2022.11.04.
情報なしで鑑賞した作品、“天間荘の三姉妹”。導入シーンから何か不思議な感じで、いきなり出て来た名が「イズコ」。えっ!もしかしてこれって???と思って観ていたら、やっぱりという確信になりました。見終わってから調べると漫画家・高橋ツトムの代表作「スカイハイ」のスピンオフ作品とのこと。なんだかちょびっと嬉しい気持ちになりました。TVドラマで観た時にはまっていた「スカイハイ」が懐かしく甦る。TVでは道先案内人イズコは釈由美子さんが演じていて、ミステリアスな感じがとても印象に残った上、毎回創り上げられるストーリーにも引き込まれラストシーンの3つの選択はいつもドキドキしたものだ…。あれからどのくらいの年月が経ったのか解りませんが、今再び「イズコ」に再会で来るとは夢にも思いませんでした。死後の世界を描いた作品は何度も観てきましたが、もともとこの手の世界観は大好きなので今回もどっぷりと浸かってしまいました。
「スカイハイ」とは違い、サスペンス調の展開はなくヒューマンドラマとして創られている今作“天間荘の三姉妹”。イズコ役は柴咲コウが演じとても良い人(イイ番人)になっております。全身黒ずくめの衣装はそのままですが…。
少しわざとらしい演出やCGの表現もありますが、夢物語と思えばすべてゆるされること。内容には触れませんが、最後まで我慢していたわたしも最後は涙を止められませんでした。先ほども言いましたがこの手のストーリーにはめっぽう弱いわたし。過去に観た作品では、大林監督作の“あした”、柴咲コウが謎の歌手として主題歌を歌った、草薙くんと竹内結子主演の“黄泉がえり”、辻村深月原作の映画“ツナグ”。どれもわたしのこころに刻まれた、不思議ではあるが信じることのできる世界が描かれている名作ばかり。どの作品も主題歌が強く印象に残る楽曲で今作“天間荘の三姉妹”も、エンドロールがはじまると流れ出し、だれが歌っているのかと席を立てない?確認出来た時、なるほどとひとりでその歌を噛み締めながら席を立ちました。
三姉妹を演じた3人、たまえ(のん)、かなえ(門脇麦)、のぞみ(大島優子)。それぞれに難しい役どころをしっかりと表現していて、とても引かれる人物を演じていました。お母さん役を演じた寺島しのぶさんは、懐の深い演技でドラマを締め、重みのある作品にしています。友情出演で多くの役者やミュージシャンが出て来て、ラストはお祭り状態。ちょっとやり過ぎ感は否めませんが、それも全部許したいわたしです。
忘れかけていた震災が甦りますが、忘れてはいけないことだと再び思うことが出来ました。大切なひとを想い、しっかりと地に足をつけ行きていこうと改めて思うそんな作品です。ぜひ、ご鑑賞を…。