
'08.July.17
山村浩二監督のアニメ作品、カフカ「田舎医者」を鑑賞した。山村監督のアニメは世界で高く評価され、すでに4大アニメ−ション映画祭を制覇している。この作品もオタワ国際アニメ−ション映画祭でグランプリを受賞。以前報道番組でアヌシ−2003(仏)映画祭において、日本人初のグランプリ獲得作品「頭山」を紹介していたのを見たことがある。そこにはアニメションに独自の世界観をもち、すべての作業を奥様とふたりでこなしている姿が写し出されていた。CG全盛のアニメ界で、手作りにとことんこだわる山村監督。その作品を見ると、まさに現代への逆挑戦のように思えた。
山村作品を見るのは、今回がはじめての私。「頭山」もまだ見ていない。正直な感想を話そう。カフカと言う作家の世界もよく解らず難しいのに加え、山村監督のこだわりが重なり不思議な感覚の作品になっている。ひとことで表すとシュ−ルで重い。五感で感じ見ると言った作品だ。スタジオ・ジブリの世界が好きな人には、ちょっと難しいかも知れません。ここまでくるとアニメというより、もはや芸術。テクニックはもちろんスゴイし、細かいディテ−ルへのこだわりなどきりがない。魚眼レンズで捕えたようなシーンの表現技術など、感覚的な場面がず-っと続く。このエネルギ−はなんだろう?20分くらいの短編なのだが、とても長く感じるのはわたしだけだろうか・・・。いろいろな意味、すごい作品だ。

声の出演に狂言の第一人者を揃え、その世界観を重ねた演出は計算なのだろう。紅一点の女性ロ−ザ(薔薇)の声を、若干20歳にして芥川賞を受賞した金原ひとみさんが勤めているのも、なんとなくうなずける作品である。「頭山」を見てからもう一度、あらためこの作品と向かい合おうかと今思う自分がいる。