'08.Aug.5
深夜、偶然つけたTVでドキュメンタリ−映画「ヒロシマナガサキ」をやっていた。昨年、岩波ホ−ルなどで公開された作品である。25年の歳月をかけ作られ、アカデミ−賞など数々の賞に輝いている。いつもは仕事をしている時間だが、スイッチONの瞬間から引き込まれ、いつしか正座をし見入っていた。終戦記念日が近づく度、あちこちで流れる戦争をテ−マにした番組の数々。もちろん忘れてはいけない大切な事実であり、知らなければいけない歴史である。だがどうして、その時だけ思い出したようにやるのだろうそして見るのだろう。そう思うと、今の時代や自分自身が嫌になる。
話を映画に戻そう。自分をふくめ戦争を知らない人の数の方が多い現代社会に、どうしても残さなければいけないことがあるならば、まさにこの映画に描かれた真実だろうと思う。見ていて痛かった、辛かった、苦しかった。でもそんな言葉では言い表せないほど重たい事実がそこにある。人間がおかした大罪がまぎれもなくここに描かれている。この映画は、毎日平和にあぐらをかき、それすら気づいていない自分たちに「戦争はまだ終わってないぞ!!」と胸ぐらを掴まれた気がする映画である。映画の冒頭と最後にそんな皮肉をこめた、渋谷の町や若者たちの姿が写しだされている。沢山の映像資料や写真を見せナレーションで話は進んで行く。そして広島、長崎で被爆し現在を生きる人たちが語る。言葉のひとこと、ひとことが切なく重くのしかかる。真実のもつ重さがそこには確実にある。どう頑張っても近付けないそして越えられない。「戦争や核問題」はいままで自分なりに勉強し、創作活動にも繋げてきた。また表現にも真剣に取り組んできたと思う。だが事実には叶わないことを、本当に思い知らされた。
被爆者のひとりの女性が語る「人はぎりぎりのところで、死ぬ勇気と生きる勇気を選ぶ」「妹は死を選び、わたしは生を選んだ」と噛み締めるように言った言葉が耳から離れない。またある別の男性はせっかく生き残ったのに、「人間らしく生きることも、死ぬことも出来ませんでした」とのちの後遺症(原爆症)に苦しみ、「あの日死んでいたほうが良かったかも・・・。」と訴えている。身体のこともそうだが、「なぜ、自分は生き残ったのか・・・」と亡くなった人を憶い、今なお苦しんでいる姿がとても辛く胸を締めつけた。そして体験話しの中、はぐれた母親を探し求め、ある場所でそれらしき人の焼けた姿を見つけ、触った瞬間に灰になり崩れ落ちた話の時は、涙が止めどなく流れてしまった。リアルな体験と印象がいまも、この人たちを苦しめている。その事実をわたしたちはしっかりと受け止めなければいけない。
見終わって思った、もっと平和な世の中に心から感謝をし、一生懸命に生きなければ・・・と。ぜひ、ひとりでも多くのひとに見て欲しい作品である。生意気だが見なくてはいけないと思う。人が人を思いやることを思い出すためにも・・・。
●ドキュメンタリ−映画「ヒロシマナガサキ」白い光、黒い雨、あの夏の記憶
監督:スティ−ブン・オカザキ/2007年/アメリカ/86分/カラ−
http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/
P.,S. もうひとつ思ったことがある。6年前、社会問題をテ−マに行ったポスタ−展、答え探しの展覧会「5W1H展」をもう一度やって見ようと・・・。どれだけ参加してくれる人がいるか不安だが、何かしなくてはという気持ちが強くこころを揺さぶり、じっとしていられない。
●答え探しの展覧会「5W1H展」
http://www.geocities.jp/m_n_iweb/5w1h