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よもやまシネマ713 “ナミビアの砂漠”

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2024.9.13.

ナミビアの砂漠を鑑賞。最近最も関心を持っている若手女優の河合優美さん。今ハマっているのがNHK深夜ドラマの「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」という長いタイトルのヒューマンドラマ。主人公の七実を演じているのだが、素晴らしいの一言。以前教え子の紹介で鑑賞した映画“あんのこと”で、すっかり虜になってしまったわたし。若いのにこんな演技が達者な女優さんがいるのだと、少し驚かされたのがついこの間。その後すぐにTVのインタビューで彼女を発見し、その時の物怖じしない溌剌とした態度に底知れない大きさみたいなものを感じた。そして「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」を観るようになり、ストーリーの面白さもあるのだが彼女の演技力と周りのキャストの皆さんの魂のこもった演技に、毎回涙を流しています。完全に推し活状態になっていて、目が離せません。そして満を時して観た映画がナミビアの砂漠

彼女のために創られたような作品で、改めて彼女の可能性が計り知れないほど凄いことを確認しました。

さて、感想です、物語は自分探しをしている何もかもが不満な女子が題材のまさに現代を描いた作品。世の中にも、恋人にも、そして自分自身にも不満を抱えただ何となく生きている21歳の女性カナ。やり場のない感情を抱えたまま毎日を生きる主人公カナは、きっと自分自身に感じる人も多いはず。どこにぶつけても虚し然だけが募り、どんどん追い詰められていく日常の姿が、淡々と紡がれる。映画というよりはドキュメントを観ている感じにさえ陥る作品は、現代人が抱えるストレスをとてもリアルに炙り出し「この気持ちあるある」と感じるひとも多いかも知れない。何をしても満足できず、安らぎを覚えない空虚な生活にもがき苦しむ姿は自分との合わせ鏡にように写るかも知れない。私はそろそろ終活に入る年齢なので、カナのような感情は遠い昔の置いて来た。それゆえ、逆にこの感覚は懐かしさと羨ましさを同時に感じる。こんな風に生きてもがいている若者は多いのかな?なんて考えてしまう。物語は完全な答え合わせをしていない。そんなラストに繋がっていく。監督さんが伝えたいことはとふと考えるに、最後は自分自身で一歩足を踏み出すか否か?と言っているようなことを感じた。全てが満足のいく人生なんてこの世に存在するのだろうか?色々なことで悩み、ストレスを抱え、それでもなんとか日々の暮らしを続け気がつくと、そのに自分がいる。そんな毎日の繰り返しがこの作品に込められたメッセージなのかも知れない。それにしても、河合優美という女優は先の読めない不思議な魅力を持っている。芝居をしている感がない、そんな印象を受ける、自然体でありのままの姿で与えられた役と向き合い、役に成り切る憑依型の女優さんかも知れない。今は年齢相応の役で、喜怒哀楽を巧に操り見る側の心にす~~~っと入ってくる。気がつくと側にいるような、そんな感じで隙間を埋める人かも知れない。監督は最近注目が著しい山中瑶子女史。若干27歳にして第一作目に製作した“あみこ”で、数々の国際映画祭にて高い評価を得た。そして二作目となる今作“ナミビアの砂漠は、第77回カンヌ国際映画祭にて国際映画批評家連盟賞に輝いた。女性監督最年少の受賞はまさに快挙。23歳の河合さんと27歳の山中さんが、創り上げた世界観は現代社会を投影し、やりきれない閉塞感を見事に表現した新しい風のような印象を受けました。日常によく観るような光景の中に、溶け込んだ生活が浮かび上がり妙な親近感を覚えてしまう。ちょっと癖のある女の子の、揺れ動く心の葛藤を河合さんが実に見事に演じている。と言うよりはカナになりきっています。表情がとても豊かで、心の動きを目の動きや仕草などできめ細やかに演じていて、時に危うく、時に憂い魅力溢れる女性を演じている。ある意味面倒臭い女なのだが、ほって置けないようなそんなアンニュイな感情の起伏が波打つように変化する人。物語同様、きっと男たちは理屈ではなく彼女のそんなところに惹かれ、振り回されるのだろう???男たちが少し馬鹿に見えてきます。いやきっと馬鹿なのでしょう。癖の強い恋人の男性2人も、イラッとさせますが河合さんとのやり取りがリアルすぎていい演技でした。押し付けがましいメッセージではない、見る側に委ねるような形で主人公カナの生き方を表現した作品は、自分を振り返るきっかけのようなものになるのでは・・・。

さて、皆さんの感想はどんな感じでしょうか?

P.S. 今もっとも魅力を感じている女優さん河合優美さん。いろんな作品で見かける「ふっと、何処かに飛んでいっちゃてる」表情が男心をくすぐります。真逆に無表情に冷たい視線を送る、ちょっと怖い感じの時など何をしていても絵になる女優さんではないでしょうか?きっと大化けする、女優さんだと期待を込め応援しています。

ラスト近くのシーンでカウンセラーとの会話の中、「言ってる事とやってる事の違う人って、なんか怖くありませんか?」という台詞が、妙に心に響いたわたし。掴みどころのない心の動きと掴みどころのない物語ですが、とても気になる作品です。

※タイトルのナミビアの砂漠ですが、アフリカ南西部に位置するナミビア共和国に存在する。世界最古の砂漠と言われ、「何もない」と言う意味があるらしい。エンドロールでTV画面に写る「ナミビア砂漠のオアシス」が浮かび上がる。そこにどこからともなく鳥や、動物(鹿らしきもの)が集まり水を飲むシーンがとても象徴的に使われていました。なるほど・・・。



by eddy-web | 2024-09-15 23:46 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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