

2026.4.30.
約1ヶ月ほど劇場での鑑賞が無かったわたし。珍しい事でここ最近ではありえないと、自分でもびっくり。原因はただ観たいと思う作品が無かった事。公開中の作品はほぼ観ていて、心誘われる作品が残念ながら見当たらなかっただけ・・・。教え子からの一本のメールで今作の素晴らしさを紹介されたが、公開している劇場が近くにないのと、時間帯が合わずズルズル。気を取り直しやっとの思いで銀座まで出向き鑑賞した。作品名は“ハムネット”。かなり話題になっていて、見るのが楽しみな作品である。
作品はシェークスピアとその妻アグネスの家庭生活を題材にした歴史ドラマ映画。2020年にマギー・オファーレルが執筆した同名小説に、監督のクロエ・ジャドが感動し映画化のオファーをした。脚本はジャオとオファールが共同で執筆し映画化され今作となった。昨年の第98回アカデミー賞に8部門でノミネートされ、見事にバックリーが主演女優賞を獲得。その年多くの賞を獲得した話題作である。
さて、感想です。とにかく主演二人の演技が素晴らしく、二人のそれぞれの立場での家庭と家族への思いが感性豊かに描かれ、その想いが胸が張り裂けるほど強烈に伝わってくる。凄みさえ感じる圧倒的な演技力は観るものすべてのこころを揺さぶり涙を誘います。こんな崇高な想いにさせてもらった作品は久しぶりで、重厚感と共にシェークスピアの人間像が少しだけ見えた気がする。これはノンフィクションなのか分かりませんが、もし本当ならこんな人生の中から名作「ハムレット」が生まれたのか?とさらに感動が深くなった。それにしてもアグネス役を演じたジェシー・バックリーの演技力は凄まじく、どのシーンを切り取っても圧巻である。まだこんな女優さんが隠れていたのかと驚かされるばかり。今までにないヒロイン像を創り上げ、鉄のような強固な一面を見せるかと思うと、触れば壊れそうなガラスのような繊細な一面を自由自在に操り、スクリーンの中を駆け巡る。大自然の中でも揺るぎない存在感を醸し出し、どこか幻想的でもある。人物像が野生的に描かれ、これは現実に存在した人なのかと思うくらい女性の神秘的な部分を表現している。そしてウィリアム(シェークスピア)を演じたポール・メスカルも、作家と父親の二つの苦悩を見事に演じ分け、「ハムレット」を創り上げるまでを繊細に表現。演劇「ハムレット」が、亡き息子ハムネットへのオマージュであることを、知る事になるラストはアグネスの心に届く。そして観客の私たちの心にも・・・。
P.S. 「ハムレット」の根底にこんな深い愛憎劇が隠れていたとは知りませんでした。シェイクスピアの名を知らない人はいない。「世界最高の劇作家」と称される彼だが、この映画はその天才が生まれるまでの知られざる世界を紐解く貴重な作品とも言える。今更ですがシェイクスピアの凄さを改めて知り、彼が残した数多くの名作に強くひかれこの機会に読みたいと素直に思っています。ラストシーンは全身に雷が落ちるような感覚を覚え、忘れることのない名シーンとして心に刻まれました。深く知るために、何度も観たくなるそんな作品でした。
※やっぱり劇場での鑑賞は最高です。(^_^)v