08.July.4
朝から気温がグングン上がり、7月だというのに真夏日。予報では30度くらいまで気温があがるとのこと。あまり良い天気なので、ぶらっと現代美術館に足を運んだ。実はここでやっている「大岩オスカ−ル展」のチケットをもらったのだが、週末までと知り慌ててやってきた。事務所に近いこの美術館。良い環境に仕事場があり、とても満足している。周辺の町「木場」は古い町並みと新しい建物が混在する。うまくそのふたつが融合している、とてもすみやすい土地である。わたしはこの町がとても好きだ。土・日の美術館はすごく混むので、仕事をちょっとぬけ足を運んだ「大岩オスカ−ル展」。ある雑誌のインタビュ−記事を読み、作品はもとより大岩オスカ−ルという人物に引かれて訪れた。
会場入り口を入るとすぐ、壁面いっぱいに「くじら」という作品が出迎えてくれる。対面に向き合う2つの作品。その大きさと何か皮肉ぽさっが妙に突き刺さる。彼は大きな作品を好んで描く。初期の作品から現在にいたる作品まで、その流れの中感じたことある。それは彼がいつも今日と言う日と向き合い、そして生きているその時間を絵筆に載せて描いているように思えることだ・・・。会場の中、彼を紹介している短編ビデオが映写されていた。見るととても平凡で気負いもなく、おおよそ芸術家とは思えないそんな印象だった。東京の下町、千住で長い間暮らしその才能を開花させた。インタビュ−では、とても正直に絵書きの生活は決して楽なものではないと、さらっと語っている。だが悲愴感はまったくない。そこが彼のすごさなのか・・・。娘さんを自転車の後ろに乗せて、千住の町中を走る映像は、平凡な幸せが伝わりと平和な気持ちにさせてくれた。今回の展覧会のポスタ−やカタログの表紙をかざった「ガ−デニング」という作品。彼が現在、制作活動の拠点にしているニュ−ヨ−クの摩天楼を鳥瞰でとらえ、その上を色鮮やかな花の大輪がおおっている。観ているとなんだかとても穏やかな気持ちになる。それはまるで世紀末を予言しているかのような、水没した町を連想させる絵。だが不思議と恐怖感はない。どんな思いでこの絵を彼は描いたのだろう。今をしっかり生き、そして未来を見つめ、まるでその時をじっと待っているかのようである・・・。他の作品も未来への警報のような作品が多い。だが押し付けたような強さはなく、静かにわたしたちの胸に響いてくる。こんど彼の作品を見るのはいつになるだろう。彼がその時、どんな風に世界と向き合っているのかが楽しみである。