
銭湯探訪54
薬師湯(墨田区向島3)2022.5.4.昨年末以来の銭湯探訪。巡礼旅はコロナの影響で、ペースがだだ遅れ。ようやく少し落ち着いてきたので、今日はゴールデンウィークの中日を利用しチャリを走らせスカイツリーのある押上まで・・・。駅近くにくると、ひとまたひと。ここは表参道か?と思うほど若者でいっぱい。規制緩和により、たまっていた外出への欲求が一気に爆発したような賑わい。それにしても、こんな下町に、どっから湧いてきたのか?ちょっと失礼な言い方でしたが、昔を考えると静けさは微塵も感じられない。街の発展を考えれば良いことなのでしょう、きっと・・・。

さて、久しぶりの巡礼に選んだ銭湯は、スカイツリーのまさにお膝元といえる好位置にある“薬師湯”。名前からすでになんか由緒正しい感じがする。歴史は解らないが、今時では珍しく釜焚きに拘り、地下80mから汲みあげた天然地下水を薪でお湯を沸かしているとのこと。これだけでも充分、銭湯好きのハートをくすぐる。銭湯は通りに面したビルの1階にあり、昔ながらの銭湯の風貌にはほど遠い。玄関前にチャリが並び、すでにお客さんが多く来ている様子。暖簾をくぐるとフロントに若いご夫婦(?)らしきひとがふたりで接客をしていた。何時ものようにスタンプ帳を差し出すと、笑顔で迎えてくれ「巡礼の方にはこれをプレゼントしてます」と、記念のステッカーをいただいた。何だかこれだけで凄く得した感じになり、もうたまらない高揚感。

「ごゆっくり!」と声をかけていただき、いざ室内へ。ここは毎日お湯を替える日替わりスタイルをとっているとのことで、なんとその数100種類。これじゃ地元なら毎日通いたくなるに違いない。営業時間も深夜2時までと聞き、ちょっと驚きである。多様化している現代社会の中、そんな時間まで空いている銭湯は類をみない。地元に寄り添った店主の心意気を感じます。中は以外とコンパクトでスッキリとした空間。富士山の画こそないが、タイル画が湯舟を囲み窓から外の光が注いでいた。いま、午後4時。こんな時間は久しぶりだが、お休みの時ぐらいは「おはら庄介」も悪くない。今日のお湯は「牛乳」らしく、何だか肌がすべすべになった気がする。タイル画の絵は、らしからぬハワイの海???ぽくっ、それにはとくにひかれなかったが、その画が見えないくらい壁一面を覆い尽くすチラシの数に驚かされる。どうやら店主が考案し地元の活性をはかるために作っている情報紙「薬師ゆ瓦版」というものらしい。それにしても、その数の多いこと。全部読んでいたら、きっと湯にあたってしまうであろうと、一部だけ拝読。なかなか熱のこもった、情報がてんこもり。瓦版以外にもなぜか、プロレスの情報を取り上げた記事の掲示などちょと面白い。懐かしい元横綱・北尾の記事や、天山の記事など、プロレス大好きなわたしにはちょっとしたサプライズ。1時間ほどお邪魔したが、とても居心地のいい空間で、しばらくぶりに心地よい時間を過ごせた。ひとつだけ勝手を言わせていただけるなら、瓦版の文字をもう少し大きくしてくれると嬉しいです。歳のせいで小さい文字についていけません。もう、爺さんです。まだ、陽が明るい夕方をまたチャリを走らせ帰還。湯上がりのぽかぽかした身体に、春の風が心地良い・・・。