

2025.9.25.
大友啓史監督のエンタメ超大作、“宝島・HERO’S ISLAND”を鑑賞。最近日本映画が熱く、この作品はまさにそれを体現した作品に仕上がっていました。原作は直木賞受賞の齋藤純丈氏によるもので、戦後沖縄を舞台にした史実に埋もれた陰の部分にスポットを当てた若者たちの群像劇を描いている。物語は戦後間もないアメリカ統治下の沖縄が舞台で、その米軍基地から物資を奪い沖縄住民たちに分け与える若者たち(戦果アギャーと呼ばれる)が、滑走路を米軍に追われるシーンから始まる。少年たちのリーダーは一番年上のオン(永島瑛太)という街の英雄。彼は大勝負とした基地襲撃の後、忽然と姿を消し失踪する。そのオン生き様に共感し行動を共にしていた3人の若者、グスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)が織りなすサスペンス仕立ての物語。おんの失踪に隠された真実を追う姿をリアルに描き上げながら、いまだに残る沖縄の陰と怒りが溢れ出す大作は忘れてはいけない時代の爪痕を観たものの心を揺さぶる。これは日本人が忘れてはならない戦争という名の歴史を浮き彫りにした、負の遺産ともいうべき作品である。戦後80年を迎えた日本だが、その事実を語れる人は年々少なくなり本当の平和とは?を考える事さえなくなりつつある。地球のあちこちで今も、毎日多くの命が奪われていると言うのに・・・。TVから流れてくるニュースに一喜一憂はするものの、ただ傍観し平和を祈るのみ。
“宝島・HERO’S ISLAND”を鑑賞し、思ったことは作品の良し悪しよりも、こんな時代があり必死に理想郷に向かおうとする多くの若者が生きていたと言うエナジーを感じたこと。沖縄は日本最後の砦とし、米軍との激戦があり多くの犠牲者が出た日本列島南端の地。終戦後は米国の占領下に置かれ、日本からも見捨てられた感のある地。本土復帰までの道のりは長く厳しいもので、この間の住民らの思いは測れ知れない屈辱との戦いだったに違いない。今も本土(日本)と言う呼び方で距離を置く人も少なからずいるのは事実。私たちが知らない沖縄の悲しみ、怒り、そして憤りがこの作品には詰まっている。それが画面から溢れ出すエナジーが感性を刺激する、久しぶりの歴史エンタメ作品とも言える映画である。少々長尺の作品だが、あっというまに時間が過ぎていく。事実になぞられたベースに絡んだサスペンス風のストーリーは、緩むことなく熱量を維持し見る側を圧倒する。個人的には物語よりは沖縄の真実にちょっとだけでも触れることができたことに、気持ちが熱くなった。まさのこれは「沖縄の叫び」ともいうべき映画。こんな歴史の上に私たちは生きているんだという事実をしっかり受け止め、今を生きていかなければいけないと痛感した。
資料を読むとコロナ禍を挟み、かなり完成までの道のりは大変だったとの事。だが、消えることのない製作陣のエナジーは原作をも上回る力を生み出し、作品完成へと繋がったようである。制作費も予定を超え、日本映画では近年稀な超大作となったようである。すでにSNSで賛否の弁が湧き上がっていますが、お金の話ばかりで正直イヤな感じ。主演の3人の熱演は見事だし、それぞれの役に対する熱量は半端なく伝わる演技です。個人的には特にオンの弟レイを演じた、窪田正孝さんの鬼気迫る目力に心が揺れました。ある意味汚れ役とも言える、それぞれの役柄に真正面から取り組んだ3人に拍手です。もちろん英雄オンを演じた永山瑛太さんも・・・。
ちょっと前に「国宝」を観て、日本アカデミー賞は間違いなしと言いましたが、対抗馬として間違いなく絡んでくる作品ではないでしょうか?それにしても日本の若い???(中堅)の俳優さんたちの活躍が目覚ましく、世界に羽ばたく日はそう遠くもないと確信する今日この頃。どんどん外に出て活躍して欲しいと、願うばかりです。
P.S. “るろうに剣心”の大ファンだったわたしなので、この作品が大友監督作品だと聞き、出演者たちの顔ぶれはもとより、監督の演出の手腕を観たくてやって来ました。監督の映画に対するクリエィテブの新たな側面を観たような、そんな作品でした。