![]() 2025.2.19. 予告編で観た映像の美しさに惹かれ、観にきた“野生の島のロズ”。ドリーム・ワークスアニメーションという制作会社の30周年記念作品ということで創られ、全世界でも高い評価を得て2025年アカデミー賞の本命との呼び声が高いらしい。ドリーム・ワークスアニメーション「シュレック」「ボス・ベイビー」などを届けているが、わたしは今まで観たことはありません。アニメは好きなので結構観ているのですが、残念ながら鑑賞に至っておりませんでした。今作に惹かれたのはなんと言っても映像の美しさと、原作の面白さ。近未来の話は最新型アシスト・ロボット(ROZZUM 7134)が、嵐に遭遇し予定の場所に届かず大自然に覆われた無人島に漂着したところから始まる。冒頭から自然の描写がとても美しく描かれ引き込まれてしまう。3DCGと手書き(アナログ)の融合で、自然の美しさをより強調した描写はこんなところへ行ってみたいとさえ思わされる。近年CG技術の発展で表現できないものはないほど、緻密な映像ができるようになりアニメ界は止まることを知らない。どうやったらこんな表現ができるのだろうと想像が及びません。少なくとも似たような分野で仕事をしていた者としては、人一倍興味があるのですが流れの速さにすっかり置いてけぼり状態です。 アナログ世代の人間なので、初めはどうしても受け入れることに抵抗を感じていたわたしですが、「アナと雪の女王」あたりからアナログでは表現できない別次元の素晴らしさを感じ始め今は抵抗なく見ることができるようになりました。ただ技術に走って内容がついてこない作品もあるので、しっかり自分の目で見て判断しています。過去の作品ではピクサーの長編作品、“リメンバー・ミー”が大好きなわたし。今作同様映像の美しさはもとより、ストーリーに込められた家族愛に何度も涙してしまいました。食わず嫌いのわたしがを目覚めさせてくれた作品です。 さて、“野生の島のロズ”の感想です。初めにも言いましたが本当に美しい映像表現にため息が漏れてしまうそんな作品です。それだけでも十分楽しめる作品ではないでしょうか?どうやったらこんな表現ができるのだろうと想像が及びません。大自然の中、弱肉強食の世界で生きる野生動物たちが暮らす島の突然放り出されたロボット「ロズ」。全く知らない世界に一人彷徨う「ロズ」が、インプットされた行動にはない事を一つ一つ学習していく姿はとても健気で心を打たれます。ひょんなこと(事故)で親を失った雁の子を育てることになったロボットの奮闘が、厳しい自然との戦いの中で共に生きいつしかかけがえの無い存在となっていく姿に涙してしまいます。そもそもロボットに感情があるはずもないという概念を、ひっくり返す展開はまさにファンタジー。往年の名作“A.I.”の主人公デイビッドの人生に通じる感動を味わいました。ピノキオを題材にした未来のお話はスピルバーグの名作のひとつですが、未来における人間社会のあり方を問う映画でした。話が横にヅレましたが今作のポイントとして挙げられるのが人間が登場しないという事。もちろんロボットが支える人間社会も映し出され背景には出てきますが、直接的な絡みがない。それがむしろ話を混乱させず、未来の世界と自然豊かな元社会の対比をうまく融合し悪者を登場させていないところが気に入っています。そこに描かれた感情の部分が、とてもシンプルに表現されていて誰もが持っている優しさの原点を呼び起こしてくれます。 この作品の大きなテーマは今失われつつある、家族、共存、そして多様性といった多くの問題を捉えた奥深い物語となっいます。ロズのキャラクターはとてもシンプルで、まさにロボットという表現になっていますがあえてこうする事で現代の差別社会を誇張しているそんな感じがしました。もし仮にこのロボットのキャラクターデザインが人間ぽく描かれていたら、この作品は全く違ったものになっていたでしょう。原作は2016年にアメリカで出版されたピーター・ブラウン氏の児童小説「野生のロボット」監督・脚本は「リロ&ステッチ」のクリス・サンダース氏が担当している。調べるとディズニーやスタジオ・ジブリの作品をリスペクトし、多大な影響を受けているとの事。批評では伝統的な手書きアニメーションと革新的なCG技術を融合させ、まるで印象派のモネがジブリ世界に生命を吹き込んだかのような夢の映像世界を創り上げたと述べられています。これはまさに言い当てた、評論ではないでしょうか!音楽を使った演出も感動をさらに膨らませる効果を生み出して、より物語に深みを加えていました。ぜひ、その目で確かめに劇場に足を運んでください。 P.S. 今回は時間帯が合わず、吹き替え版を鑑賞したのですが特に違和感もなくすんなりと心の届きました。ロズの吹き替えをやった綾瀬はるかさんを筆頭に俳優さんたちが個性あふれるキャラを演じていましたがとてもいい感じです。本作ではロズの吹き替えをルピタ・ニョンゴさんがやっています。彼女のデビュー作“それでも夜は明ける”は強烈なインパクトを残した傑作。この作品でいきなりアカデミー賞助演女優賞を獲得し鮮烈なデビューを飾りました。近作の“クワイエット・プレイス:DAY1”でも、緊張感のある素晴らしい演技をしていたのを覚えています。サプライズでマーク・ハミルが熊のソーンをやっていることを知り、時間があれば字幕をもう一度観たいと思っています。
by eddy-web
| 2025-02-22 00:00
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