

2022.3.01.
二度目の映画化となる“ナイル殺人事件”を鑑賞。世界中でいまも人気を誇る「ミステリーの女王」と呼ばれている推理小説家アガサ・クリスティ作品の映画化は数多い。小説内に出てくる探偵はみな個性に溢れ、中でも群を抜いているのがエルキュール・ポアロ。見事な口ひげを蓄え、数々の難事件を解決していく姿は読者や映画ファンのこころを掴み離さない。今回初めて、彼のシンボルである口ひげの訳(謎?)が解き明かされる。まさに「ヘェェ~~」である。そんなに深い話だったとは???の目から鱗。やっぱり中高年の星はカッコいいです。
さて、映画ですが・・・。以前(1978年)に公開された作品は、超豪華出演陣で話題になったが残念なことにわたしは見逃しています。わたしは“オリエント急行殺人事件”が大好きな作品で、結末がとても面白い上に歴史上の事件を巧みに練り込んでいた内容に感動を覚えました。この作品は二度映画化されましたが、どちらも気品ただよう作品でとても面白かったです。個人的には1974年公開の作品が好きで、その豪華な出演者は今じゃ考えられないほどの面々。バーグマンを筆頭にバコール、レッドグレープ、ウィドマーク、コネリー、パーキンスと凄い顔ぶれでした。わたしは今も一番お気に入りの女優ジャクリーン・ビセット見たさに劇場に足を運んだのをしっかりと覚えています。本当に綺麗でした。
さて、今作の“ナイル殺人事件”ですが、前作を観ていないので思いのほか期待感も強く楽しみにしていた作品。主演にガル・ガドットを据え、どんな展開をみせてくれるのか?と物語にも注目。ポアロ役は前回のオリエント急行殺人事件(2017年)“に引き続きケネス・ブラナーが監督・主演しています。余談ですがイギリス出身で映画監督・脚本家・プロデューサーとして活躍する多彩な才能の持ち主。「ローレンス・オリヴィエの再来」と呼ばれ、シェイクスピア俳優として名をはせている人物。いままで多くの男優が演じてきたポアロだが、口髭がこんなにかっこ良く似合うひとははじめてです。メチャクチャダンディで気品漂う姿は、まさに適役ではないでしょうか・・・。
物語は超お金持ち(莫大な遺産を相続した)の女性(リネット)と、それを取り巻くひとたちの憎悪と欲望が絡み合う展開で、クルーズ内で起こる殺人事件が引き起こす人間模様を浮かび上がらせる。ガル・ガドットと以外はあまり存じない俳優さんたちばかりでしたが、クリスティの原作ものはやはり面白いということが確認出来ました。大富豪のリネットがあまりにも単純に男に騙される人間性には、ちょっと???でしたが・・・。きっと淋しい人生を歩んで来たのでしょうと無理あり納得です。ガドットのゴージャスな雰囲気はもちろん目をひきますが、リネットの親友で恋人を奪われたジャッキーを演じたエマ・マッキーがとても魅力的で印象に残りました。この映画もそうですが、CGを巧みに取り入れた映像技術はこういう作品には欠かせないことは充分解る反面、昔の作品がいかに凄かったかを確認することにも繋がりました。充分に面白かったことは認めますが、“オリエント急行殺人事件”には及ばないと個人的には感じるわたしでした。