

2025.6.20.
巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督の集大成と銘打たれた話題作、“メガロポリス”が公開された。当然観ない訳にはいかない作品だが、どんな内容なのかはいつも通り予備知識なしに出かけた。数々の名作を世に送り、名実ともに世界が認める大監督コッポラ。
内容は分からなくても、巨額の資金を自ら調達し挑んだ自身の集大成と位置付けた作品と聞けば期待せずにはいられない。
さて、感想です。実はメチャクチャ困っています。鑑賞してから随分と時間が経ったのですが、何をコメントして良いのか言葉が出て来ません。お金がかかっているのは観ればわかる作品ですが、それが作品のクオリティに繋がっているかといえば残念ながら???今アメリカが抱える様々な問題に対する、警告とも思える脚本なのだが、どうも空回りしている感じが否めない。物語の冒頭で摩天楼のテッペンに立ち、下界を見下ろす主人公カエサル(アダム・ドライバー)の姿は、名作「ベルリン・天使の詩」を連想しこれから何が始まるのだろうと期待で胸が膨らむ。だが、話が進むにつれ期待は脆くも崩れていった。現代社会を古代ローマ時代に重ね合わせた表現は、面白い発想なのだがいろいろな思惑が上手く繋がらずすんなりと心に届かない。古代ローマ時代から繰り返されてきた、貧困や差別による格差や分断の影が浮かび上がる人類の歴史。狙いは分かるが、登場人物たちの個性ばかりが目立ち、複雑な繋がりが絡みあい制作意図が見えてこない。観る側の感覚が追いついていけてないのか、頭の中がチャグチャ。久しぶりに途中で珍しく眠気が襲ってしまい、なんとか堪えやっとの思いでラストまで辿り着いたわたし。
賛否が分かれる作品に違いない。私見だがコッポラ監督の念いの強さが、表現を複雑にしていまい残念な結果を招いているような気がします。
もちろん美術や衣装、映像など流石と思わせる見どころは沢山ある。でもコッポラ監督ならこれくらいは当たり前のことで、ファンはそれ以上の付加価値を求めているはず・・・。残念だがそこには到達していないと、正直わたしは思う。出演者たちも超豪華で話題には事欠かないのだが、これもまた残念ながら良い方向には結びついていない。
主人公カエサルを演じていたアダム・ドライバーは力強い演技力で、他の俳優さんさんたち凌駕する勢いは見事。逆にベテランの名優たちが上手く生かされておらず、添え物になってしまっていたような気がします。
どんな名監督でもいつも100点を取るのは、簡単な事ではない。高い評価を得た作品を世に送り出すと名匠とか巨匠とかいう冠がつき、その分大きな期待を寄せられる過酷な職業である。そんな中で創り続ける監督さんたちには、心から感謝と敬意を送ります。
みなさんは、今作“メガロポリス”にどんな感想を持つでしょうか?ぜひ、意見を聞きたいものです。わたしは体調を整え、もう一度挑戦してみようと思います。何か違った世界が観えて来るかも知れません。