長い間、新作映画に触れていない。新型コロナの影響で、何もかもが止まってしまった現在。みなさんはいま自身とどう向き合って過ごしていますか?趣味の中 でも一番と言っていい映画鑑賞が出来ない中、わたしは何とか時間を大切に普段出来なかったことを探しながら毎日を送っています。以前お約束した、今までに 観た映画作品のベスト(50年間)の作品をあげ紹介すると約束したのを覚えてますか?なかなかその切っ掛けがつかめずいましたが、やっと重い腰を上げはじ めようと思います。2000本近く観た作品の中から選ぶのは大変でしたが、ぱっと思い浮かぶ作品が10本ほどありましたので少しづつ紹介していきたいと思 います。前の記事で「死ぬまでに観たい映画1001本」という本のことを紹介しましたが、これから紹介する作品はあくまでもわたし個人の好きな作品たち。 ですから「えっ!」と思うひともいるかも知れません。自分勝手な独断と偏見に満ちた作品選びですので、余り期待をしないで喜楽に読んでください。選んだ作 品は先ほど紹介した本にも載っていないものも多く、もしかしたらかなり自分よがりなチョイスなのかも知れません。ですので野次馬的に聞いていただければ幸 いです。
さて、まず何と言っても一番に思い浮かぶ作品は“ブラザー・サン・シスター・ムーン”で す。たくさん観てきた映画の中でも、わたしが最も心打たれた作品はこれをおいてありません。1972年公開の作品はイタリアの巨匠フランコ・ゼフィレッリ 監督の作品で、アッシジのフランチェスコ(実在の人物)の半生を描いた青春映画です。宗教的題材の作品ですが、説教臭さも控えめですんなりとこころに沁み る素晴らしい作品です。わたしは宗教にはとくに興味はありません。信じるとか、信じないなどという話しも人それぞれで良いと思う無信心の人間。でも自身の 中には確実に信じているものがあり、それがわたしの中の神(仏)。そんなわたしが18歳のとき出会ったこの作品は、その後の自分の生き方に少なくともなに がしかの影響を与えたことは間違いありません。何十回観たか覚えていないくらい観た作品のひとつです。
何度観ても感動を味わえる作品は、十字軍の 戦いに出むく若者たちのシーンからはじまる。BGMにドノヴァン(スコットランドの歌手)の曲が印象的につかわれ、プロローグから一気に画面へ引きずり込 まれていく。凄く重たい感じで始まるが、一人の青年のこころの変化が美しい映像と音楽により見事に浮かび上がり、真実とは何か、幸せとは何かを考えさせら れる。現実とはかなり隔たりがあることは承知していても、何故か涙が止めどなく溢れてくる作品である。主人公のフランチェスコが自信の行いが間違っている のではと悩み、仲間と共にローマ法王(アレック・ギネス)にその答えを問いに行く。思いの丈を法王にぶつけるラストシーンは圧巻で胸が締め付けられます。 法王の行動が、当時いろいろと取りざたされ議論を呼んだが、わたしは素直にその結果を受け止めました。ぜひみなさんにもご覧いただき、意見を聞かせて欲し いと思います。
と言う訳でやっぱりこの作品がわたしの好きな映画一番。説明できませんが、わたしの好きな人にはぜひ観て欲しい一作です。
P.S. ヒロイン・クレアという娘役を演じた、ジュディ・ボウカーが息を飲むほど美しいので、きっとみなさんファンになります。透明感漂う彼女の美しさは、正直 この世の人とは思えません。残念ながらこの後映画に出演したのは、10年後の1本(タイタンの戦い)だけ。TVドラマの「黒馬物語」に出ていたと聞いては いるが観たことはありません。こんな清楚で淑徳な感じを漂わせる女優さんは後にも先にも、このひとだけである。
※監督のゼフィレッリはヴィスコン ティの弟子にあたり、“じゃじゃ馬ならし”でデビューした後“ロミオとジュリエット”でその名を世界に知らしめたひと。シェークスピアの作品が多いが、名 作“チャンプ”も彼の作品だと付け加えておきましょう。やはり名匠と呼べる人では無いでしょうか?