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よもやまシネマ692 “碁盤斬り”
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2024.5.17.

久しぶりの時代劇、碁盤斬りを鑑賞。しかも草彅剛主演となれば、観ないわけがない。どちらも大好きなジャンルと俳優さん。日本映画と言えばチャンバラです。黒澤監督の七人の侍を筆頭に、あげたらきりが無いほど名作揃い。近年では大ヒットを飛ばしたるろうに剣心シリーズは、、、時代劇の表現としてスピード感あふれる立ち回りとCGを絡めた演出に未来に続く映像表現を垣間見た。派手なアクションを取り入れた作品も大好きだが、個人的には地味だが時代背景を写し取ったような内容の、侍ものが好きな私。壬生義士伝ではどれほど泣いたかわからないほど、見るたびに涙を流した。また、藤沢周平原作の隠し剣 鬼の爪”“必死剣 鳥刺し”“武士の一分など下級武士を題材にした作品は好みの作品である。

さて、今回の作品碁盤斬りも、好みの設定である。てっきり時代小説の原作を元に創られたものとばかり、勝手に思っていたのだが、完全オリジナル脚本によるものと知りとても驚いた。それにも増して驚いたのは、元になったのが落語の演目として長く親しまれた「柳田格之進」の人情噺ということ。古典落語の名作に脚本家の加藤正人氏が3年半の月日をかけ書き上げた小説は、新たな解釈にオリジナリティを積み重ねエンタメ色を強めた作品へと生まれ変わった。その脚本を持ち込んだ先が、エンタメ性の強い作品でファンの多い監督・白石和彌氏。初めは地味な内容だけに、きっと関心を示さないだろとタカを括っていたそうだが、映像化に強い関心を持たれ今作が生まれたそうである。感想ですが、私好みの渋い作品で、テーマになっている武士道の精神が脈々と流れ沁みる作品に仕上がっています。やっぱ時代劇は良いですね。

劇中主人公cの娘お絹が言うセリフ「父は一旦こうと決めたら、何があっても後には引きません」の言葉がこの作品のコンセプト。簡単に言えば「頑固」とか「意地っ張り」とかということだが、主人公・格之進には一命をかけるだけのアイデンティティがありその強さには強く惹かれる。こんな人間には斬炎ながら、なかなか出会うことはない。ちょっと前にこのブログで「人は嘘をつく生き物」と言ったこと覚えてますか?だが今日の主人公・格之進は嘘をつかない。そして言い訳をしない。この潔さは今の世の中では、まず見当たらない人物。かっこいいが、なれるものではないことは誰もが解る。これこそが「武士道精神」という事なのだが、生きづらい現代社会においては簡単にできる事ではない。もし仮にこう言う人がいたら、きっと順応性が問われ「空気を読めない人」的に扱われてしまうのだろう・・・。映画を観ると、確かにそういう部分が垣間見えてくる。不器用な生き方しかできない、そんな主人公ですがある意味憧れます。

さて、格之進を演じた草彅剛くん、いやさんですが時代劇は初めてかと思いますが良い味を出しています。“ミッドナイト・スワン」では、その年のアカデミー賞の主演男優賞を獲得しその演技力が高く評価されたのは記憶に新しい。あの細い身体のどこから、あのほとばしるエナジーを発するのかと驚かされる。いい俳優さんになりました。なんかの記事で将来「笠智衆」さんのような俳優さんなると書かれていたことが思い浮かびます。「笠智衆」さんのい名を出しわかる人は、かなり高齢の方。昭和の大スターと言っても、まだピンとこない人は、寅さんに出てきた帝釈天の御前様と言えば解るはず・・・。それでもわからない人は、どうぞ調べてください。若い頃から老け役が多く、晩年は脇役には欠かせない存在になっていた。言われてみれば、草薙さんも特に美形というわけではないし、どちらかといえば地味な存在。でも二人に共通するのは、深みのある憂いと優しさではないだろうか?今作碁盤斬り”では、そこが間違いなく溢れ、「武士は食わねど・・・」の誇りが見る側にしっかりと伝わる。派手な立ち回りはないが、堂々とした殺陣はとても迫力があり素晴らしかったです。一人娘お絹役を演じた清原佳那さんもまだ若いと思いますが、凛とした父譲りのブレない精神を貫く難しい役をしっかりと演じまるで本当の親子のようでした。多分演技を超えたところで結ばれた、互いの信頼関係がこの作品の中で表現されているのだろうと感じます。脇を固める俳優陣も超豪華で、國村隼、小泉今日子、斎藤工、市村正親、など、しっかりとこの作品の脇を固め、重みのある素晴らしい演技を披露しています。これはお勧めです。ぜひ、自身の汚れた脳を浄化しに、劇場に足を運んでください。

P.S. 今作品に使われている、タイトル文字が、あまりに美しく見惚れてしまいました。印刷関係のものには全て使われているのですが、映画のタイトルでは違う文字が使われていました、なぜ???なんか意味でもあったのでしょうか?変なところに目が入ってしまうのは、職業病の性。プログラムに多くのクリエィターたちが創作したポスターが載っていましたが、どれも魅力あふれる作品ばかりで欲しくなります。ぜひ、販売してくれる事を願います。




by eddy-web | 2024-05-19 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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