今まで観た作品で、一番美しく輝いて、わたしのこころの中に鮮明に焼き付きました。これからも多いに活躍し、新しい魅力をまたみせてほしいと願うわたしです。


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by eddy-web | 2018-06-20 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ403 “ロング, ロングバケーション”
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2018.6.15

しばらく忙しく、映画鑑賞の時間がとれずにいた。やっと落ち着きいざと選んだ作品は、見落としてしまった2作品。前にも言ったことがありますが、一日に2本の鑑賞はじつにきつい。年のせいか集中力が持たない。泣き言を言って恥ずかしいが、作品を充分堪能するにはゆとりが必要な年齢になってしまいました。
そんなことでギンレイ(飯田橋)に足を運んだわたし。1本目を見終わると、いつもより何故か気持ちが高揚し久しぶりのハシゴ。若い頃は1日5本ハシゴした事があるわたしだが、まだ少しだけエネルギーが残っているようだ。
さて、1本目の作品“ロング・ロングバケーション”の感想からはじめます。
物語は人生の終りが近づく50年連れ添った老夫婦の、アメリカ縦断の旅を通して幸せの形とはを描きだす。最近TVや雑誌などでよく取り上げられる「終活」を、考えさせられる作品はラストでより深く胸に突き刺さり考えさせられる。自分自身が考えはじめる年齢になり、このテーマはひとごととは流せない。終始ユーモアたっぷりに綴られる物語ゆえ、ラストの締めくくりは強くこころに刻まれた。自分だったら?と考えさせられる作品は、改めて終活を考えさせられる時間をもらいました。
主演の二人があまりに素晴らしく、役と自身(本人)が重なりまさに名演技で胸を打つ。妻エラを演じたヘレン・ミレン(72歳)。だれもが知る名優さんは、多くの賞を手にしている大ベテラン。3年ほど前見た“黄金のアデーレ・名画の帰還”でも、圧巻の演技力で強い存在感を残しました。今作では夫を包み込む深い愛を、時にユーモアチックに時に内に押さえ複雑な胸の内を完璧に魅せてくれました。表現された深く強いその母性愛は、彼女の人生の深さゆえににじみ出てくるものと感じさせるものでした。年をとってもこんな可愛い女性がいるのにふれ、わたしもそうなりたい(無理だろうなぁ~)と思いました。こんな伴侶に恵まれた人は、間違いなく幸せ者。
かたや夫ジョンを演じたのが、往年の名優ドナルド・サザーランド(82歳)。わたしがはじめて彼と出会ったのは1970年の作品“M★A★S★H”。朝鮮戦争を背景にした物語は三人の軍医を描いたブラック・コメディ。70年代を代表する作品となった映画は、多くの賞を受賞し映画史に残る名作になりました。当時わたしはそのノリについていけず、アメリカって自由を通り越しメチャクチャだと思ったことが思い出される・・・。内容もさることながら、三人のキャラがあまりのも強烈で、その時代の寵児となったひとりがサザーランドそのひと。あれから約50年、イイ年の重ね方をし渋い俳優さんになりました。いまも現役バリバリで“ハンガーゲーム”ではアクの強い演技を披露し元気な姿を見せてくれています。
この二人が熟年の老夫婦を、実年齢で演じてみせる物語は繊細で深い愛に満ちあふれ観るものに「人生の終わりかた」を問いかけます。あなたはどんな人生の終わりかたをしたいですか?
わたしはいつかは来るその時、“幸せな人生”だったと思えることを目指し、もう少し頑張ってみようと思います。


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by eddy-web | 2018-06-18 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ402 “ビューティフル・デイ”
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2018.6.12

久々に五感をねじ伏せられた作品に出会ってしまいました。第70回カンヌ国際映画祭にて、「脚本賞&男優賞」のW授賞をはたした話題作“ビューティフル・デイ”がそれ。観る前はベッソン監督“レオン”のイメージをもって挑んだのだが、それとは全く違う感覚の観たことのない新世界がそこには広がっていました。ジャンルも当てはまるものもなく、いろいろな要素が含まれていて、いままで感じたことのない衝撃の連続。感性にジワジワと染み込んで、まるで全身がウィルスに浸食されて行くような感覚を覚えた・・・。映像、音楽、音響効果、脚本、そして俳優。どれをとっても隙が見つからない。この感覚は何なんだろうと、息が詰まる想いが最期まで続く。
サスペンス、スリラー、バイオレンス、ヒューマン、それらのすべてが巧みに交差しラストへとわたしたちを導く。監督・脚本・制作のすべてを担当したのは、映画界でその手腕を高く評価されている女性監督:リン・ラムジー。わたしは初めて観る、監督作品である。PG12指定の作品は、かなり際どい描写もあるが、女性ならではの視点が随所にみられけっして不快ではない。バイオレンスの描写は、とかくリアルを追求するあまりグロに限りなく近くなる。しかしこの作品は、音や音楽との組み合わせを巧みに使い、創造力を掻立てる。五感のすべて、いや第六感までもが刺激され奮い立つ。わたしには、近年観た多くの作品の中でもきわめて特別のものになった。
“ビューティフル・デイ”というタイトルがイメージにリンクしないまま、ラストへと物語はひた走る。そして最期やっとその意味に辿り着き、主人公二人のさらに続く長い人生を創造して終わりを告げる。五感の中の特に視覚と聴覚が刺激され、スリリングでたまらない傑作の誕生である。台詞が極力押さえられ説明的なところが一切みつからない。それなのに主人公二人の感覚が、まるで手に取るように不思議な疑似体験の迷路へと誘い込む。1コマ1コマの切り取られ繋がれた画面は、スタイリッシュで美しい。それゆえスリリングな内容がよりリアルさを増し、そして音にリンクした瞬間、物語の世界へと呑み込まれていく。だが、それは恐怖ではなく開放されたこころの咆哮とでもいう刹那さに他ならない。凄い作品に出会ってしまいました。この監督さんの才能は本物。まだ4作目と聞くと、その可能性は創造すら追いつきません。
いずれ時間をつくり別作品で、監督さんの凄さにも触れ確認しようと思います。
もうひとり語らなくてはいけないひと、主人公の殺し屋ジョーを演じたホアキン・フェニックス。凄い存在感は観れば納得ですが、何か匂い立つというか言葉では表せない圧倒的な迫力と、内に秘めた繊細さにこころを奪われる事間違いなし。カストロ将軍のような風貌の大男だが体系はややぽっちゃり。どうみてもいままでの殺し屋(例えばジョン・ウィック)のような研ぎすまされた感じがない。武器も何ソレっ!て感じだし、その泥臭さがリアルさを増し凄いのである。この役のためウエイトをUPし、役づくりのため監督と何度もジョーの内面を話し合い創造を膨らませたそうである。さすが男優賞の名にふさわしい名演技です。観に行ってください、損はしません。デートにはちょっと不向きかとも思いますが、解る女性なら大丈夫。ジョーのこころに触れてみてください。
P.S. 誘拐された少女役のニーナを演じた、エカテリーナ・サムソノフはまさに天使。ハードな役だが、実に可憐で美しくカゲロウのような儚さを感じさせます。ラストの台詞「今日は、いい天気よ!」は、こころに残る台詞になりました。神秘性を漂わせ、きっとこれを期にブレイクすること間違いなし。“ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ”の時にデビューした、ジェニファー・コネリーの登場と同じ感覚を覚えました。


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by eddy-web | 2018-06-13 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ401 “デッドプール2”
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2018.5.31

401 本目に選んだ作品はマーベルの異端児キャラ“デッドプール2”。マーベルはもとより、DCにも見かけないアンチヒーローのデッドプール。はじめて映画に登場したのは、X-MENシリーズのX-MEN ZEROでミュータント特殊部隊一員ウェイドとして強い印象を残した。この時からいまのキャラを彷彿させ、お喋りで減らず口をたたきウザイ存在だが気になるキャラNo.1。物語では最後、複数のミュータントのDNAを移植され生物兵器ウェポンXⅠ(イレブン)に変貌しウルヴァリンと対決し首を飛ばされた。だが、エンドロールで再生しカメラ目線で「しぃー!!」と口ずさむ。マーベルの巧みな気の持たせた演出は見事。そして数年後、“デッドプール”が登場するのである。
こうして見ていくと、すべて計算され抜擢されたスーパーヒーローなのかも知れない。数いるキャラの中でも、これほどヒーローとは言いがたい特異キャラはめずらしい。善悪に偏らないトリックスターでヴィランと言っても不思議ではないくらいアクが強い。他のキャラとは一線をかいた魅力があり、ファンも多い。汚い言葉を連発し、ふざけているように殺戮を繰り返す。そしていつもカメラ目線で、台詞をはき観客を挑発する。ブラックなギャグが限りなく口から溢れだし、ウザイが面白いといつの間にかペースに飲み込まれてしまう。なんと言いましょうか、不思議な魅力に汚染されてしまいます。今回の2では、まさに魅力爆発状態。1以上にその活躍が光り、知らず知らずファンになってしまいます。青春の頃、ちょっと不良に憧れるみたいな、そんな感じかも???
感想ですが、めちゃ面白かったです。なんか最後はいい人ぽっくなっちゃいましたが、いままで通りのおふざけキャラを貫いてと言うより、きわめてここにデップありと一時代を築いてほしいと願うわたしです。音楽の使い方も絶妙な間合いで導入され、各シーンを盛り上げ随所に盛り込まれるポップカルチャーねたに、何度もほくそ笑んでしまったわたし。コミックや映画、音楽と纏わるねた台詞の連発は好きな人にはたまらない刺激。この作品はヒーロー映画と言うよりはスーパーコミック映画というジャンルを確立させるべき作品です。一作目を観たとき、コスチュームもマスクもいまいちピンとこなく、その上軽いノリの物言いがやっぱりウザイとちょっと引いたのは事実。白い目も、何を考えているのか検討もつかず不気味だった。それがどうだろう、この二作目で完全に飲み込まれてしまった。次が楽しみでしかたない。この変態キャラから目が離せません。
P.S. 前回のキャラに加え新キャラも多く登場し、物語を盛り上げてくれますが、ケーブルを演じたジョシュ・ブローリンがサノス役(インフィニティ・ウォー)に続きピタッとはまり役でした。もちろんデップーを演じたライアン・レイノルズも最高です。素顔のシーンがでますが、カッコイイし優しい目をしています。彼はこの役と自身がとても重なっていると、インタビューで語っています。あそこまで下品ではないとは思いますが・・・。コロッサスはCGで描かれてますが、デップーと抱き合うシーンはおしりをすりすりされいやがるシーンが可愛いです。あっさりと死んでしまうX-フォースのメンバー、もうちょっと活躍を期待しましたが他のキャラが頑張ったので成仏してください。ネガソニックの恋人役・ユキオを演じた忽那汐里ちゃん可愛かったです。また出てほしいです。もう一つ言い忘れていました。大好きな映画“おみおくりの作法”に出ていた、エディ・マーサンがヒール役で最後車にはねられ終わるのですが、とても同じひととは思えません。死に方もいっしょなのですが・・・。
※最後にデップーと恋人ヴァネッサのラブシーンは、まじでぐっときてしまい、さんざん笑かされたあげく泣かされるところでした。これはマジックです(笑い)。今回の画像は、デザインが表紙を上回っていたので裏表紙。これを観て笑えるひとは、かなりの映画通です。


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by eddy-web | 2018-06-05 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ400 “午前十時の映画祭9・地獄の黙示録”
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2018.5.28

フランシス・F・コッポラ監督の映画史に残る名作“地獄の黙示録”を鑑賞。昨年からはまっている“午前十時の映画祭”。往年の懐かしい作品を再びスクリーンで観れる喜びを、全身で楽しんでいるわたし。午前10時という時間帯のためか、それとも懐かしい映画を観て青春時代の思い出に浸りたいのか劇場内はほぼ高壮年のひとたちで埋まる。それぞれの想いを胸に足を運ぶのはわたしも同じ。名作をまとめてくれるこの企画は、ファンにとってはたまらない贈り物。見落としてしまった作品をスクリーンで観られる喜び、そして昔感動した作品にまた触れる喜び。「ありがとう」の言葉しか見つかりません。
さて、400本目に選んだ“地獄の黙示録”は、39年前に公開されわたし25歳の青春真っ只中で観た思い出深い作品。作品はアカデミー賞をはじめ多くの賞を手にし、高い評価を得ての公開となったもの。ベトナム戦争を背景にした作品は数あるが、コッポラ監督の渾身の作品はそれまでには観たことのない、独自の映像表現と音響効果を駆使した贅沢きわまりない作品となっていました。独創的な脚本により、ある意味戦争映画の枠を超えてよく解らない作品としてわたしの中では残っている。その意味を39年の時を経て、確かめてみようと思ったのが今回の鑑賞理由である。
改めてこの映画のことを調べてみた。原作はイギリスの小説家ジョセフ・コンラッドの代表作「闇の奥」という、アフリカを舞台にした西洋植民地主義時代の暗い側面を描写した体験談である。この話を当時社会問題になっていたベトナム戦争に重ね、舞台背景をベトナムに移しての創作となったのが“地獄の黙示録”である。内容は戦争という極限の世界で、失って行く人間の理性の象徴としてジャングルの奥地に王国を築き上げた元軍人(カーツ大佐)の暗殺をテーマにした反戦映画である。小説の主人公クルツをカーツ大佐(マーロン・ブランド)に変え、当時の世相に反映した人間の狂気を創造豊かに描いてみせた。だれもが持っているであろう人間の中に潜む狂気。理性をも壊す究極の状況(戦争)でひとが壊れて行くさまを見せつけられる。わたしは今回再鑑賞で感じたのは、その芸術性の高さから虚像と実像の境を見失ってしまう事実。よりディフォルメされた表現に頭の中が???で追いつくのがやっと・・・。リアルだがリアルでない。そんな印象が強く残ったのは事実。前半は戦争映画で後半はファンタジーのような作品である。ただ戦争をこんな表現もあるのだ、という形で創造してみせたコッポラ監督の凄さは本物だと痛感した。そして映画監督の枠を超え芸術家になったとさえ思わせる作品は、80年代を代表する映画となった。ただ評論家たちは、この映画を傑作と呼ばず快作と呼んだのは、実に面白い話しである。
人間の犯す愚行を代表する事実が戦争。いままでもたびたびテーマになり数多くの名作を残してきた。だが、“地獄の黙示録”はどの作品とも比べようのない作品となりその名を映画史に刻みました。好き嫌いがはっきりと分かれる作品には間違いない。時間とお金がかかった作品であることは間違いない。芸術性も高くそしてエンターテイメント性も併せ持つ、まれな戦争映画であることは観れば納得である。みなさんはどうこの映画を捕らえますか?言いたいことが沢山あり、まとめきれないジレンマに襲われる。そんな作品でした。
話しは変わるがこの作品について調べてみると、エピソード(製作秘話)の面白いこと。でるはでるはのてんこ盛り。よくぞ公開までこぎ着けたものである。ひとつふたつ拾ってみると、さまざまなトラブルが続き、制作費が当初の3倍にふくれあがりと同時にその長さも大きく膨らみ編集が大変だったそうである。未公開の部分を足したものが、何度も上映されその度に全然ちがう印象を持たれたと聞きました。追加したお金はすべて監督が出したと聞き、それはそれで凄いなと正直思いました。
あと、メチャクチャ笑えたのがカーツ大佐を演じたマーロン・ブランドが撮影に待てど暮らせど表れず、来たと思ったら台詞をまったく覚えていなかったという話し。さすが大物は違う。確かにマーロン・ブランドの圧倒的存在感は、いるだけで充分といったオーラを放っていました。
みなさん映画史に残る作品、是非観てください。今日だけでは話しを語りきれないので、是非折を見てまた・・・。はじめにいいましたが、音楽と音響効果が凄く圧倒的シーンをより迫力あるものに仕上げています。エピソードの中にこの作品をオペラと称したひとがいるそうです。
制作に参加していたコッポラ夫人エレノアは、後日談で撮影半ばでコッポラ監督がまさにカーツ大佐になっていたと言っているのが制作の重さを語っています。
また、あるインタビューで監督自身「この作品のテーマ」はとの問いに、いったい何でしょうね?と答えているそうで、きっと苦労が多く行き先を見失っていたのかも???そして「芸術は爆発だ!!」の境地に達していたのかも知れません。

P.S. もうひとつだけ言わせてください。劇中、ある意味カーツ大佐より危ない指揮官キルゴア中佐(ロバート・デュバル)の台詞「朝のナパームの臭いは格別だ!」は、まさに当時のアメリカの狂気を象徴している恐ろしい言葉としてこころに刻まれました。
※今日の画像は日本で創られた駅貼りポスター。日本を代表するデザイナー石岡瑛子氏によるもので、イラストは滝野晴夫氏。2連作の一枚は傑作で、のどから手がでるほど欲しかったことを思い出します。


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by eddy-web | 2018-05-30 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ399 “孤狼の血”
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2018.5.18

何故いま、ヤクザ映画なのか?そんなことを思いながら“孤狼の血”に足を運んだ。
ヤクザ映画の代名詞となった東映の作品“仁義なき戦い”は、今なお語り継がれている実録のバイオレンス作品。1973年に第一作が発表され、瞬く間に人気を集め多くのシリーズ作品が公開され一時代を創った。その作品を手がけた深作欣二監督は、この“仁義なき戦い”シリーズで監督としての名声を不動にし今なお多くの崇拝者がいる。その中にはクエンティン・タランティーノやジョン・ウーという世界の巨匠も名を連ねその凄さを伺わせる。時代と共にヤクザ映画は影を潜め、同時に東映の一時代は終わりを告げた。当時実録のヤクザ抗争をリアルに描いた“仁義なき戦い”は、度肝をぬく迫力で良くも悪くも大きな影響を社会に与えていたのは間違いない。時代がどんどんと平和になり、映画と同じように「仁義」という名も消え、ひとのこころからも遠い世界の話になって行きました。
実録のヤクザ抗争をもとに創られた今回の作品“孤狼の血”は、原作者が柚月裕子氏でメガホンを撮ったのが白石和彌監督。原作が女性だと言うところにまず驚かされる。内容もさることながら、かなりハードな描写の連続でこの男社会を描く感性がどこから来るのかとても興味深い。白石監督は“凶悪”で日本アカデミー賞を授賞し、昨年も“彼女がその名を知らない鳥たち”“サニー/32”と立て続けに話題作を提供しています。どの作品もかなり人間の奥底にある理屈では計り知れない感情を引き出し、不愉快になるほどハードな世界を描きだす気鋭の監督さん。そんな二人が造り出す現代版のヤクザ映画に、70年代を生きてきたわたしは興味全快。今回も内容はいっさい触れません。自身の目で観てください。はたしてその感想は・・・。
近年バイオレンス作品といえば、北野監督が創ってきた“アウトレイジ”が真っ先に頭に浮かぶ。どうしてもこの作品と、今回の“孤狼の血”は比較されるに違いない。これは覚悟の上で製作されたに違いないと、見終わって改めて感じました。個人的には似て非ひなりの作品と受け止めたわたし。ヤクザの世界がベースで創られたところは共通ですが、まず男性と女性の視点の違いがあることと、もうひとつは実録ものとしての映像表現に対するエンターテイメントを追った表現の違いがはっきり現れた作品ではないでしょうか?どちらが良い悪いは、きっとファンの気持次第。両方とも好きというひとは、きっと映画が大好きなひとたち。今作もRー15指定で暴力描写は目を覆いたくなるシーンの連続。いくら松坂桃李くんがでているからと言っても、デートで観るのはシンドイと思います。観るなら男女別々で・・・。
いろんなひとの名が出ましたが、間違いなくみなさん“仁義なき戦い”という作品をリスペクトしています。時代は回るとよく言いますが、緩い今の世の中に刺激が欲しいひと、そして刺激を与えたいひと、そんなひとたちがきっといるのかも知れません。そんなメッセージを感じたわたし。みなさんはどんな感想を持つでしょうか?
P.S. 役所広司さんは何をやっても凄いということが、はっきり解りました。重たく暗くハードな話に選ばれた俳優さんたちは個性派揃い。しっかりと役に徹しその世界をリアルに表現してくれました。中でも桃李くんの頑張りは凄かったです。ここのところ意欲的にイメージを打ち破るような役に挑戦している感じが、たまらなく良いです。俳優としての志しをしっかりと持って、仕事に望んでいるそんな印象を受けました。これからも頑張ってほしい俳優さんのひとりです。
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by eddy-web | 2018-05-22 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ398 “午前十時の映画祭9/太陽がいっぱい”
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2018.5.10

ルネ・クレマン監督の名作“太陽がいっぱい”を鑑賞。名曲をバックにした作品は、何度観ても映画ファンを楽しませてくれる。誰もが知る巨匠は生涯を通し、たった17本しか作品を世に残していない。だが、そのすべてが高く評価されジャンルもサスペンス、コメディ、反戦、恋愛映画と幅広くバラエティ。まさに巨匠と言う名が似合う本物の映画人。カンヌやヴェネツィアでは、前期制作作品のほぼすべてにおいて賞を獲っているのがその証。“禁じられた遊び”ではアカデミー外国映画賞も授賞する、すごい監督さんです。わたしも大好きな監督のひとりで、ようやく大型スクリーンで“太陽がいっぱい”を鑑賞でき感激で「胸がいっぱい」です。
さて、往年の名作をあらためて鑑賞するとそこには観た頃の思い出が甦り、映画の主人公と自らの青春時代が交差し懐かしい想いが沸き上がる。ニーノ・ロータの名曲が流れた瞬間に、タイム・スリップしてしまう感覚がたまりません。主人公トムを演じたアラン・ドロンの美しさは当時もそうでしたが、いまなお追随を許していません。カッコイイ男優は多いが、美しいと形容することの出来るのはこの人以外見つかりません。共演のモーリス・ロネもかなりの美男だが、なんだか別次元の美しさです。この作品でデビューを飾ったマルジュ役のマリー・ラフォレもめちゃくちゃ奇麗で、当時あっという間に彼女の名が世間に知れ渡りました。そんな3人が繰り広げるサスペンスは、大きく前半と後半で展開がわかれ後半はハラハラドキドキの連続。ラストは映画史に残るまさに名シーンである。ラスト近くでウエイトレスと交わすトムの言葉「太陽がいっぱいで最高の気分さ!」は、めぐり来る運命の物悲しさを象徴する名セリフとなりファンのこころに永遠に残りました。
数多くの作品に出演し、どの役でも印象に残る演技で女性ファンだけでなく男たちにも人気があった彼。わたしは“冒険者たち”や“あの胸にもう一度”などが好きな作品で、一番は“さらば友よ”です。
憶うにクレマン監督はこの映画もそうだが、実に見事に音楽をからめ永遠に語り継がれる作品を残したものです。“禁じられた遊び”しかり“雨の訪問者”しかり。たが実は“太陽がいっぱい”の曲を創ったニーノ・ロータは、作品に携わったことに強い不満を残していたとある記事で知りました。クレマン監督は上から目線の親方タイプで「この作品に合う曲を作れ!」と言い放ち、ロータが立腹したというエピソードが残っています。こんな名作と名曲に、まさかこんな話があるなんて・・・???
まぁ、そんなことどうでも良い事です。この作品にこの曲があっての名作なのは間違いないことですから。

P.S. 1999年にマット・デイモン主演で公開された“リプリー”は、“太陽がいっぱい”のリメイクだそうですが残念ながら観ていません。あまり評価は高くないようですが、一度観て見たいと思います。

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by eddy-web | 2018-05-11 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ397 “ゲットアウト”

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2018.5.04


昨年見逃した作品“ゲットアウト”を観に、ギンレイへ。二本立てのもう一本は“IT”で、すでに鑑賞済み・・・。二本を見る元気はすでになく、観たかった作品に集中です。あまり前もって情報収集をしないわたしだが、このホラー作品は別。何故かと言えば、まず今年度アカデミー賞脚本賞を獲得したこと。ホラー作品が獲るのはめずらしいのではないだろうか?それともう一つは、監督・脚本のジョーダン・ピールが第一回監督作品の上、本業がコメディアンだということ。さしずめ日本の北野と重なるのである。テーマは差別問題を軸にしたホラー映画となれば、すべてが興味深い。予告編でもなにか目には見えない異様な雰囲気が漂い、いても立ってもいられないほどの期待感がわたしを突き動かしたのは事実。平和になったかのような社会だが、いまだ根強い差別の現状。昨年観た”デトロイト“は実際におきた事件を取り上げリアルな表現で差別問題をあらためて問題提議したばかり・・・。今作はホラー仕立てという表現を使い、いったいどんな形で人種差別を訴えてくれるのかと身構えての鑑賞になった。
オープニング冒頭から、何やらあまり気持ちよくない音楽が流れこれからはじまるであろう物語への不安感が高まる。怖いもの見たさを刺激する絶妙な演出に、ワクワクドキドキ。主人公は黒人の若手新進写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)。端正な顔立ちが印象的で目力が半端ありません。白人の恋人ローズ(アリソン・ウィリアムス)と、彼女の家を訪れ交際を認めてもらいに・・・という滑り出し。ローズの楽観的な想いとは裏腹に、クリスは言葉では言い表すことのできない不安をかかえての旅立ち。出てくる人々のなんとも言のえない雰囲気が、不気味である。言葉では親愛の情をあらわしてはいるのだが、どこか嘘くさく無表情。完全に孤立状態のアウェイで、次々に起こる不可解な出来事。見事な脚本で、知らず知らずに画面の中に引き釣り込まれる。名作“シャイニング”や“カッコウの巣の上で”のような不安をじょじょにあおっていく演出は本物。音響効果の使い方も絶妙で、何度もドキッとさせられる。まさに一級品のホラー作品であることは間違いありません。ただ怖がらせるだけでなく、しっかりとアメリカが抱える根強い人権問題をベースにじわっと考えさせられる。物語の良さもさることながら、出てくる俳優さんたちの甲乙つけがたい不気味な演技力。終わってみれば人種問題の枠からはみ出て、もっと大きな人権問題へと変わっていく。もし自分がこの状況に追い込まれたら、どこまで自分を保つことができるだろうか?
ラストは言えませんが、一級品のホラー映画をぜひ自分の目で確かめてください。
P.S. 実は調べて解ったことが・・・。ラストの別バージョンが存在すること。実はわたしはラストが少々出来すぎな感じを抱いていました。そうした中、別の切り口でのラストが存在したことを知り個人的には多いに納得。近々DVDが発売になり、二つのラストが用意されているとのこと。観てはいませんが、もう一つのラストの方が私的には納得かも・・・。
それでも、監督が最近起きている差別事件を重く受け止め出した結論と聞き、何も口を挟む事が出来なくなりました。当事者が一番悩み打ち出した結末に、だれが異論を述べられるでしょうか?そんなことをこころの片隅におき、観るとまた違った印象を受け考えさせられる作品です。
※作品半ば「GET・OUT」という言葉を浴びせられる主人公ですが、思うにこれは嫌って発した言葉でなく“ここにいちゃ駄目!”と言っているように聞こえます。

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by eddy-web | 2018-05-08 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ396 “アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー”
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2018.5.02

MARVELがやっちゃっいました。“アベンジャーズ”の最新作インフィニティ・ウォーが予想を裏切る展開で、だれもこんなラストを想像していませんでした。少なくてもわたしは・・・。勧善懲悪の世界を描くアメコミヒーローの今作品は、嘘みたいな完全ボロ負けの物語。だれがこんな終わりを想像した事でしょう。がしかしである、個人的には大満足の面白い作品になり次回作への期待がMAXです。登場したヒーローたちが多い分中身が薄まるかと思いきや、キチッと各キャラにもしっかりスポットをあてた構成にはファンのこころにも届きました。ルッソ兄弟の監督手腕が光ります。それぞれの絆が描かれ、ウルっとくるところも・・・(ブラック・ウイドーとブルース(ハルク)の再会)。それにしても今回登場のビィラン(悪党)が実に魅力的に描かれています。ヒーローVSヴィラン。これは双方に力(能力)があって成立する図式。相手が強ければ強いほど、対決がより魅力的になりその世界感が大きく拡がる。最近のアメコミ作品の多くは、ヒーローよりもヴィランを個性的かつ魅力的に描いたものが多い。例えば“マイティ・ソー”に出てきたヘラ、“ブラック・パンサー”のキルモンガーなど、みな主役を食ってしまう存在感でした。ヒーローがカッコイイのはヴィランあってのこと。これは紛れもない事実。今回はスーパーヴィラン(最強・凶)と称されるサノスが登場し、その圧倒的パワーにアベンジャーズがタジタジになる。えっ!!嘘~っとだれもが目を疑う。その上物語はそれだけにとどまらずサノスの内面にまで深く切り込んだシナリオ構成。実に面白い脚本です。納得の内容で1年後くらいに公開されるであろう次回作の、巻き返しに期待が胸膨らむ。負けることがあるから、より強くなるのはまさに人間もいっしょ。もう勧善懲悪のストーリーではお客は満足しないのだ。弱さをみとめ克服していく姿こそが、美しく真のヒーローなのかも知れない。DCコミックでスーパーマンが死んだ時、みなが悲しみ悲嘆に暮れたことが蘇る。この世に絶対はないと言うことが描かれ、それによりリアルにみなが何を必要としているのかに気づき絆を深める。それこそがヒーロー作品の本当の魅力なのである。
さて、みなさんこのアメコミ超娯楽作品を一日も早く見に行きましょう。「えっもう観た!それは失礼いたしました。」じゃ、観てないひと早く劇場に・・・。
※KBくんは観たかな?今度また飲みながら盛り上がりましょう。その日が楽しみです。
P.S. 全然違う話で申し訳ありませんが、ここ数日寝不足が続いています。原因は世界卓球(団体)のTV放送観戦。残念なことに昨日男子が準々決勝で敗れた。メチャクチャ悔しくて朝まで眠れませんでした。1点を争う攻防は息が詰まるほど緊張感の連続。まさに死闘でした。日本選手は水谷選手を筆頭に素晴らしい戦いをしましたが、敗れてしまいメダル獲得を逃してしまった。今回注目を集めたのが「チョレイ!!」の気合いでお馴染みの15歳張本選手。敗戦後の「全部、一からやり直さないと」の彼の言葉に、凄さと大きさを感じました。頑張れ!張本選手!!君が卓球界の真のヒーローになる日をず~っと応援しています。
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by eddy-web | 2018-05-05 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
よもやまシネマ395 “ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男”
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2018.4.25

昨年度のアカデミー賞候補作品の中で、わたしの中ではもっとも感動した一作になりました。ゲイリー・オールドマンの主演男優賞は、完璧な演技で文句のつけようがない授賞です。これほど重厚感溢れる作品には、とんとご無沙汰。“ペンタゴン・ペーパーズ”も良かったですが、わたしは脚本や照明、音響効果、映像、そして演技とすべてにおいてこちらに軍配を上げたいと思います。作品賞こそ逃したが、個人的にはこちらの方が好きです。好きという判断基準なら“3ビルボード”も甲乙つけがたい作品です。「いずれにしても主演男優賞は意義なし!!」拍手です。凄すぎて称賛の言葉すら見つかりません。“レオン”で出会ってからず~っと見て来た個性派の俳優さんは、とうとうやってくれました。「良い仕事してますねェ~~!!」って誰かみたいに言っちゃいます。脇役でいつも存在感をみせてきた地道な苦労が、ようやく実を結んだそんな瞬間です。そう言えばかつて彼の事を「カメレオン・アクター」と呼んだひとがいるそうです。これこそ、最高の褒め言葉かも知れません。
さて、作品は実在のイギリス首相の生き様を、第二次世界大戦の戦時下ナチス・ドイツとの和睦か徹底抗戦かの決断に迫られた時の首相の苦悩をリアルかつ繊細に紡ぎ出す秀作。物語の冒頭、追いつめられた当時の首相チェンバレンが退任に追い込まれ後に白羽の矢がたったのが、この物語の主人公チャーチル。決して評判のいい人物とは言えないがその雄弁さは、だれもが認めそれゆえに敵視するものも多かった。当時その言動が高圧的で「政界一の嫌われ者」とさえ言われていたそうである。確かに作品の冒頭で、自分の思い通りにならないとやたら怒鳴りまくるシーンが映し出される。正直「こう言うタイプは大嫌い」と、自分の頭の中を過った。ところがあれよあれよとその人間味溢れるこのおじさんに、どんどんと引かれていく自分がいつの間にかいたのである。色々なひととの会話シーンがとても深く味わい深く描かれています。例えば妻クレメンティーンとの会話は、毅然とした妻の言葉にたじたじのチャーチルの少年のように無邪気で可愛いし・・・。かと思えば後半、国王ジョージ6世との腹を割った会話には男同士の信頼が生まれる瞬間を映し出す。そして、秘書のエリザベスが自分の立場をわきまえずに、いまイギリスはどんな状況なのかを問うた時の行動と彼女との会話。机の上に置かれた写真を観てそれが彼女の兄であり、ダンケルクで戦死したことを告げられ時のチャーチルの表情に涙が止まりませんでした。いま思い出しても涙が溢れてきます。あのときの慈愛に満ちた瞳の奥の輝きは、一生忘れる事のできないシーンとなりました。あげたら切りのないほどの名シーンの連続です。はじめて乗った地下鉄の中での民衆との会話や、ラストの議会での和睦か徹底抗戦についての決意表明演説は圧巻である。4分間にも及ぶその演説は、民衆の声に耳を澄ませ、葛藤と苦悩を抱えながら導き出した彼の言葉。国を奮い立たせた瞬間が鮮やかに甦り、いま観ているわたしたちの心さえ激しく揺さぶります。その作品を観た時、昨年観た“ダンケルク”がリンクしイギリス本土では戦場と同じくらい大きな闘いが起こっていたのだということを知りました。
余談ですが、もうひとつ思い浮かんだ映画があります。“日本のいちばん長い日”です。2015年版で、もう4年ほど前の作品ですが世界大戦末期の日本が降伏を迫られ決定をくだす数日間の出来事。この時の首相の鈴木貫太郎内閣総理大臣と、昭和天皇の姿がチャーチルと国王の覚悟と決断を思い出させ、国を背負うことの重さを痛感しました。
なんだか、いま日本でもめている事が失礼ながらチッポケ過ぎて哀しくなりました。アッ!!ちょっと言い過ぎました(失礼)。すみません国民に取っては、小さい話ではありませんでした。ある意味、日本は平和だという証なのかも知れません。あまり誇れませんが・・・。

P.S. 演技が全てと言える作品ですが、忘れてはならないのがメイクアップでアカデミー賞を授賞した辻一弘さんの話。話すと長くなるので手短に・・・。友人でもあるオールドマンから直接、オファーを受けてのスタッフ入り。この時点でその仕事からは離れ別の仕事をしていた彼に“君じゃなきゃ、ボクはこの仕事を受けない”と言わせた絆話。こちらも感動しました。称賛するのはメイクだけでなく効果音の巧みな使い方や、画面構成の中で黒をバックにしたトリミングなど総合的にみても重厚感のある傑作です。絶対のお勧め作品です。今日までの公開ですが、頑張って何処かでやっているところを探し観てください。お願いしちゃいます。ヨロシクです。
※チャーチルの演説は、のちにノーベル文学賞を受け、彼は伝説のリーダーになりました。彼の残した言葉の一遍「成功も失敗も終わりではない。肝心なのは続ける勇気だ。」


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by eddy-web | 2018-04-26 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)


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