

2022.10.20.
“ジョン・ウィック”のスタッフが仕掛けるアクション大作と聞けば、鑑賞せずにはいられない。そして観た作品は、“ザ・コントラクター”。主人公ジェームスを演じるのは、“スター・トレック”のカーク船長を演じ、そして“ワンダーウーマン”シリーズと立て続けて大作SFアクションに出演しスターダムに名をあげたクリス・パイン。そして脇を固めるのが、“24”シリーズでお馴染みのキーファー・サザーランド。その他ベン・フォスター、エディ・マーサンなど、名バイ・プレーヤーたちが勢揃い。これだけ役者が揃えば、期待をしないわけにはいかない。宣伝文句は「新生ジェイソン・ボーンの誕生」。
さて感想ですが、久しぶりにコメントが悩ましい作品となりました。好きとか嫌いとかがはっきりしていれば、コメントのしようもありのですが頭のいたい作品です。
物語は軍事任務で負傷し、強制的に除隊させられた特殊部隊の元隊員が生きるために選択した民間軍事組織への加入から物語ははじまる。この手のストーリー展開はいままでもかなり多くあり、数えれば切りがない。アクションシーン満載なのは解るが、コンセプトがしっかりしていないとなかなか印象に残らないのが現実。この作品も正直言えば、数年も経つと記憶から消えてしまいそうな話になる可能性がある。物語自体よりわたしが感じたことは、アメリカという国が抱えた戦争への関わりが、多くの人の人権を無視しているのではという大きな疑問がふつふつと湧いて来る。国のため、家族のため戦ってきた退役軍人たちの行き場のない社会が見え隠れし空しい。利用する人間(騙されるひと)と利用される人間(騙す人)の関係は、時代がどう変化しても永遠に続いているという現実だけが、しっかりとこころに刻まれた作品でした。
思い起こせばスタローンが演じた“ランボー”の第1作が、まさにそれを象徴する反戦を謳っていた映画である。シリーズ化されどんどんと内容は変化し、最後はまるで戦争賛美のような状態になってしまったのはとても残念でならない。第1作以外の作品は、現代版のスーパーマンとしか言い様もなく、反戦を掲げていた1作目とはまったく別物になったと理解している。商業がらみの作品といえる代表各ではないでしょうか?
話が変な方向になりましたが、ようは今回の作品で感じたのは、何を観客に伝えたいのかが見えて来なかったということ。いままで多くの映画を観てきましたが、すべてを覚えているかと言われればNO!残念ながら観た時はまだ記憶にあり、それなりに楽しんではいるのですが時間が経つとともに印象が薄れ、ひとに印象を聞かれても答えられなくなる。記憶に残る映画とは、やはり名作なのだと思う。残念だが今作は、いつかわたしの記憶から消えてしまう作品かも知れません。ここのところ洋画で良い作品に巡り会えず、ちょっとモヤモヤしているわたし。年末に近づき、話題作が登場を待っている状態ですがワクワクドキドキさせてくれる作品を心待ちにしています。
P.S. 大好きな俳優エディ・マーサンが、久しぶりに登場し嬉しかったのですがあっさりと画面がから消えもうちょっとという思いが・・・。地味な俳優さんですが、まさにアクターと呼べる俳優さん。もっと大切に扱ってほしいと願うばかりです。彼の主演映画“おみおくりの作法”は本物の名作です。絶対にお勧めの一本。観て損はない作品ですので、騙されたと思って観てください。決して騙したりはしませんので・・・。