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よもやまシネマ665 “658km、陽子の旅”
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2024.1.18.

その昔青春時代を過ごした、阿佐ヶ谷にやって来た。50年前に一人暮らしを始めたその地は、今も変わらず活気に満ち多くの人たちが寄り添い暮らすそんな姿を見せていました。
久しぶりの遠出となった映画鑑賞。某TVに 出演していた女優「菊池凛子」さんのインタビューを見て、思い立ったように訪ねた阿佐ヶ谷。菊池凛子さんと言えば、国際女優とクールビューティのイメージ を勝手に感じていたわたし。ところがインタビューに応じている彼女はとても不器用で、コメントひとつひとつを噛み締めながら丁寧に語る真摯な女性で、飾ら ない性格がとても魅力的な女性でした。その中で語っていたのが、今回初主演となった映画作品“658km、陽子の旅”。強く惹かれる、その内容に引っ張られるかのように阿佐ヶ谷にあるミニシアター「Morc」に来ていた。
さ て、感想です。日本の映画がこんなにも世界と渡り合える、素晴らしい作品を創り上げてくれたことを誇りに思う。大袈裟に聞こえるかも知れませんが、エンタ メとは一線を画した作品は誰もが抱える自分との向き合い方を丁寧に紡いだ秀作になっていました。エンタメ最優先の映画界ですが、現実に目を向けたテーマも また絶対不可欠なものではないでしょうか?現実逃避のために、映画を観るわたしがこんなことを言うのは矛盾していますが、人の中にあるどうしようもない感 情を露わにした切ないこころの動きを除くのが好きなわたし。ある意味変態かも知れません。そうすることにより、自分自身を振り返り正しい生き方ができてい るのかを、時々確かめるそんな自分がいつもそこにいます。今作“658km、陽子の旅”を鑑賞し、妙に親近感を覚えたわたしです。その訳は後ほど・・・。
映 画は主人公陽子は東京に夢を求め暮らし始め、現実とのギャップに押しつぶされ悶々と暮らしている姿から始まる。よくある話と言えばそうなのだが、だからこ そ身近に感じるテーマである。そして物語は父の訃報が突然届き、故郷青森へ帰るロードムービーへと繋がる。たった数日の出来事だが旅を通じて、多くの人と 出会い別れ人間性を取り戻していく陽子の姿は人ごとには思えないくらいリアルな現実を浮かび上がらせる。良い人も悪い人も出てくるが、そこには紛れもない 事実と現実が浮き彫りになる。名も知らぬ人たちとの出会いと別れを繰り返し、彼女は本当の自分と向き合うことができるラストは、切なくもあり、光も見え る・・・。
人 と人との繋がりの大切さを、リアルに感じさせるそんな作品はわたしの心に間違いなくヒット。とても良い作品に出会い、自信を律する時間をもらいました。菊 池凛子さんはノーメイクで全編を演じ切っていますが、とても綺麗でした。内面から滲み出る美しさと演技力に拍手を贈ります。
突然関係のない話なのだが、陽子と似た経験をしている自分。それは大袈裟に聞こえるかも知れないが、わたしの生き方を決めた旅だったと今は確信している。親との意味のない確執で、半ば家出同然に飛び出した北海道の冬。18歳 の青い時である。2週間ほどの経験で、多くの人の生き様に触れ、なんて自分がちっぽけな存在で我が儘だと思わされた旅。中湧別という駅で大雪に見舞われ、 突然放り出されたわたし。途方に暮れ茫然自失になっていたとき、声をかけてくれた一人のおじさん。まともに顔も見ることができないわたしに、そっと寄り添 い話をしてくれた。そしてよかったら家に泊まるか?と言って、サロマの自宅に招いてくれた。細々と暮らす北の家族(4人)は暖かく、わたしが失くしてし まったものがそこには間違いなくありました。そんな経験がふと蘇るこの作品、“658km、陽子の旅”は、わたしにはかけがえのないものとなりました。ぜひ、見て頂きたい作品です。
P.S. 20年 後にサロマに行き、その家族を訪ねた。やっと探しあてた家にはお母さんがひとり暮らしていた。お父さんは数年前に亡くなったと聞き仏前に手を合わせたが、 色々な思いが胸に溢れ涙が止まらなかったことが今も忘れられない。その後ご家族は今も、元気で暮らされています。私的な話で、申し訳ありません・・・。


by eddy-web | 2024-01-20 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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