
'08.Jun.26.
DVDで「自虐の詩」を観た。宣伝では阿部寛と中谷美紀が濃いキャラでハチャメチャしていて、さぞ、ギャグ満載の映画と思いきや、100%裏切られてしまった。後半は涙腺が壊れ、涙なみだ。前回「ザ・マジックアワー」宣伝の難しさを語ったが、この映画は大成功。まんまとしてやられた。はじめはマンガちっくに派手なちゃぶ台ひっくり返しの連続。パンチパ−マの阿部ちゃんのいっちゃてる感じがおかしいの一言である。中谷美紀も「嫌われ松子」のときを、さらにパワ−アップで素晴らしい。原作は漫画らしいが、こちらも読んでみたくなった。中谷美紀は劇中ほぼスッピンに近いノ−メ−クで主人公を演じていたが、松子のとき以来一皮も二皮も剥け大女優の道に入ったようだ。映画は途中、思い出の回想シ−ンが入る。ヒロイン幸江は貧しい家庭に育ち、劣等感のかたまりのような中学か高校時代の話しあたりから、わたしはどっぷり映画に浸っていた。私ごとだが自分の家もかなり貧乏で、お弁当を隠しながら食べた記憶が甦ってしまった。今思えば、それも思い出のひとつだが・・・。たったひとりのやっとできた友だちとの別れのシ−ンは、涙腺が完全に切れてしまった。阿部寛はモデルをしていた頃とは別人、最近すっかり三枚目が板につき、こちらもなかなかの不器用な男を演じきっていた。劇中、何度も空を抜いたカットが入る。澄んでいて青い。白い雲がポッカリ浮いている、なんてことのない風景だがほっとする。効果的につかわれ印象に残った。騙されたと思って是非みていただきたい作品である。こころがじわ〜っと暖ったかくなりますヨ。