2024.8.28. 話題の韓国映画、“ソウルの春”を鑑賞。この作品はあの“パラサイト 半地下の家族”を超え、2023年観客動員数を第1位を記録した作品。実話に基づいた超エンタメの作品となれば、期待しないではいられない。 感想ですが、エンタメとして述べる言葉は思い浮かばず、事実だった出来事としての意見と今回はなりそうです。スタートからラストまでの緊迫感に包まれた142分間は、息を呑む迫力とキャストの俳優さんたちの魂のこもった演技に圧倒される。これが現実に起きた出来事と思うと、今までイメージしていた韓国とはちょっと違った怖さを覚えたわたし。そういう意味では、この映画制作に関わったスタッフの並々ならぬ覚悟と情熱を感じました。50年前の出来事とはいえ、国の闇を暴いた作品ですのでよく思わない人間も多いはず・・・。作品は悪と正義を色分けした脚色になっているが、実際はどうなのかは定かではない。 映画を見終わった後、自分なりにこの事件のことを調べたが根深い韓国の闇のような世界が見え、恐ろしささえ感じてしまった。軍人という職業の中に潜む表と裏の攻防に、息がつまる感覚を覚えた。誰が味方で誰が敵なのかという組織の中の複雑な関係が交差し、これが現実だったと思うと、正直日本人でよかったと心から思う。今でも徴兵制度がある韓国だが、主人公のチョン保安司令官のような人が再び国の頂点に君臨したらどうなるのだろうとマジで考えさせられる。本国の若者たちは一体どんな感想を持ったのだろうか?それを聞いてみたい。 かつて日本も226事件(未遂)という大きな歴史の分岐点を迎えたことがある。時間が経ち過去のものとして、教科書で知るくらいでそこにリアルな感覚はもうない。1936年(昭和11)2月26日に青年将校たちが起こしたクーデターは、鎮圧され事件は終わる。その目的は、「天皇親政」を目指す皇道派と呼ばれる尉官クラスの青年将校が“政界などの指導者が腐敗していると、体勢改造を打破すること”が目的だったと言われている。正しい行動とは思わないが、未来の国を案じてのものだったように私は理解している。今作は同じクーデターでも真逆の事件(私利私欲)のようだが、何が正義なのかよく解らないというのが本音。辞書で正義の反対語を調べると、「正義(善)」の反対語は「悪」ではなく「別の正義」と書かれている。確かに客観的に見ればその通りである。そんなことを考えさせられる映画は、自分がもしこの立場に置かれたら一体どちら側の人間になるのだろう。映画“ソウルの春”では、クーデターを起こしたチョン保安司令官(ハナ会)側が、悪として描かれているのは明白だが、事実がどうなのかは知る由もない。歴史を紐解くと、その後チョン保安司令官(全斗煥)は、第11代・12代と8年間大統領として国を掌握した。民主主義の観点から言えば、悪に負けたという現実が重たくのしかかる。昔TVで訪日した時の全斗煥大統領をみたことがある。天皇陛下と談笑してたが、映画を観て今更ながらこんなひとだったのか?と、勉強不足を嘆いている。お隣の国のことなので、偉そうなことは言えませんが、どうして人間は権力という力を手に入れたくなるのでしょうか?そんなことをふっと思うわたしです。今韓国は平和なようですが、いつまたこのような事件が起きるかなんて・・・つい考えてしまいます。 主人公のような独裁者がいる国が多い今、あちこちで戦争が起きています。独裁者が国の代表になると、国民は一体どんな暮らしをすることになるのでしょうか?人ごとのように考えてはいけないということを今作で学びました。 劇中クーデターを起こす首謀者・チョン保安司令官(ハナ会)が煮え切らない幹部に対し放つ言葉「負ければ反逆罪、勝てば勇者!」は、まさにこの時を言い当てた言葉である。そして感じたことは、自分の意見を持たない人たちが政権を動かすことへの苛立ちと不安感。 日本は今、国民の多くがストレスを抱え、こんなんで大丈夫なのかと政治不信を抱いている。もし今作のような主人公が現れたら、日本はいったいどんなことになるのでしょうか???バカなことを考えていると、楽観的に思っていると足元を掬われそうな気がします。 P.S. このクーデターは前後して国を揺るがす事件が次々と起こり、危うい時代の韓国でした。こんな言い方をすると怒られるかもしれませんが、北とか南とかではない同じ血の匂いがするそんな作品でした。皆さんはどんな感想を持つでしょうか?平和をいいことに浮かれていてはいけないと思います。韓国映画界、恐るべしの傑作は、絶対に見なくてはいけない一本です。チョン役を演じたファン・ジョンミンは、凄すぎます。タイトルの“ソウルの春”。何が春なのでしょうか???怖いです。
by eddy-web
| 2024-08-30 00:00
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