人気ブログランキング | 話題のタグを見る
よもやまシネマ586 “ザ・メニュー”
よもやまシネマ586 “ザ・メニュー”_e0120614_14432340.jpgよもやまシネマ586 “ザ・メニュー”_e0120614_15431840.jpg



2022.11.25.

いまもっとも気になる女優さん、アニャ・テイラー=ジョイの新作“ザ・メニュー”を鑑賞。個性溢れる顔立ちに神秘的な雰囲気を醸し出す彼女。はじめて見た作品は、N.シャマラン監督の“スプリット”。“アンブレイカル”に繋がる3部作のひとつ。物語の重要なファクターとなる少女ケイシーを演じ、多重人格の主人公ケビンとこころを通わせる。このシリーズは大好きな作品で、ホラーとスリラーを掛け合わせたN.シャマラン監督の世界が存分に味わえる、ファンにはたまらない作品。当時20歳。少女から大人への扉を開けはじめた頃の、マントも言えない雰囲気が画面から溢れひとめ観た瞬間に、きっとこの子は映画界に名を残す俳優さんになるのでは…、と感じていた。予想通りで、めきめきと頭角をあらわし次々に主演作が続いています。個性的な顔立ちは一度見たら忘れることのできないインパクトをそなえ、声がまたセクシーでこれもまた耳に残る。天性の才能に恵まれたそんな女優さんとわたしはとらえています。
つい最近観た“アムステルダム”でも個性を爆発し、主演の3人(クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィット・ワシントン)を喰う勢いでした。
さて、“ザ・メニュー”の感想です。久しぶりにクリエイティブでスタイリッシュな映画に巡り会うことがで大満足。導入部から怪しい雰囲気が漂い、いったいこれから何が起こるのだろう?と思わせる。R15+指定の作品だが、お洒落な演出が随所にちりばめられ決して不快な感情にはならない。ブラック・ユーモアのエッセンスが満載で小気味イイ。物語は太平洋の孤島にある超高級レストランで繰り広げられる、究極のフルコースを求めてやって来たセレブたちと、それをもてなす超一流セフとに悲喜こもごものやり取りが過激な演出で展開される。集う人間たちの煩悩が入り乱れ、出される美しい料理とはウラハラにその醜い本能が浮き彫りになっていく。最後まで眼の離せない展開は、観客を釘づけにするが人によっては苦手なひともいるかも?わたしにはその創造力の高さに満腹になる作品となりました。
ひとりだけこのレストランにはふさわしくないと言われたマーゴ役のアニャ・テイラー=ジョイの魅力がこの作品でも光っています。彼女の出て来た作品は、この手のミステリーやサスペンス仕立てが実に似合う。さきほど言った彼女の持つ唯一無二の雰囲気と独特な顔立ちが、いろんな監督さんのこころを掴んでいるに違いない。わたしのこころを掴んだのと同じではないだろうか?2024年公開予定の“フュオリサ”(マッドマックスのスピンオフ作品)に出演が決まっている彼女。その理由をメガホンを取ったジョージ・ミラー監督が2021年公開作“ラストナイト・イン・ソーホー”の演技を観て、すぐに彼女とあったと語っています。撮影はすでに終了していて、後は公開を待つばかりとなっている作品だが、彼女は若き日の女戦士フュオリサを演じている。もう観る前から期待でわくわくする。とにもかくにも今、彼女から目が離せません。
“ザ・メニュー”に出演していた俳優陣は、あまり知らない方ばかりでしたが「最後の晩餐」の不思議な演出の料理が出て来る度に、一枚また一枚と裏の皮が剥がされていく姿を見事に演じていました。給仕長エルサを演じたホン・チャウ(ベトナム人)さんが、とても印象に残る演技をされアジアの俳優さんが活躍している映画界に期待が広がります。最後に料理長スローヴィック役を演じたレイフ・ファインズの、深みのある演技は作品に品格ささえ生みさすがと思わせてくれます。“シンドラーのリスト”でその名が知られ、映画のみならず舞台へも手を広げ高い評価を得ています。何と言っても忘れてはならないのは、“ハリー・ポッター”シリーズの仇敵ヴォルデモートは印象深い。特殊メークで顔を造りこんでいましたが、目はやはり彼の眼力を象徴的に演出しファンタジー作品とは思えないほどの重厚感を創り上げました。彼の存在は凄いと思います。
P.S. この作品の製作は、いま最も勢いがあると言われている「サーチライト・ピクチャーズ」。「映画ファン“本物の映画と出会う機会を」がコンセプトの製作会社といわれているそう…。それは過去の作品の名を上げれば一目瞭然。“フル・モンティ”“ブラック・スワン”“バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇蹟)““スリー・ビルボード”“グランド・ブタペスト・ホテル”“シェイプ・オブ・ウォーター”と切りがないほどの作品群。どれもいずれ劣らぬ表現力と確かな創造力が結集した作品ばかり。やや難解なものも中にはあるが、確実に新しさを常に求めているクリエイティブ集団といえる。低予算でありながら、監督、脚本家、アクターなどの新しい才能を発掘する、これからも目が離せない製作会社です。感性を磨くには、史上級クラスのメニューを用意してくれること間違い無し。
by eddy-web | 2022-11-26 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
<< よもやまシネマ587 “母性” よもやまシネマ585 “ある男” >>


S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
最新の記事
カテゴリ
以前の記事
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 06月
2007年 05月
フォロー中のブログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


logobr.gif