

2022.5.31
5月の最後に、“トップガン/マーヴェリック”を鑑賞。先週観る予定が遅れての鑑賞になったが、会場は平日にも関わらず結構込んでいる。前作のファンか、それともトム・クルーズのファンか年齢層もバラバラ。わたしは両方のファンですので、期待度は半端ない。ただ、ウクライナで起きている戦争のことを考えると正直足が重いのは事実。映画鑑賞は現実逃避のひとつの手段ではあるのだが、こんな時期にあまりに不謹慎かとも考えたのですが…。それでも映画鑑賞はわたしにとって2番目にたいせつなもの。ちょっと目をつぶって頂き、鑑賞を許して下さい。
さて、“トップガン”といえば主演のトム・クルーズを一躍トップスターの座に押し上げた伝説の映画。いまから36年前に公開された作品で、その年の映画最高興行成績を納めた。批評家の反応は賛否がわかれ、平均点だったとのこと。それでも映画ファンのこころをワシヅカミにしたことは周知の事実で、当時冷戦(対ソビエト連邦)真っただ中で、いろんな意味でも話題が多かったようである。映画の影響で海軍への志願者が激増したほか、戦闘機のパイロットの道を選んだ若者が増えたという。映画の影響力とは言え、まさにアメリカらしいといえる現象である。また、テーマ曲「デンジャー・ゾーン」も大ヒットし、その年のアカデミー賞歌曲賞に輝いている。
さて、今作だが前作同様アメリカ海軍の前面協力の中、前作を凌ぐ迫力ある航空シーンが続きリアル感が半端無く、気がつくと息を止めて見入ってしまっている。CG全盛期の時代に、よくぞ創ってくれましたと拍手を贈りたい。映画ファンだけでなく、航空機ファンにもたまらない作品ではないでしょうか?物語は前作をそのまま引き継いだ形で描かれ、主人公マーヴェリックのパイロットとしての誇りと苦悩を紡ぎ出し、前作を凌ぐ出来映えとなっています。それにしてもトム・クルーズが格好良過ぎます。若い頃も良かったが、今の方が何十倍もカッコイイと感じる物語になっています。キャリアを積み上げて挑んだ36年ぶりの再映画化だが、設定的にはちょっと無理はあるものの、まさにハリウッドの面目躍如をになう言って言っていい。単純明快なストーリー展開は娯楽の王道それにつきる。前今は無き今は無きトニー・スコットへのオマージュを感じさせる演出が至る処に感じられ、ファンにはたまりません。前作の登場人物たちをあえて多く出すこと無く、ノスタルジックになり過ぎていないところも共感出来る。唯一ライバルだったアイスマン(ヴァル・キルマー)が出て来たのはサプライズで、ちょっとホロッとさせられました。(ホントはボロボロ)。彼は病を実生活でも経験しての登場なので、渾身の演技といってもいい素晴らしい存在感をだしています。
軍の特務を受け、元天才パイロットと呼ばれたマーヴェリックが教官としてエリート飛行士訓練校にやってくるところから、物語が始まる。生徒の中にはかつてタッグを組み、訓練で命を落としたグースの息子ルースターが…。後は劇場に足を運び、自身の目でトム・クルーズの恰好よさをじかに味わってください。
トム・クルーズは他の作品(MIシリーズ)でも、自らスタントをこなしアクションシーンにはとことん拘る人。それでも歳を重ねそんなに簡単なことではなくなっているはず…。それを考えると尊敬です。トム・クルーズ59歳歳。「酸いも甘いも噛み分け」いまが一番色っぽい俳優さんではないでしょうか?次回作のMIがいまから楽しみです。
P.S. ルースターを演じたマイルズ・テラーは“セッション”を観て以来のファンだが、口ひげを蓄えての登場にはじめちょっと解りませんでした。映画の中では若い頃のマーヴェリックを思い浮かべさせるやん茶坊主役で、トムを向こうに回してガンバっていました。もうひとりヒロインとして初お目見えのペニー役・ジェニファー・コネリー、相変わらず美しいです。“ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ”で子役として登場した時の衝撃たるやいまも忘れることのできない出来事。あの時からこころを射抜かれ多くの作品を観ています。特に好きな作品は“砂と霧の家”で、何とも言えない空しいラストがとても強く印象に残っています。