

2021.12.24.
シリーズものの多い昨今、独特の世界感を創り上げているスパイ・アクション映画のひとつ“キングスマン”の最新作を鑑賞。シリーズは今回で3作目になるが、わたしは今作が一番感動しました。基本のスタイルは変わらないスタイリッシュな英国紳士が外見とは裏腹に派手なアクションを繰り広げる物語。スパイ・アクションのヒットシリーズは「007」や「ミッション・イン・ポッシブル」がすぐ頭に浮かぶ。どちらもファンのこころを掴み、新作が公開される度に大ヒット。そんな中に割って入るかのように登場したのが、“キングスマン”である。最新のテクノロジーを駆使して活躍し、かなりヤバいアクションシーンを持ち味にしてきた「007」や「ミッション・イン・ポッシブル」と比べると何というか気品みたいなものを感じる大人向けのシリーズ。2作とはひと味違う世界観にわたしは結構塡まっています。要所要所で絡んでくるユーモアのセンスが抜群で、キレッキレのアクションとの落差に引きずり込まれてしまいます。
さて今作は時代を逆行し、何処の国にも属さないスパイ組織“キングスマン”の誕生秘話が明かされるストーリー展開となる作品。時代は1914年にさかのぼり、世界大戦を起そうと暗躍する謎の組織に挑む“キングスマン”の面々たちの活躍が描かれる。涙を誘うシーンも数々登場し、“キングスマン”誕生の秘密が明かされるのだが実像と虚像を組み合わせた設定が実に見事に調和し、最後まで緩みのない展開に大満足のわたし。今作を観ると再び前2作を観たくなると言う感覚が生まれます。ビラン役に実在した有名なキャラを揃え、その上で構築されたフィクションのストーリー展開はワクワクドキドキの連続。ロシア皇帝を手玉にとり国を混乱へと導く怪僧ラスプーチンをはじめ、妖艶な美貌を武器に暗躍したとされる二重スパイのマタ・ハリ。そしてロシア革命後のソビエトを社会主義へと変えたレーニンなど登場する人物は一癖も二癖もある興味津々の人々。その連中を操っていた人物が悪の組織「闇の教団」のボスという設定は面白すぎて塡まります。またそのキャラが見事に立っていて悪なのに魅力的に浮かび上がる。ラスプーチンなどは、今風で言えばキモカワイィと言ったところ。レイフ・ファインズ演じるところの主人公オックスフォード公との剣を駆使したバトルシーンはアクションを超えもはや芸術。わざとそのような演出をとっているのは解るが、まるでバレーをみせられている様に華麗で美しい。演じている俳優さんなのか、スタントマンなのかは解りませんが素晴らしくまた面白いのひとこと。このシーンだけでも、観る価値はあると思います。バレーミュージックに合わせた剣舞は最高。まさに怪僧とはこう言うひとのこと。わたしはビランであっても好きなキャラです。他にも随所に絡んでくるアクションシーンはスローモーション投影などがうまく使われ、味のある良い映像に仕上がっています。もちろんCGも使われているのでしょうが、アナログ的な気品ある格闘シーンになっています。はじめにも言いましたが、シリーズの中でわたしは一押しの作品です。あくまでもわたしの独断と偏見に満ちた意見です。信じてもらえたら、劇場で確かめてみてください。
P.S. オックスフォード公を演じたレイフ・ファインズはいかにもイギリス人と言うような顔立ちと風貌で品のある主人公を見事に演じています。過去の作品でも高い評価を獲ているアクター。舞台でも活躍している人物ですが、みなさんがへぇ~~と思うのがきっと“ハリー・ポッター”のヴォルデモート卿ではないでしょうか?あの時は特殊メークが凄すぎて解りませんでしたが、意識してみれば納得の顔立ちと迫力ある演技ではないでしょうか?見事な演技力でした。