

2023.1.26.
ひかれる作品が見当たらない中、選んだのは、“そして僕は途方に暮れる”。ここのところ洋画の公開が少なく、邦画や韓流作品が続いている。邦画が嫌いな訳ではなく、自分の中でバランスがあり出来ることなら2対1くらいで観れると嬉しい。
さて今回は邦画の、“そして僕は途方に暮れる”をチョイス。このタイトルでピント来る人は、ほぼ昭和世代。昭和59年(1984)に大ヒットした、大沢誉志幸の楽曲名である。そんな訳でわたしがこの作品を選んだのは、タイトルにひかれたということ。
さて、作品の感想です。映画の出来は別にして、主人公の生き方にうんざりしたのが正直なところ。昭和世代のわたしには、到底承認できない最低な人間の姿が浮かび上がっています。家庭環境だとか、現代社会が抱える闇だとか、いろいろな問題はあるにせよ人としてどうなの?ということ。劇中で友人から、この台詞「ひととしてどうなのよ?」と、この言葉を浴びせられる。まさにこれがこの作品のすべて。不愉快極まりない人間の生き方が、描かれています。夢も希望もない、そんな生き方にみなさんは何を想うのでしょう?まさか賛同はしないと願いますが、主人公の気持ちが「解る!解る!!」なんていう人がいるなら、意見を聞かせていただきたい。生きることは大変だし、そんな簡単なことでもない。自分を見つけることでさえ、難しいこと。目標や目的が見つけられるひとは、間違いなく幸運なひと。大半の人間は、主人公のように生きることで精一杯かも知れません。ただこの作品の主人公のように、自分に都合よく逃げて生きているひとは、そうはいないと信じたい。都合良く生きているずるい人間を、余り好きになれないわたし。自身そんなに胸を張れるような生き方をしてきたか?と問われればNO。決して優等生でもなく、むしろ劣等生といえる。ただ自分なりに一生懸命には生きてきたし、生きていると思う。ある意味、主人公のように自分勝手なところはあったが・・・。この作品で作者はなにを伝えたかったのだろう?こんな人生を送るなよ!ってことなのか。それくらいに見終わったあと、胸くそが悪くなる作品だったと言っておこう。ひとつ救いがあるとするなら、問題提議には確実になっている事。わたしの中に残った、モヤモヤはしばらく続きそうだが、これを解決するには同世代のひとたちに意見を問うこと。すでに行動にうつし周りに声をかけている。「最近こう言う映画を観て、こんな気持ちになったが観たら感想を聞かせてくれないか?」と・・・。正直にここに述べたような感想を聞かせ、その上決して楽しい映画ではないけど、ぜひ観てくれると嬉しいとは、それこそ自分勝手な要求である。いままでこんな形で作品をお勧めしたケースがない。頼むのはこころが引けるのだが、どうしても他の人の意見を聞きたいのである。そうでもしないと、このままではこころが渇いたままになり苦しいのです。だれでもいいです、賛同でもかまいません感想を聞かせてくれると助かります。
P.S. 最近では珍しく落ち込む気分を味わいました。ラストシーンの主人公が振り返り「薄ら笑い」の表情を浮かべるところ、恐いくらい冷めていました。主人公の菅原裕一を演じたキスマイの藤ヶ谷太輔くんは、凄かったです。見事という言葉しか見つかりません。こんな難しい役をよく最後まで演じきったと思います。彼なりの苦悩はきっとあったとおもいます。魂が乗り映った演技といっても過言ではありません。脚本・監督を務めた三浦大輔さんにも拍手です。好き嫌いは別にして、すごくこころに残る作品となりました。賛否が分かれるテーマをここまで突き詰めてまとめたのは凄いと思います。携帯を使った演出が、まさに今を象徴していて、「ひととひととの繋がり」の希薄さが伝わる作品です。悪いことばかり愚痴ってしまいましたが、観る価値はあると思います。