

2025.3.28.
アカデミー賞をはじめ数多くの栄冠を手に入れた作品“パラサイト・半地下の家族”で、稀代の映像作家と呼ばれるようになった韓国の監督ポン・ジュノ。ハリウッドに進出しての最新作“ミッキー17”が公開された。“パラサイト・半地下の家族”から5年の歳月経て、公開となった作品はSF超大作と銘打たれた未来の人間ドラマ。未来をテーマにしてはいるが、成長していない人間たちのバカで愚かな行動を、面白おかしく表現したコメディ色の強い作品に仕上がっている。“パラサイト”との共通点はシュールな映像表現。ある意味未来を逆手に取り、やりたい放題に人間の内面に潜む欲望を嘲笑うかのような展開は、予測不能な作品に仕上がっている。正直この作品をすんなり受け入れることのできるひとは、超オタクかかなり進んだ感性をお持ちの方。きっとついていけない人の方が多いと思う。ジュノ監督の感性がとっぴというか、クリエイティブさがぶっ飛んでいるのか、常人の発想とは思えない仕上がりになっています。見終わると整理するのが大変で、理屈では説明の聞かない感覚で受け止めるようなブラックとシュールが混ざり合ったような不思議な映画です。きっと好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思います。映画館内は若い人が多いのかと思いきや、結構年齢幅がありました。途中で席を立つ人もいて、思い描いていた話と違うので混乱しての退席かと思われます。いろんな意味で予想を裏切る映画監督さんです。これが稀代の映像作家と呼ばれる訳なのかも知れません。
さて、作品ですが監督が脚本も手がけハリウッドに、殴り込んだ作品とでも言うべきものなのかは知りませんが・・・。表現のシュールさを考えると、意外と現実としてありうることだと思えるような話である。主人公は未来の生活でかなり困窮している若者で、それからの脱却を考え軽い気持ちである契約にサインしてしまうのだが・・・。そこから始まる究極のドン底生活が、望んでいた生活とは真逆のもはや人間としての尊厳などなく使い捨て(エクスペンダブル)人生まっしぐらというストーリー。救いがあるとすれば、話をジョークにしてしまう展開がちょっと風変わりなSF作品にしあがったというようなことだろう。キューブリックの“時計仕掛けのオレンジ”が好きな人は、結構気にいるかかも知れません。要は未来はいろんな面で発展し成長を遂げていくのだが、人間だけはそれに追いつけず本能のまま生きていくのだろうということと理解しました。正しいかどうかはわかりませんが??? 深く考えても解りませんので、滑稽な登場人物たちのやり取りを眺め、クスッと笑っていました。
人体プリンターとしての規約し地球外の惑星植民地に行くことになる主人公ミッキー。途上の途中に人体実験の材料となり危険な任務を何度も行い、死んでは生き返る事を繰り返す毎日。その数17回に上る再生数を重ね、もはや死の意味すら解らない状態。そしてミッキー18が生まれたのだが???というあたりから、人間回帰の話へと繋がっていきます。咲くほども言いましたが、妙にリアルでそしてシュール。素直の笑えるかと思えば、そうでもないのだが結局笑うしか手立てが無いと言ったところ。まずは観てもらう意外に、話ができないような作品です。遠い宇宙の彼方の知らない惑星に辿りついての話は、先住生物たちとの交流(戦い)がありで、ここはSFかも?出てくる生き物はちょっと気持ち悪いのですが、だんだん愛らしくさえ見えてきます。わたしの印象ですが、「風の谷のナウシカ」のオームを思い浮かべるシーンの連続です。ジュノ監督、影響受けているかも知れません。間違いないと個人的には思います。
さて、みなさんはどんな受け止め方をするでしょう?意見を聞きたいと思います。
P.S. 主人公ミッキー・バーンズを演じたロバート・パティンソンがいい味を醸し出しています。バッドマンの時とは180度違う人間味あふれた演技をしています。ヒールとして出演しているマーク・ラファロさんもエキセントリックな芝居をしていてインパクトあり過ぎ。この人も幅の広い演技をする優れ物です。