

09.Jan.28
年明け初の映画鑑賞。随分長い間、見なかった気がする。選んだのは話題の2部作、ゲバラの映画第一部「チェ28歳の革命」。実はこれを見る1週間ほど前、若き日のゲバラを描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観て、とても感動をし余韻にひたりながらの鑑賞である。なぜ再び、ゲバラなのだろうか?言う間でもない、世界が彼のような人物を必要としているに違いないからだ。わたしの高校時代はまさに、ゲバラはヒーロー。学生の多くが、彼の肖像が入ったTシャツを着て街を闊歩していた。そう言えばその頃、オマー・シャリフが演じた「ケバラ」を観た記憶がある。記録に残っているゲバラの写真に本当に似ていて、それだけが強く印象に残っている。40年の歳月が過ぎて、いままたゲバラの時代が・・・。
新作の「チェ28歳の革命」はかなりドキュメント色が強く、彼の人物像にスポットを当てていた。歴史を知るにはいい教科書である。主演のベニチオ・デル・トロが実に見事、まさに熱演である。国連総会での演説シーンは圧巻。オマー・シャリフもすごかったが、デル・トロは何か乗移っている気さえする。内容ははじめに言ったように、記録を追った演出で、次の第二部「39歳別れの手紙」へと続くプロローグになっている。正直、少々物足りなさがすこし残る。だがその分、二部が待ち遠しいのはわたしだけだろうか!?キュ−バ革命を樹立した後、カストロに別れを告げ、自分を必要とする人たちを求め旅立った彼。その最後の生きざまを、はやくこの目で確かめてみたい自分がいる。
さて、ここで話しを「モーターサイクル・ダイアリーズ」に移してみよう。この映画なかなかの佳作である。若き日のゲバラとその友が、おんぼろバイク(ノートン500)に跨がり南米横断の旅をする、自分探しの青春映画とでも言おうか・・・。フーセル(ゲバラ)が医大生だったことは、周知の事実だが、この作品は大学の友人で、無二の親友アルベルトと2人で過ごした2年あまりの旅を描いている。フーセルはどこにでもいる、普通の青年。当時にしたら、まあ裕福な家庭で育ったいわいるボンボン、そんな感じである。一方のアルベルトも、ちょっとスケベなお調子者といった感じである。はじめは、でこぼこコンビの珍道中ってな雰囲気だったのだが・・・?中盤から旅を通し、いろいろな経験を重ね、何か得体の知れない憤りに、心がゆれて行くさまがジワジワと描かれる。自分探しのこの旅を通して、ゲバラが何かを掴んだことが伺える。旅の最後に訪れた、ハンセン病の施設での経験は、2人にとても大きな影響を与えたことは間違いない。とても印象に残ったシーンがある。施設で治療をこばむある女性患者と会話をする。彼女の『どうして医者になったの・・・』という問いに「人の役にたちたいんだ」と答える。そしてこう会話が続く、『時間のムダよ』。「なぜ」。『人生は苦痛よ』。「そうつらいよ、生きるために闘い続けなきゃならないからね」。このセリフのやりとりは胸がつまされる。そしてもうひとつ熱いシーンがある。24歳の誕生日の夜に、隔離されている施設を挟んだ対岸から、太河を死にものぐるいで泳いで渡るところだ。何か熱いものが込み上げてくる。あれはまぎれもなく、越えなければならない何かを、ゲバラ自身が渡った瞬間だったに違いない。なんだか旅に出たくなりました。
最後にこの映画、名優ロバート・レッドフォードが制作総指揮をしているのを、字幕スーパーで知りちょっと驚いている。彼もまたゲバラを崇拝しているのだろう。良い映画です。ぜひご覧ください。
オマケ/旅をともにした、
わが愛車(初代)。
3代目。