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よもやまシネマ592 “THE FIRST SLAM DUNK”
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2023.1.06.

往年のバスケ漫画“SLAM DUNK”が、映画になり戻ってきた。32年も前の1990年に「週刊少年ジャンプ」で連載がはじまり、その後アニメやゲームも制作されたバスケットボールを題材にした全276話にわたる漫画作品である。作者はストイックな作風で知られている井上雄彦氏。いつだったか記憶は定かではないが、地元の現代美術館で「井上雄彦展」を観にいったことが思い出される。会場に入るや天井からつるされた大きなバナーに描かれた「バガボンド」の主人公武蔵の眼力鋭い肖像に圧倒的なパワーを感じたことを思い出す。失礼な言い方に聞こえたら謝りますが、一漫画家さんが美術館を借り切って個展をするなんて想像したことさえなかったわたし。その時に感じた圧倒する画力の凄さは、いまだに忘れることの出来ない出来事でした。画の上手な漫画家さんは多いが、漫画の枠を超えた画力の作家はそう多くない。その数少ない作家のひとりが井上雄彦氏ではないだろうか?
さて、話を映画に戻しましょう。今作は漫画でも最後で描かれていたインターハイの強豪山王戦を、緊迫感溢れる構成と表現力で描き締めくくっています。当時夢中で読んだ光景がまさに蘇りたまりません。ただ今作の主人公は漫画の桜木花道ではなく、いがいやサブキャラ的存在の宮城リョータになっている。物語では小柄だがたぐいまれなるセンスと冷静な判断力を持ち合わせる時期キャプテン候補と周囲からも認められた実力者。彼のバスケットにかける人生にスポットを当てるかたちで物語は進んで行く。わたしは素直にこの表現の選択を受け止め物語に浸ることが出来ました。派手さやユーモア的部分は漫画より少々少なめだが、その分シリアスな表現が満載です。単純にスポーツが秘めるひとのこころに響く、緊張感、高揚感、幸福感などが独特な作風とスピード感溢れる演出が見事にマッチングされ、心臓がばくばくするようなリアルな世界に引き込まれました。これだからスポーツは辞められないといった気分になれます。観ているだけでそう思うのだから、やっている人たちにはたまらないに違いない。バスケットは高校以来やってないが、他の競技にも通じる醍醐味が存分に表現され、最後まで楽しめる良い作品でした。原作と違いリョータが軸になっての展開ではありましたが、山王戦での試合シーンでは、メンバーひとりひとりにちゃんとスポットを当て、見事にこころを繋いだ青春を創造しています。井上氏の作品はみなそうだが、本人同様もの凄いストイックな角度や目線で心理を紡ぎだし、特別な人間ドラマを創りだしてくれます。大好きな作家さんのひとりですが、どの作品もラストの締めがどれも「お預け!」って感じで終わっていて、いつまでも引きずってしまい、次を期待してしまいます。何とも言えない余韻を残し、いつまでも忘れられない思いを残していく、巧みな仕掛けをする天才です。取りあえず、漫画嫌いも、スポーツに興味ないひとも、こんな世界があるんだということを観に劇場に足を運びましょう!!
P.S. 井上雄彦さんは今の漫画界において、唯一無二の画力を持つ作家なのはファンならみな認めています。漫画大ファンのわたしはいままで沢山の漫画と出会い、青春をともに生きてきました。最近の漫画はあまり知りませんが、なんとか情報を得ながら流行にはついて幾度力を続けています。内容はもちろんですが、やはり画力の美しさには強く拘りを持っています。そう言う意味では井上さん以外だと、荒木飛呂彦氏、鳥山明氏、大友克洋氏などが大好きです。みなさんは好きな作家さんはいるでしょうか?日本の漫画は世界でも認められる文化。それを支える作家さんたちには、「ありがとう」の言葉と拍手を贈ります。


by eddy-web | 2023-01-09 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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