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よもやまシネマ575 “百花”
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2022.9.9.

“百花”を鑑賞。公開前から気になっていた作品で、まずタイトルの“百花”という美しい字面にとてもひかれるものを感じていました。日本映画は一時低迷していた時期もあったが、いまは優秀なクリエーターが沢山出て素晴らしい作品が次々生み出されています。
さて、今作“百花”ですが、今年観た中ではもっともクォリティーの高さを感じるそんな作品でした。まだ今年は終わっていないので、この作品を上回る作品と出会えるかは解りません。この作品で長編作品デビューを果たした川村元気氏。いままで映画プロデューサー・脚本家として、「告白」「悪人」「君の名は」「竜とそばかすの姫」など、実写やアニメの枠を超えた話題作を世に送り出してきた。どの作品もこころに残る素晴らしい作品ばかり。プロデューサーという仕事は、あまり目立たないいわば「縁の下の力持ち」的存在。普段は余り気にとめないのだが、今作“百花”を鑑賞し、その類い希なる才能をまざまざと感じさせてくれこんな凄いひとがまだ隠れていたのか?と・・・。監督は映画制作の一方で2012年に執筆した「世界から猫が消えたなら」を発表し、その後数々の話題作を発表。小説家としても各界から称賛を受けているひと。世の中にはまだこんな人がいるんだと、その才能に脱帽です。“世界から猫が消えたなら”も映画化されているので観ていますが、今思うにこの時の原作者が“百花”の監督と知り納得。“世界は~”はファンタジー系の作品だがドキュメント性が強く地に足のついた作品として強くこころに残っています。人がもつ心理をきめ細やかに描写する演出や映像美が不思議な空間を創り上げ、何とも言えない心地にさせてくれたことが思い出されます。きっとこの方は人間観察にすごくたけた人で、どんな人でも抱えている表や裏の心理を読み解く天才なのかも知れません。
“百花”は、川村元気氏の原作を自ら映画化した、ひとの記憶の儚さや執着を軸に構成された親子の絆を描いた物語。解説によると、この物語は監督自身の実体験から生まれてきたものだとのこと。記憶というテーマに深く切り込んだ作品は、映画を通し自分の中にある「記憶」の不確かさにちょっとこころが揺らいでしまう。思い込みで記憶をゆがめているのではと何度もハッとさせられる。そしてもう一つ大きなテーマとして「認知症」という現実が横たわる。さけては通れない問題が目の前に突きつけられ、ひとごととは思えない年齢になっていわたし。明日は我が身と思うと、知らず知らず映像の中に取り込まれ、気がつけば涙が溢れていました。正直怖さももちろんあるのですが、残る記憶が少しでも幸せを感じられるものであってくれると嬉しいのですが・・・。
細かい話を少し。映像の美しさが際立っていて、どの場面も強くインパクトを残す描写を創り上げています。昔から使われて来た映像表現、ワンカット(長回し)=ワンシーンという手法を使い緊張感溢れる作品に仕上がっている。撮影側も演じる役者さんたちも一切気の抜けない、そんな現場の雰囲気が伝わるのと同時に、それを感じさせない見事な表現(緻密)になっています。監督の拘りがスタッフにしっかりと伝わり、結果このクオリティの高い作品が生まれたのではないでしょうか?切なくて儚くて、触れると消えそうなそんな記憶だが、だからきっと美しいのでしょう。そんな記憶を残せたら、どんなに幸せでしょうか?さて、感情移入が強いわたしですが、この作品が今年度BEST1になることを願って今日はお開きとさせていただきます。
P.S. この作品で母と息子を演じた、原田美枝子さんと菅田将暉くんの演技に拍手です。難しい役どころの上ワンカットの撮影は、そうとう大変だったに違いありません。「半分の花火」を観ることが出来て、本当に良かったです。あともう一つ素晴らしかったのが、音楽と効果音の使い方。テーマの楽曲は不思議なサウンドで、何か気だるさを感じるアンニュイな旋律の上どちらかと言えば無機質。それがどうでしょう場面にしっくりはまり、効果抜群。ワンシーンを彩る見事な演出になっていました。
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※あまりのインパクトに、CDを買ってしまいました。それとパンフですが、これまた拘り溢れた美しいデザインです。

by eddy-web | 2022-09-13 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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