銭湯探訪55
於玉湯(千代田区岩本町2)
2022.5.11
先日買い物で日本橋へ足を運んだ。電車で行くところをあえて、チャリにしたわたし。目的は日本橋にほど近い銭湯に行きたいと思ったから…。ついでに銭湯なんて考えは邪道と怒る人もいるかも知れませんが、出来る限り時間を大切にと考えているわたし。ところがそんなときほど、神様は意地悪をする。目的地は小伝馬町にある“十思湯”だったのだが、どこをどう間違ったのか全然辿り着けず、気がつけば秋葉原。ついでという安易な発想に罰があたったようである。すぐさま気を取り直し、近くの銭湯を検索。すると以外と近くに”於玉湯”を発見。こちらも路地裏にひっそり佇むお風呂屋さんだったので、簡単に見つけられませんでしたが薬局で訪ねると丁寧に教えてもらえた。ビルに囲まれた路地裏の銭湯は、地元の人しか絶対解らないだろうとおもうほど…。銭湯の景観はまったくなく、ビルの片隅にぽつんと電飾看板があるだけ…。気をつけていても通り過ぎてしまうほど目立たない。言い過ぎかもしれないが、お客さんはいるのだろうか?“於玉湯”と記載されていた銭湯マップだが、恥ずかしいのだがなんて読むのか解らない状態。薬局で「お玉湯」さんならクロネコの路地をちょっと行ったところを右に曲った路地裏だよ!と言われ「お玉湯」って言うんだ…とひとつ勉強した。確かに入り口には「お玉湯」と表示されていて一安心。はじめからこう記載してくれたら良いのにと、妙にイラッとしたのは“十思湯”に辿り着けなかったこともあってのこと。いずれにしても憩いを求めて巡礼しているのに、情けない器の小ささである。
ビルの1階にある玄関をくぐり中へ。いつものようにスタンプをもらい浴場に…。こじんまりとした脱衣所だがとても清潔感がただよい、良い感じ。浴場を覗くと湯舟の後ろに真っ青な竹林の風景(写真)なんとも爽やかな緑が目に眩しい。写真を加工し壁に貼ってあるのだが、この手の演出ははじめてかも?富士山大好きなわたしだが、たまにはこんな演出も悪くない。湯加減もバランスよく三層の湯舟に分けられ、ゆったりと時間を過ごすことが出来た。お客さんは入れ替わり立ち替わり入ってきていて、やっぱりどう見ても常連さんばかりである。なんとか無事冷や汗を洗い流し、無事帰路についた。まだ日は明るく、爽やかな春の風が優しくほほをなでてくれ一日の終わりを迎えられた。
P.S. 突然訪れた“於玉湯”だったのいだが、帰って調べたら面白い情報がいっぱいありまた足を運びたくなった。「お玉湯」って名前が気になり調べたら、江戸時代に神田お玉が池という大きな池がこのあたりにあり、その大きさは上野の不忍池より大きかったそうである。幕末に埋め立てられその面影はどこにも見受けられないが、近くに跡地の碑などがあるらしい。また、その昔池のほとりにあった茶屋の娘お玉の悲恋(二人の男を同時に愛した)が伝わっていて、この池(当時桜ヶ池と呼ばれていた)に身を投げた悲しい話が残っています。彼女の死を哀れと思い亡骸は池の畔に葬られそれ以来、池の名は於玉ヶ池と呼ばれるようになったと…。またお玉稲荷を建立し彼女の霊を慰め、その後ながく町民に愛されたとのこと。それから、北辰一刀流剣術の開祖・千葉周作の玄武館道場や天真心揚流柔術の道場などがあったりと、まさに時代劇のロケ地のような場所。商業ビルに囲まれた銭湯の周りに、こんなにも多くの歴史が残っていたなんてとても感動です。これだから銭湯巡礼はやめられません…。