

2024.2.13.
菊川にあるミニシアター、「ストレンジャー」にやって来た。2度目の訪問は、再映されている若者に圧倒的指示を仰ぐ名作“GHOST WORLD”を観に・・・。もちろん観ていない作品で、今回が初鑑賞。2001年の作品は、ティーンの生き様をブラックなユーモアとエキセントリックな演出で当時物議を醸し出した作品。主人公はハイスクールを卒業し社会へと一歩足を踏み出す、2人の少女イーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)の青春群像を描いています。
鑑賞後、あぁこんな時代もあったなぁ~~~って妙に懐かしい気持ちが蘇った。彼女たちほどぶっ飛んではいないが、妙に世の中を斜めに眺め抗っていたそんな時代。男と女の違いはあれど、一度は通る青春の染みる経験。良くも悪くも成長への苦い思い出といった話である。
時代を感じさせる作品は、当時の若者の冷めた感覚に溢れ、時に辛辣、そして客観的で挑発に富んでいる。歳を重ねた今、もしこれが自分の娘ならどう対処するのだろうと思い悩む。映画はフィクションだが現実と交差する内容は他人事でもない。そう思うと少し恐ろしい気持ちにもなる。元々はアメリカのコミックが原作だと知ったが、日本はここまではいってないと思う若者の生態が浮かび上がる。実態はわかりませんが・・・。なんだか妙に自分が歳をとってしまった、そんな気持ちが湧いてくる。なんでか説教をしたくなる自分が顔を出し、「いいじゃん!ほっとけよ!!」とはいかないジジイが顔をもたげるのだ。あぁ~~っヤダヤダ。なぜこんなに歯がゆいのかと考えるに、息子がちょうど今こんな時期だからと気がつきました。子どもも大変だが、親も大変です。色々考えさせられるそんな作品です。
さて、映画は2人の少女の葛藤を紡ぎ、彼女たちの目線で辛辣に毒を吐き挑発を繰り返す。ある意味素直、そしてある意味身勝手な思考である。かなりやっば目の言葉が乱舞するが、怒りより笑いを誘う。誇張もあるが本音はさらっと口から溢れ出す。思ったことをここまでストレートに口に出されると、小気味良さが上回り笑えるのである。こんな生き方良いとは言えないが、モラルでがんじがらめな社会への宣戦布告でもある、そんな気がする。22年前の作品とは思えない、切れ味鋭い作品は今の若者にはどう映るのだろう?思うに彼女たち以上に冷めた目で、この作品を観ていたらゾッとします。そうでない事を願うばかりだが、いや、裏を返せば熱いからこそ冷めた目線で世の中を観ていると信じましょう。
この作品はアカデミー賞をはじめ多くの賞にノミネートされ、多くの映画賞を獲得。今再映されるのは、きっと意味があってのこと。もうすぐ古希を迎えるわたしですが、とても刺激を受けました。彼女たちみたいな生き方はできませんが、素直に思ったことを堂々と言葉にし伝えらえるようになりたいと思います。もちろん相手を思っての事ですが・・・。人は生きていると、気が付かないところで人を傷つけているので・・・。
P.S. メインキャストのイーニド役のソーラ・バーチの演技は見事です。難しい役どころですがつまらない世の中や大人たちに争う姿は、生意気だがその裏側にあるモヤモヤした感情が繊細に表現され愛おしい。美人とは言えないがとてもキュートである。調べたらハリソン・フォードと共演した“パトリオット•ゲーム”で娘役を演じていた子だと知りました。子役の頃から評価の高い俳優さんだったようである。もう一人のキャスト親友を演じたスカーレット•ヨハンソン。もう今更言うことはない、今やハリウッドの顔とも言える女優さん。美しいだけでなく演技力にも定評があり、どんな役も見事にこなす唯一無二の俳優さんとなりました。また、新作で会いましょう。作品の見どころは他にもたくさんあり、90年代ファッションや音楽、ただ懐かしいだけでなく躍動感に溢れ、その時代をシンボライズしていています。オタクの世界も描かれ、オジサンたちも大喜びの作品です。結論「早く大人になれよ!」と思う自分と「つまんない大人になるなよ!!」と思う自分が、交差するそんな作品です。