

2022.6.3
ファースト・ガンダムが、安彦良和監督の手によって再び大地に立つときを迎えました。いまだに衰えをみせることのないガンダム人気。1979年に全43話がTV放映され41年。長きに渡りその人気を保ち、コアなファンだけで無く多くの人に愛され続ける“機動戦士ガンダム”。アニメ界に一大旋風を巻き起こし、その名は世界中に拡がりおおくのファンがその魅力に塡まっている。宇宙戦争を背景に、ロボット兵器(モビルスーツ)を駆使しての戦いを描いた物語は、「リアルロボット」と称されロボットアニメ変革の先駆けの作品となった。現実感のある兵器や奥行きのある登場人物など、こどもよりも大人の共感を呼び、未来の戦争を舞台に主人公たちが苦悩しながら成長していく姿を紡ぎ出した傑作である。
さて、43年ぶりに復活するファースト・ガンダム、今作“機動戦士ガンダム・ククルス・ドアンの島”は放映された全43話の第15話をリメイクするかたちで構成された物語。監督は富野由悠季(本名・善幸)から、長きに渡りコンビを組んできたキャラクターデザイン担当の安彦良和氏へとバトンタッチされ創られたもの。内容は当時のオリジナルをベースに多少書き加えての演出だが、あくまでもオリジナルを大切にした原点回帰の作品となっている。公開後、ファンからのメッセージが数多くネットで紹介されています。どうやら賛否は大きくわかれているとのこと。個人的に言えばわたしは◯。ファースト・ガンダムが大好なのでただただ感謝です。ガンダムの歴史は長く続き、世代を超え引き継がれましたがわたしには初代ガンダムがすべて・・・。カッコいいモビルスーツを駆使した迫力あるバトルシーンが若者のこころを捉え人気のアニメだったが、わたしは何と言っても登場人物たちの個性豊かな表現と人間模様を緻密に描いた内容にひかれていました。近未来という設定ではあったが、どんなに時代が変わっても戦争の愚かさは同じで、その犠牲となる人々の苦しみは癒えないというコンセプトを大切に表現していたところにあると思う。先日某TV番組で安彦さんが今作への念いを語っていました。いま現実に起きている戦争(ウクライナ問題)を考えると、人間の愚行はいまだに続き、終わることの現実現実が横たわっている。犠牲になるのはいつも弱い子どもや女性たち一般市民。まさにガンダムの描き出す世界そのものである。だからこそいま観て欲しい作品だと、語っていました。鑑賞し、本当にその念いが伝わり、何とも言えない気持ちになりました。アニメなのにアニメじゃないリアルな現実が浮かび上がってきました。ただ、カッコいいと観るのではなく、主人公たちと同じ苦しみや悲しみを共有し、平和の尊さを肌で感じるそんな作品ではないでしょうか?大切なひとを失うことの怖さや哀しさは、だれにでも訪れる事ですが、それが戦争という愚行によって生まれることだけは許してはいけないこと。そのことを「ガンダム」はいまもしっかりと紡いでくれています。たった1話を取り出しただけなのに、これだけの内容を表現する原作の凄さを改めて感じました。全43話を今一度、見直そうかと考えています。まさに金字塔と呼ぶべき作品であることには違いありません。時を経て生まれ変わった作品は、当時の表現を遙かに超えるスキルアップ(3D)したものになり、臨場感は美しいとさえ思わせてくれる。日本が世界に誇る作品です。アムロの声を担当する古谷徹さん、全然変わってなくてビックリです。声が若いぁ~~~い。声優さんって、つくづく凄いなぁ~っと感じます。これからも頑張ってください。テーマ曲「Ubugoe」を森口博子さんが歌っていますが、素晴らし曲に綺麗な歌声が重なり映画をさらに印象深くしています。ドアンもかっこ良かったけど、シャアにも会いたかったなぁ~~。
P.S. 「殴ったね。親父にもぶたれた事ないのに!」の台詞が、蘇ります。これだけ聞いただけでも、15歳の少年が抱えてしまった深いこころの傷の重さが蘇り、哀しくなります。ガンダム最高です。