人気ブログランキング | 話題のタグを見る
よもやまシネマ707 “ブルーピリオド”
よもやまシネマ707 “ブルーピリオド”_e0120614_15004723.jpg


2024.8.23

気になっていた作品、“ブルーピリオド”を鑑賞。たまたまTVに映画の出演者たちが出ていたのを観て、自身の青春時代に重なるテーマだったので興味が湧き観ることに・・・。

モノづくりに携わる仕事(グラフィックデザイン)を、生業にしてきたこともあり若かった頃の想いを確かめようとやって来ました。私のやってきた商業美術とは違い、芸術は比べ物にならないほど高い壁を感じる。ただモノづくりへの意識やこだわりは、そんなに違ったものではないとも思う私。

さて、感想です。芸大受験という主人公のテーマは、正直私の進んできた道とは大きく差があり比べようもないほど高く険しいもの。そんな自分が一体何を言えるのかと言ったところですが、単純に好きな道を選んだという共通点と映画が大好きという観点で今日は感想を述べたいと思います。まずは、胸にくる箇所も多く、昔の自分と重なる想いも描かれ共感のモテる作品になっていました。原作は「2020マンガ大賞」受賞した大人気マンガということで、かなり脚色はされていることを承知の上でまずは言います。かなりドラマチックな仕上がりですが、少しだけ違和感を感じるところが・・・。まず主人公・谷口八虎の突然の絵を描くことへの覚醒に、こんな人物が果たして存在するだろうか?という事。私的感情が入る感想なのであらかじめ言っておきますので、誤解のないようお願いします。自分がモノづくりの世界へ飛び込んだ当時は、例えば天才と思える人は主人公同様周りにいっぱいいて毎日がそれこそ戦いでした。ただ知りうる限り、そのライバルたちは皆、子供の頃から絵を描くことが大好きでそれだけは誰にも負けないと思っていた者ばかり。3度のご飯を食べる時間を惜しんでも、絵を描くことに没頭する事ができる変わり者。私はそうでした・・・。なので高校生ほど成長した段階での覚醒に、少しだけ違和感を感じました。それと芸大受験というとてつもなく高いハードルに挑む人たちって、多分そいう像を超えた才能と努力を重ねてきた選ばれた人間なのではないでしょうか?そのあたりが非現実というかちょっと夢は夢でも質が違う気がしました。こんな人がいないとは言い切れませんが、周りを見てもなかなか見当たらない。いたら素敵な事なのですが・・・。あと家庭環境があまり裕福ではない設定になっている割には、主人公はバイトもせず美術の予備校に通っている。そんなお金がどこから湧いてくるのかも不思議でした。好きなものを見つけた瞬間は何者にも変え難く素晴らしいものだとは、素直に納得できるのですがあまりに唐突すぎる展開ではと思ってしまいました。

自分探しが叶った瞬間の高揚感や情熱の凄まじさは、誰にも止められないエネルギーを創りだすという意味ではとても感動する作品です。かなり若かりし頃の気持ちを思い出す場面も多くあり、涙してしまいました。原作を読んでみようと決めました。2時間枠の中でまとめられた内容ですが、きっともっと深いところまで描かれているに違いないと思っています。個性豊かな人物に囲まれ、どんどん変化を遂げる主人公は、とても魅力的に描かれこんな風に生きれたらと思う若者も多いはず。夢を夢で終わらせないところに、この映画のメッセージなのだと受け止めています。ただ芸術の世界はあまりに過酷で、繊細。並大抵の努力だけでは、人の心を動かすような作品を創りあげるのは難しいのではないでしょうか?偉そうに語り申し訳ありません。

映画の中盤で主人公がお母さんに、芸大受験を語るときの母親の気持ちが良く伝わり涙してしまいます。お母さんがつぶやいた言葉「絵で生活ができるの?」このセリフが全ての現実を表しています。ただその道を目指している人は、多かれ少なかれこの言葉と戦いながら前を見ている人たちではないでしょうか?そんな人たちだからこそ、人の心を動かす作品を生み出すのだと思います。

P.S. 主人公の谷口八虎を演じた眞栄田郷敦くんは、端正な顔立ちでマンガのキャラがそのままスクリーンに飛び出したよなひと。お兄ちゃんもイケメンだけど、負けていません。これからどんな俳優さんになっていくのか、お父さんも空の上からきっと見ている事でしょう。石田ひかりさんがお母さん役かぁ〜〜〜っ!時代を感じます。大林監督の「ふたり」は大好きな作品のひとつです。何回観ても泣けます。



by eddy-web | 2024-08-24 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
<< よもやまシネマ708  “ソウ... よもやまシネマ706 “市子” >>



エディデザイン室
by eddy
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新の記事
カテゴリ
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 06月
2007年 05月
フォロー中のブログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


logobr.gif