銭湯探訪62 玉の湯(杉並区阿佐谷北1)
2024.1.18
懐かしの地、阿佐ヶ谷にやって来た。社会人になり一人暮らしを始めたのが、南阿佐ヶ谷。当事住んでいたアパートは家賃20,000円弱の安アパート。隣の建物との間が50cmくらいしかなく、西日が夕方30分くらだけあたる場所。それでも初めての一人暮らしは、夢と希望に溢れ、襲う襲う寂しさと闘いながら過ごした青春の地。あれから50年の時を経て、再び訪れた街の風景は思っていたほど変わりなく、昔ながらの下町情緒で溢れていた。
今年最初の銭湯探訪の旅は、ミニシアターに行っての帰り。駅前は昔ながらの活気に溢れ、多くの人で溢れていた。人並みを掻き分け目指す銭湯は、北口を出て5分くらいの細い路地を抜けたところに佇みわたしを迎えてくれた。道に迷うことなくすんなりたどり着いたそこは、5叉路の端にあり玄関前をドンと木が塞ぎ看板を隠していた。長い間街の人たちを包んでいたであろう、その姿は小さな街のおくふろさんて感じでした。暖簾をくぐり中に入ると、比較的若いご主人が出迎えてくれた。サウナを一緒に頼み、いつものスタンプ帳にハンコをもらったわたし。脱衣所は昔ながらの高い天井で開店して間もなかったためか、客はまばら。やはり地元のお年寄りが多く、そこら辺はいつも通りの風景である。さっさと支度を済ませ、いざ浴場へ・・・。メインの湯船の背景には、大好きな「富士山」の絵が待ち構え“ようこそ”と言っている。女湯との境の壁には大きなタイルが貼られ、「イルカの飛び跳ねる絵」が施され開放感を煽る演出。和と洋のコラボ的空間は、何とも言えない安らぎを感じさせてくれる。そんなに広くはない浴場だが上手にレイアウトされたラカンの配置で、無駄のない空間利用ができている。湯船は4つに分かれ、ジェットバス、電気風呂、薬湯、そして水風呂。サウナでしっかりと汗を出し、水風呂にどぶん!「あ~~っ!たまらん!!」全身の毛穴がピシッと音を上げ叫んでいる。久しぶりに静かな時間を堪能し、身も心もリラックス。やはり銭湯はわたしには欠かせないオアシス。滞在時1時間と45分。
玄関を出ると、夕日が傾き、夕焼けの茜色が美しい。帰り道沿いにあった「神明宮」という神社でお参りを済ませ、我が街東陽町へと電車に乗り込んだ。電車の中で、今日観た映画
“658km、陽子の旅
”を思い浮かべその余韻に浸りながら帰宅の途に・・・。とても良い一日に感謝。明日は何をしようかと、すでに頭は前を向いている自分である。