
銭湯探訪53
小島湯(江戸川区・西葛西1)
2021.12.30.寒波が日本全土を覆い、東京の年末も久しぶりに厳しい寒さ迎えました。そんな中ふと思い付いたようにチャリを走らせ銭湯に・・・。先週、義父が亡くなり青森を訪ねたばかりのわたし。向こうの寒さはハンパないものだったが、東京も違った意味でやっぱり寒い。そんな時こそ、身も心も温めてくれる銭湯が一番。3時半開店の時刻に合わせ、葛西橋通りを東へと向った。荒川にかかる葛西橋を渡る時、吹き付ける風にあおられあわやと思うこと数回。やっと川を越え、土手沿いに眼をやると下調べをしていた方向に一本の煙突。あれだ!!とこころの中で呟き、ペダルを深く踏み込んだ。風呂屋は路地に入ったところにあり、ちょっと迷っあげく車とすれ違いざまハンドルを獲られ転倒。予想だにしない洗礼を受けてしまいました。おかげでジーパンに穴が空き、膝は血だらけ状態に・・・。普通ならここで気持ちが萎え、帰るのが普通なのだろうが、わたしにはそんな選択肢はない。ここは1年の厄払いをしたとポジティブにとらえることに…。大好きな銭湯を目の前にして、帰るなんてとんでもないとしっかりと玄関前にチャリを止め、いざ“小島湯”へ。中に入るとおばちゃんが笑顔で迎えてくれ、膝に痛みなどどっかに吹き飛んでしまった。何時ものようにスタンプをもらい、中へ入ると脱衣所と洗い場の仕切りのガラス越しに見事な富士のペンキ絵がお出迎え。久々の美しい富士山を目の前にして、気分は最高潮。見渡せば何時もながら老人ばかりが、気持ちよさそうに湯舟に浸かっていた。年末にTVニュースで流れる、どっかの温泉に浸かっているお猿さんたちの姿が頭に浮かび思わず「くすっ!」。
かくゆうわたしも本当はお猿さん側なのですが・・・。失礼なことを言いました、お詫び申し上げます。お湯加減は熱くもなく、さりとて温くもなくといった絶妙な湯加減。わたしは44℃くらいの熱めが好きなので、ちょっぴり物足りませんでした。それでもゆっくり湯舟に浸かり、今年の汚れをすべて洗い流し身体はポッカポッカ。玄関ののれんをくぐるとあたりはすでに薄暗くなっていた。ニット帽をかぶり暮れなずむ街光と影の中、我が家をめざし再びペダルに足を・・・。

P.S. これぞ下町銭湯と思わせる佇まいは、懐かしい雰囲気だけでなく、今でも薪で湯を沸かしているとのこと。どおりで柔らかい湯なハズである。創業は昭和27年(1952年)、わたしが生まれる2年前からの歴史を刻んだレジェンド。これからも末永く、煙突の煙を絶やさないでくれますように・・・。