

2023.9.29.
シネマカードに貯まったポイントを使い、普段あまりチョイスしない作品を観ていることは以前記載したと思います。そのポイントを使い今日は、“名探偵ポアロ”を観に来ました。ポアロと言えば、アガサ・クリスティの描く推理小説に登場する、架空の名探偵。日本ならさしずめ明智小五郎か金田一耕助といったところ。いままで映画化された作品も何本かあり、サスペンスの好きなファンにはたまらないといったものばかり。わたしも好きでほぼ観ている。その中でも“オリエント急行殺人事件”は一押しで、キャストの豪華さはもちろん、歴史上の事件を巧みに取り入れた作風は妙にリアリティを感じ好きな作品のひとつ。二度映画化されていますが、1作目が個人的には好き。ファンのジャクリーン・ビセットが出ているせいもありますが・・・。
いままでポアロの名を題名にした作品はなく、今回がはじめてと記憶している。その当りも今作にひかれた要因のひとつ。タイトルに名をあげるくらいだからきっとポアロの人物像にせまるような展開ではと、勝手に解釈し観覧。思っていたほどポアロの人物像には迫っていなかったが、いままで観て来たポアロ作品とはテイストの違う作り込みがされていて、エンタメと言うより芸術的な表現になりクオリティが高い作品となっていた。ミステリィに加えスリラー要素が加わり、結構ドキドキさせられる。飄々と事件に挑むポアロの姿は今までどおりで、そこに違和感はなかった。明らかにつがうのは映像表現で、舞台がベネチアということもあったとは思うが、舞台の背景描写が見事に映り品の高い作品に仕上がっています。いままでの作品に比べ懲り方がマニアてきなので、戸惑う方も多いかも・・・。わたし的には新しい表現と捉え充分楽しめました。俳優陣もそんなに有名人を揃える訳でも無く、演技勝負の舞台を繰り広げています。そのため事件の全貌はなかなか読み取れず、ずっ~~~~~~っとモヤモヤした展開。全体的に密閉された空間の中での出来事なのは今までと河原に画、闇の中で繰り広げられるので妙に息苦しさを覚える。ここは制作陣の狙い通りと言ったところでは無いでしょうか?カメラアングルや照明、音響とバックを支えているスタッフの技術が最大限に生かされ、質の高い作品となっています。先ほど有名な俳優さんはあまり出演していないといいましたが、アカデミー女優のミッシェル・ヨーが怪しい霊媒師役で出ています。さすがの存在感ですが、早々に姿を消しちょっと残念。ポアロ役のケネス・ブラナーはすでにこの役が3回目となり、風格さがましています。今作は監督・制作を含め3足の草鞋をはき、大活躍です。シェイクスピアの作品に多く出演する役者さんは、数多くの作品で常に高い評価を受けている名優。品が良く、まさにアガサ・クリスティがイメージするポアロそのままと言うくらい塡まっています。物語の結末はもちろん書きませんが、いままで感じたことのない重厚なポアロ作品になっています。観に行きましょう、みなさん。
P.S. 神秘に満ちたイタリアの水の都ベネチア。その町を背景に繰り広げられる、人々が抱えるこころの悲しみが幻想的に描かれた新しいポアロ像。ポアロ自身の再生もふくまれ、なかなか興味の尽きない作品です。唯一子役で出ていた少年が、とても印象に残りました。きっとこれから、出てくる才能のひとりだと思います。
※ケネス・プラマーのポアロシリーズは3作目ですが、パンフの表紙デザインがシリーズ化されており、とてもいい企画となっています。文字の選択やピクトグラムの扱いなど、シンプルで美しいデザインになっています。
▼ナイル殺人事件のパンフ画像(2022年3月)
