2022.11.16.
新海誠監督の新作“すずめの戸締まり”が、公開となりました。公開日は前回このブログで紹介した“ブラック・パンサー”と重なり、どっちを選択するかさんざん迷いBPを選びました。別に優劣をつけた訳ではなく、何となく・・・。
さて、公開初日から多くのメディアに取り上げられTVのとある番組で監督と主人公の声を担当した二人が揃って出ていたのを拝見しました。監督は何度も今作“すずめの戸締まり”は、いままで積み上げてきた作品の集大成とも言うべき渾身の一作だと言っていました。新作を拝見知る度に全力で創っているのが伝わる作品ばかりなので、あえて渾身と言ったことにはきっとなみなみならない決意というか覚悟があったに違いありません。そう思うとみる前から、ワクワクドキドキの感情が全身を駆け巡りスクリーンに目が釘付けになっていました。相変わらずの作画のクオリティ高さに息を飲み、静かな出会いからジェットコースターに乗った気分のスピード感溢れるストーリー展開は時間を飛び越えてしまう感覚を誘います。そう言えばインタビューの中で、僕は監督でただ物語を舵取りする役割で、それに答えてくれるスタッフやキャストのひとたちの熱い念いがなければ完成していません・・・と。監督にひかれるひとはきっと観客だけではない、そう思わせるコメントでした。ほんの少し前に初期の監督作品、“秒速5センチメートル”を観た感想を書きました。軸はぶれていないと感じるのは、ひとの多くが抱える負の内面をとても大切にそして丁寧に向き合い描いているということ。この部分がひとのこころに刺さる要因ではないでしょうか?忘れてしまわなければいけないことは、忘れてしまってはいけないことに繋がるそんなメッセージが込められているとわたしは感じます。ひとはそうして繋がっているのだと、おもう自分です。
さて、物語は大ヒットした“君の名は”や“天気の子“と同様、現実とファンタジーを折り重ね新海ワールド全開モード。その臨場感は実写と変わらない、いやそれ以上の緻密な計算によって創り上げられ息を飲む映像表現となっています。インタビューの話になりますが、相当な時間をかけあらゆるところに拘りをもって創り上げたことを語っていました。その話はとても深く、サラッと観ていると築かないそんな場面が多くやっぱり監督は凄いなぁ~と改めて思いました。正直言いますが、物語の構成がいままで観てきた監督作品以外の多くの観てきた作品のテイストを感じるそんな感覚を覚え、なかなか集中出来ませんでした。それが物語が進むにつれ、知らない間にすっかり新海ワールドに飲み込まれラスト近くでは涙していたわたし。監督はこれで良かったのかと、いまも思っていると述べていましたが、そんな迷いを持ち続けながら、常に「いま伝えたいことは」をテーマに進んでいる監督の繊細な感情が人のこころに届くのではないでしょうか?常に人に寄り添い創作を続ける監督を、これからも応援します。
P.S. 新海監督といっしょに主人公の鈴芽役をやった原菜乃華さんと、草太役の北村北斗さんがインタビューに出演していて、お顔を拝見した時アニメのキャラそっくりなのに驚きました。たまたま似ていたのか、それとも制作段階で似せて描いたのかは解りませんが・・・。ビックリです。いただいた新海誠本という観覧プレゼントに書かれていた中で、劇中のひとこと(台詞)や、タイトル名が決まるまでの現場の試行錯誤の話がとても興味深く、苦労が垣間見ることができ「渾身」の意味が伝わりました。次回作も楽しみに待っております。