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よもやまシネマ767 “国宝”

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2025.8.28.

公開以来、異例の大ヒットを記録している話題作、“国宝”を鑑賞。6月6日に公開し超ロングランしている作品は、興行収入110億を突破し、邦画実写映画歴代第2位まで上りつめている。ちなみに第1位は「踊る大捜査線」だとの事ですが、これは映画の評価とは全く関係のないお話。

正直な感想を述べさせていただきます。久しぶりに重厚感に溢れた日本映画に出会った気がします。物語は結構突飛な話ではありますが、日本の伝統文化にスポットを当てた人間模様が複雑に絡み合いとても好奇心を刺激する。長い作品時間だが張り詰めた緊張感に包まれ、ラストまで駆け抜け時間を忘れてしまう。何もかもがプロの仕事を思わせ、スタッフの作品にかける熱量がびしびしと伝わるそんな作品でした。まだ先の話だが、次回の日本アカデミー賞は間違いなくこれではないでしょうか?

いろんな部分で刺激を受けたわたしは、この作品についてちょっと調べてみた。監督が李相日(リ・サンイル)監督だとは知っていたので、もちろん期待大で鑑賞望んだわたし。監督作品は“フラ・ガール”以来の第ファンで、その後の“悪人”“許されざる者”“怒り”“流浪の月”と観てきたが、どの作品も見終わった後に何とも言えない余韻を残し、自分の中で答え合わせをするのがとても貴重な体験になっている。人間の中にある業や性という、目には見えない心の動きを目の前に広げ、「さぁ近づいておいで・・・」とでも問いかけてくる。いつも観る側に委ねる形で、作品を提供してくれるまさに映像クリエーターの神さま。そんな監督作品だから間違いないのは解っていたが、集められた制作スタッフの顔ぶれを知り驚かされた。原作は文学界の先頭をかけている吉田修一氏。先に述べた“悪人”も氏の作品で、監督とは互いをリスペクトしている関係が伺える。吉田氏の凄いところは “国宝”を書き上げるに至っては、歌舞伎の中村鴈治郎一座に入門し黒衣を纏い3年にも及ぶ経験を積んだとの事。この話には正直驚かされた。ここまでしてこの作品が生まれてきたのだと思うと、プロの世界の覚悟や執念に圧倒されるばかり・・・。歌舞伎の世界を間近で触れ、渾身の力で書き上げた作品は芸術選奨を受賞し世界中に翻訳され人気を呼んでいるとの事。李監督と吉田氏のコラボだけでも凄い作品になるのは明らかなのだが、それ以外の脚本、キャスト、そしてスタッフの全てが超一流の人たちで創られていた。まず脚本が奥寺佐渡子氏で、劇場アニメ「サマーウォーズ」を筆頭にアニメ・実写に限ら図、複雑に絡み合う人間模様の心のひだに光を当ててみせる日本を代表する脚本家。撮影には“アデルはブルーの熱い色”でカンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞したソフィアン・エル・ファニ氏。この方の名は存じておりませんでしたが、アデルはブルーの熱い色”はわたしのんかでは好きな映画作品の中でもBEST20に入る作品で大好きな作品。そして美術監督には“キル・ビルVol.1”の種田陽平氏が歌舞伎という伝統の世界を鮮やかに演出して見せてくれている。もちろん先に述べた歌舞伎界の四代目中村鴈治郎氏が歌舞伎指導にあたり作品にも役者として参加しわきをしっかりと固めてくれている。これだけの顔ぶれなら、間違いもなく確かに映画としてだけでなく、伝統芸能である歌舞伎の持つ魅力を映画という映像世界でエンターテイメントのど真ん中を表現した傑作を創り上げています。

さて話が熱くなりまるで宣伝部長にでもなったかのような熱弁を語りましたが、もう少しだけお付き合いください。

キャスト(俳優)のみなさんの事を言わせてもらいます。出演しているか方たちの、演技が半端ありません。特に主演の二人にはきっと今後代表作となる事間違いなしの名演技と拍手を贈りたいと思います。「よくぞやった!」と叫びたくなるほど感動しました。一世一代の渾身の演技ではないでしょうか?役自体の難しさに加え、歌舞伎の木目の細やかな所作や踊り、そして演技、どこを切り取っても凄いの一言。化粧シーンなどはうっとりするくらい綺麗で、ゾクゾクするほど女型を見事演じていました。吉沢亮(立花喜久雄役)さん、横浜流星〔大垣俊介役)さんこの二人は今まさに日本を代表する若手俳優さんの筆頭ではないでしょうか?この二人の演技は設定通りのライバル関係をマジで表現しているバチバチの甲乙つけ難い凄い迫力でした。本当に凄いと感じさせてくれる唯一無二の演技とは、こういう事かも知れない。周りのキャスト陣もそれぞれのスキルを出し切っていて、作品の厚みをさらに深めています。名前をあげたらキリがないので、一人だけ上げさせていただくと人間国宝の小野川万菊を演じた、田中泯さん半端ないです。何をやっても存在感があり、いつの間にか気がつくと中心にいるような俳優さんです。決して目立たないようでいて、実は一番目立っているとはこういう人いうのではないでしょうか?本職のダンスパフォーマンスを一度でいいから見てみたい自分です。映画“パーフェクト・デイズ”でその片鱗をちょこっとみせていますが、100%の舞台をぜひ機会をみつけ観たいと思います。きっと間違いなく凄いに決まっています。

ということで今回も熱く語りましたが、ぜひ観ていただきたい作品の一本です。わたしは6月公開から3ヶ月も経っての鑑賞でしたが、何度観ても良い作品に久しぶりに出会いました。いまだに劇場は混んでいるのには、驚きましたが日本人なら観るべき作品ではないでしょうか?

P.S.  最後になりましたが、映画の主題歌「Luminance」をKing Gnuの井口理の歌っているのですが、何とも言えない世界観がピタッとハマり素敵でした。


by eddy-web | 2025-09-01 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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