大林宣彦監督が亡くなり早3年の月日が経った。いまもあの優しい眼差しで語る大林監督の笑顔が瞼に浮かぶ。有楽町の名映画館スバル座が閉館になる時、最後を飾る作品となった監督の「花筐/HANAGATAMI]」を観た少し後、監督の訃報を知った。青春時代を監督の作品と共に生きて来たわたし。尾道3部作をはじめ、数々の名作を世に送り出しわたしたちの乾いたこころにいつもやさしい水で潤してくれた監督はもういない。多くの新人女優を作品で輩出してきた監督だが、その女優さんたちもみなベテランとなり今も輝いています。監督作品は全部好きで嫌いな作品は見つからない。監督が描く作品は何故か懐かしく、行ったこともない場所がまるで故郷のような感じに思え不思議な感覚をいつも与えてくれた。もっと沢山の作品を観たかったです。
さて、今日はわたしが一番好きな大林作品「ふたり」のお宝ポスターを紹介します。はじめてこの作品を観た日、涙が止まらず嗚咽したことが思い出されます。同作品を1週間毎日劇場(松竹セントラル)へ足を運んだわたし。こんな作品はそう沢山はない。今観ても名作中の名作である。観ていない人は絶対観てほしい作品です。劇場で売っていたポスターは、わたしのお宝中のお宝です。野口久光氏のイラストが何とも言えないノスタルジーを感じさせ、映画の雰囲気を見事に表現しています。
※野口久光(のぐち ひさみつ)日本の映画、ジャズ、ミュージカル評論家。そして画家、グラフィックデザイナー。生涯1000点を超えるポスターを描いたといわれている。東和映画宣伝部に入社し、「天井桟敷の人々」「第三の男」「禁じられた遊び」「大人は判ってくれない」など、戦後の欧州映画の傑作ポスターを数多く描いている。
大林監督の作品は、「ふたり」「青春デンデケデン」「はるか、ノスタルジー」の原画を描いた。
P.S “ふたり”の映画挿入歌として使われた「草の想い」と言う歌が大好きで今も良く聞いています。歌っているのは主人公の姉役・中嶋朋子。作詞は大林監督自身で決して上手いとは言えない中嶋の歌だが、大林監督が絶対に彼女に歌って欲しいと願い生まれたもの。沁みます・・・。