
'08.Jun.17.
真木よう子。最近すごく気になる女優である。タイプかと言えばむしろ苦手な方かも知れない。しかし彼女の演技には、存在感がある。現在某TV局で、「週刊真木よう子」という番組が深夜に放映されている。わたしはそれを見て、この女優さんにはまってしまった。30分の短いドラマだが、彼女のために書き下ろした作品といっていい作品は、どれも良質である。自分の名前がそのままタイトルになるくらいだから、きっと期待されているのだろう。汚れ役はもちろん、田舎娘、訳あり女性とさまざまな役をピタッと決めてみせる彼女。どくとくですこしエキセントリックな雰囲気をもっている。そういえば、はじめて彼女を知ったのは、「わたしの教科書」というドラマだった。同性同名の俳優さんがいるので、その人と勘違いしていた自分。見れば知らない女優がク−ルで人を近付けないオ−ラをだし、教師役を演じていた。その時は鋭い目の印象だけが、強く残った。
前置きがながくなってしまったが、その彼女が初主演した作品「ベロニカは死ぬことにした」を観た。原題をそのまま使った意味不明なタイトル。まだデビュ−してそれほど立っていない彼女らしいが、初期の作品らしくとても初々しい。それでも存在感はしっかりと出している。緑に囲まれた山奥の療養所。そこで暮らす精神を病んだ人々の話である。ハ−ドなテ−マだが童話のような演出で、ソフトな感じに仕上げている。彼女が主演だが、まわりの共演者がただものではない人ばかり。相手役はイ・ワンという韓国の俳優(?)だが、市村正親、風吹ジュン、中嶋朋子、荻野目慶子、多岐川裕美、片桐はいり、そしてベテランの淡路恵子さん。これだけ個性豊かな人に囲まれたら、たいていはくわれてしまうもの・・・。だが彼女はしっかりと自分をだしてそこにいた。それにしても豪華なメンツである。患者と看護する側に別れての芝居だが、治療をする側の人の方が怪しい。まさに怪演。
作品が良いか悪いかは、観て自分で判断してもらうとし、印象には残る。最後のCGは、個人的には少し表現が安易で気になった。彼女を確かめるように観た自分なので、得るものは充分あったのだが。借りたDVDに「人情喜劇」と表示があったが、そうかなァ〜・・・??
役の名前、とわ(永遠)という名は古臭い感じだが、好きである。あと印象に残った言葉をひとつ。
「何でもあるけど、何にもない。」いま(現代)を生きている人だれでもが抱える、空虚な感覚かも知れない。それを少しづつ乗り越え「生きたいと思う瞬間」を描いている作品である。
※ブラジルの人気作家、パウロ・コエーリョの同名ベストセラーの映画化。2005年度作品。監督:堀江慶。