

2022.2.15.
“デスノート”以来のW主演となる、藤原竜也と松山ケンイチの共演が観たくてやって来た劇場。タイトル “ノイズ”はわたしには二度目となる映画名。1999年に公開したアメリカ映画がはじめに観た同名の作品。若かりし日のジョニー・デップとシャーリーズ・セロンが主演をつとめたSFサスペンススリラー作品は、宇宙飛行士に取り憑き地球にやって来た地球外生命体の驚異を描いたもの。あっと(゜Д゜)ラストが印象に残る作品でした。タイトル名は、物語の冒頭で宇宙空間で作業中に事故に遭遇し、2分間通信が途絶えた際に残された謎の「ノイズ」を使ったもの。
今日観た“ノイズ(noise)”は、原作は筒井哲也のまんが。訳どおりの「雑音」を意味し、やっかいな者(雑音)が訪れ、平和な島を突然かき乱すところから物語ははじまる。こちらはSFではないサスペンス作品で、主演の2人はもちろん芸達者な役者さんが揃い、はじめから最後まで目が離せない緊張感を創り出しています。過疎に苦しむ小さな離島は、町おこしをになう期待の産業(黒イチジク)で起死回生をかけ、1人の青年にすべてをゆだねている。まさにこれからという時に、突然訪れた外(本土)からの来訪者(ノイズ)。排除をこころみた些細な行動が、ひとりの青年の運命と島民全体を巻き込む大きな事件へと変わっていく。日本が抱える過疎の問題を大きく浮き彫りにし、閉鎖感の溢れる地方問題にメスを入れていた社会問題までもがテーマになっている感じがする。平和とはいとも簡単に崩れてゆくという、閉鎖社会ならではの恐怖が溢れ出す。
それにしても出ている俳優さんたちがそれぞれの役に魂を注ぎ込み、人間が抱えるエゴが見事に紡いでみせてくれます。人を信じることがいかに難しいことか?を思い知らされる物語は、ひとごとではなく恐い。後味の悪い作品ですが、それもまた映画。出来ることならこんなことに巻き込まれない人生を歩みたいものだ・・・。
ある意味救いのない展開だすが、さっきも言いましたが俳優陣の見事な役者ぶりが光る出来の良い作品ではないでしょうか?島の青年(幼なじみ)藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介と今後の映画界を引っ張っていく男優人。そして脇を固めた、刑事役の永瀬正敏、伊藤歩の執拗な追求、島の町長・余貴美子と老人・柄本明の鬼気迫る狂気の演技など見所は随所にあり、ジワジワと追い詰められる主人公たちの緊張感が自身に乗り移ってきます。
監督は2003年に発表した“ヴァイブレータ”で、多くの話題と賞ををさらいその後もコンスタントに話題作を作り続ける廣木隆一氏。独自の世界感にはファンも多く、リアルな人間ドラマを撮らせたら随一の監督が初挑戦した本格サスペンス。見応えある俳優陣たちの演技バトルを観るだけでも、充分満足のいく作品になっています。ヒリヒリする心理戦は人間の中に眠る狂気を解き放ち、最後まで目が離せません。結論は劇場に足を運び、自分の目で確かめましょう。