

銭湯探訪63 電気湯(墨田区京島3)
2024.2.20.
2月だというのに、東京は4月並みの気温になりました。まるで地球が悲鳴でもあげているようで、なんだか怖い陽気です。さて、こんな日だからこそ銭湯日和と思い立ちチャリをひとっ走り。前々から決めていた、スカイツリーのお膝元にある“電気湯(曳舟)”にやってきました。
実はこの銭湯、映画ファンなら皆知っている、現在公開中の映画“PERFECT DAY”の中で主人公平山が通うお風呂屋さん。贅沢を求めず毎日をヒタヒタと暮らす、主人公の生き様に心を動かされたひとは多いはず。平山のような生き方を真似しようとしても、なかなかできるものではないと誰もが思うに違いない。「名もなく、貧しく、美しく」とは、こんな人生の送り方なのかも知れない。日々の生活の中、小さな幸せを見つけその喜びを噛み締める人生って素敵です。その平山が1日の疲れを癒す場所の一つが、この銭湯。映画大好きの私と、銭湯大好きの私がリンクしました。
映画ファンと銭湯ファンを自称する私が、銭湯巡礼と聖地巡礼をまとめてする、この機会を外すはずもなく満を持して訪問です。
玄関前に着くと開店直後にもかかわらず、自転車が所狭しと並んでいる。人気を窺わせる光景だが、やっぱり映画の影響でしょうか?ブログ用の写真をまずはパシャリ!そして暖簾をくぐりまずは挨拶。いつも通り支払いを済ませ、「お遍路巡礼スタンプノート」にスタンプをお願いした。おかみさんが笑顔で迎えてくれ「どっちのスタンプにします!」と声をかけてくれた。すぐに「どちらでも?」と返事をするなり、「お客さん多いみたいですが、映画の影響ですか?」と人目も憚らず聞いてしまった。おかみさんは気さくな方ですぐさま「そうですねぇ〜〜、いい映画でしたよね〜っ」って嬉しそうに言葉を返してくれた。もうこの時点ですっかり、このお風呂屋さんが好きになった私。サウナもお願いし、いざ中へ・・・。
脱衣所から浴場を除くと立派な「赤富士」の絵が見えた。あれって???と思った私だが、取り合えず手早く衣服を脱ぎ浴場へと。満席だ!!土日なら他の銭湯でも見られる風景だが、平日のこの時間でこの人数は驚きである。まずはぐるりと銭湯の中を見回す。湯船の後ろにまるで額に収めたような「赤富士」が客を迎える。サインは中島盛夫絵師によるもので、夕暮れにほど近い時を描いたであろうほんのり赤く染まった富士山が・・・。天井は半円を描いた銭湯特有のアーチ型だが、彩色が緑、青、黄色の3色に分かれ間に白が入りモダンな感じを醸し出しテイアタ。入り口付近にサウナがあり、隣接して水風呂が設置。正面には3層に分かれた湯船があり、どの湯船も熱からずされど緩くもなく絶妙な湯加減。長湯な私にはもう最高!結局この日も滞在すること2時間。またまた私好みの銭湯に巡り合うことができ、大満足の一日。銭湯の良さってお湯もさることながら、集うひとたちの雰囲気で解る気がする。みなさんとても良い顔をして、お湯に浸かっています。このお風呂屋さんが街の人たちに愛されていることが、伝わります。この日は満員で椅子が足りなく直にタイルに座りシャンプーをしていたのですが、隣にいたオジサン(お爺さん?)が上がる時、「この椅子、つかうっ!」と声をかけてくれました。「ありがとうございまう!」といい、椅子を使わせてもらった私。この小さな触れ合いが、辞められない一因です。湯上がりに限定のコーラをいただき、おかみさんとしばしの談笑。映画を観たお客さんたちが書いていった寄せ書き帳を渡され、時間を忘れ見入ってしまった。沢山の人たちの心のこもった感想が書かれていて、「うん、うん。」と頷く私。時間を忘れて読みいってしまったが、流石に全部は読めずまた来ようと決め、帰宅の途についた。外はもう夕暮れになり、柔らかなオレンジ色がほんのり熱った身体を包み込んでくれました。

P.S. 冒頭「赤富士」の絵を見てあれっ!と思った訳ですが、実は映画の中のシーンで見た絵は青空の富士山だったから・・・。聞けば撮影は女風呂を使ったそうで、外からの柔らかな光などが差し込むという条件を満たすためだったようです。やっぱりクリエーター(映画制作)の拘りは、半端ないですね!いい映画に良い銭湯。今日は一日花丸印の大満足でした。そう言えば「電気湯」って名前、ちょっと変わっているなと思っていたら、創業100年になるこの銭湯は当時珍しく、電気で湯を沸かせていたと知りました。なるほど・・・。またひとつ勉強になりました。また、ぜひ来たいと思います。