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よもやまシネマ680 “オッペンハイマー”
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2024,3.29.

今年度のアカデミー賞で主要を受賞した話題作、オッペンハイマーが公開になりました。世界初公開から8ヶ月を経て、ようやく日本公開。作品は原爆を開発し、のちに「原爆の父」と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と挫折を描いた実話に基づいたもの。正直、日本人のひとりとして鑑賞するにあたり、なぜか肩に力が入ってしまいあまり映画鑑賞という観点で楽しむことができない自分でした。今まで多くの作品を鑑賞し、映画いちファンとしてこのブログでは自分なりの感想を続けてきたわたし。今回の作品も色んな意味で関心があり、鑑賞に臨んだのですが・・・。

正直なんと感想を述べたら良いのか言葉が見つからず、ようやく少し落ち着きキーボードを打ち始めました。なんか変な事を言うかも知れませんが、これが私が今思うすべてです。

まずはこの作品を手がけたクリストファー・ノーラン監督の勇気に賛辞を贈ります。様々な障害など想像を超えた問題を乗り越えての、創造された作品だと感じています。ですがわたしは今回は映画ファンという観点でだけで観ることができなかった事をまずお伝えします。もともと感情移入が強いわたしなので予想はしていたのですが、なんとも言葉では表すことのできない複雑な感情が頭の中で駆け巡り困惑しています。良く出来た作品なのは十分理解できるのですが、妙に引っかかるものがありモヤモヤした時間がず~~~っと続いてしまいました。答えにはなりませんが、人間が犯してしまった罪深い愚行に、ただただ深い悲しみと絶望感を抱いてしまいました。映画を鑑賞したあと“オッペンハイマー”という人物に関する資料を根こそぎ読んだのですが、最後まで理解できない自分がとても弱いことに気づかされました。映画では主人公(オッペンハイマー)も、悩み苦しむ姿が映し出されています。一研究者だった人間が、一瞬にして人の命を奪ってしまう兵器を創ってしまった事実の重みは、誰も想像できないことではないでしょうか?もちろん物語の中では彼が全ての罪を背負っているわけではない事は、しっかりと読み取れます。この愚行に至るまでの経緯が事細かく描かれ、彼の葛藤と苦悩がリアルに描かれています。でも???

広島と長崎に落とされた原子爆弾による死者の数は、推定21万人。今もなおその傷を背負い、生き続けている人がいる。オッペンハイマー氏が戦後日本に訪れた事を知りました。どんな気持ちで訪れたのかは、私の頭では想像できません。死の二年前のインタビューで彼は原爆開発について「大義があったと信じている。しかし、科学者として自然について研究することから逸脱して、人類の歴史の流れを変えてしまった。わたしには答えがない」と話しています。(Wikipedia参考)これを知った時、映画もこれが限界の表現だったのだろうと感じました。人は幸せとはを語る時、何かにつけ理由をつけ物事を正当化する生き物。この物語の中でも、科学者や政治家、そして軍関係者などが入り乱れ、自分の思惑でそれぞれが忖度しながら核開発が進んでいきます。当時核爆弾の投下により、「戦争を終わらせ、人類は平和を手に入れた」とアメリカやアジアの国々の多くの人が感じていたと記述が残っています。本当に皆がそう思っているのでしょうか。禅問答のような問題はきっと終わることなく続いて行くのだろう。今も世界のあちこちで多くの人が、戦争の中死と直面しながら暮らしている。人間の愚行はきっと着地点を見つけられず、終わることは無いのでしょう。人間で生まれてきたことがなんだか恥ずかしくなります。何もできない自分に腹が立つ、そんな作品になりました。

はじめに言いましたが、自分でも何を言ったら伝わるのかよく解りません。それでもこんなふうに考える時間を持てたことに感謝します。そういう意味では映画史に残る作品なのではないでしょうか。

P.S. 重たいテーマ作品ですが綺麗にまとめられ、そこにちょっと不満を覚えました。日本人が味わった痛みが描き切れていないと思います。そこらへんが難しいことは解っていて、あえて言わせていただきました。出演者の皆様の映画と向き合う真摯な姿勢が伝わる、クオリティの高い作品づくりを感じることがました。本当にお疲れ様でした。アインシュタイン博士のシーンは少しだけ、心に希望と安らぎを感じさせてくれます。だがその博士自身がこの事実(原爆開発)を一番強く受け止め、生涯苦しんだことは誰もが知る事実。ひた向きに研究に没頭した生涯はオッペンハイマー同様、本人が目指した結果には結び付かなかったという儚い人生だったような気がします。本当の平和がいつか来ることを心から願います。



by eddy-web | 2024-04-02 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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