
'08.Aug.29

バットマンの最新作「ダ−クナイト」を鑑賞した。とても重い映画になった。前シリ−ズを完全に消去した、別の映画になっている。バットマンは道先案内人になり、ジョ−カ−が今回の主役である。究極の悪、これが今回のテ−マになっていて、こんなにも人は悪になれるものなのかと思い知らされる。きっと現代社会に潜む理不尽さを見つめて、辿り着いた作品なのだろうと思える。勧善懲悪のヒ−ロ−映画はここには存在しない。まさにバットマンからダ−クナイト(闇の騎士)と生まれ変わった。ジョ−カ−を演じたヒ−ス・レジャ−は鬼気せまる怪演である。前シリ−ズのジャック・ニコルソンはいるだけでジョ−カ−だったが、彼はいたら恐いジョ−カ−を演じきっている。この作品は、完全に彼のワンマンショ−。クチャクチャとしゃべる話し方が、耳について離れない。
バットマンはこころの片隅に闇(病み)を抱え、悪を超える悪を目指す。だが成りきれない弱さが時として、自分を追い込み悲劇を生む。それをあざ笑うかのようにもてあそぶジョ−カ−は、殺人や破壊を楽しむ史上最凶のジョ−カ−そのもの。題名のダ−クナイト(闇の騎士)はもうひとつジョ−カ−のダ−クナイト(暗闇)を表しているのかも知れない。存在してはいけない人なのか・・・?こんな人物が現れないことを祈るばかりだ。
ジョ−カ−を演じたヒ−ス・レジャ−は、08年1月若くしてこの世を逝った。「ブロ−クバック・マウンテン」などに出演し、高い評価を受けていた人物。とても残念な、そして大きな損失である。合掌。