![]() ![]() 2021.10.15. SF超大作“DUNE”を鑑賞してきました。SF小説の金字塔と言われる原作は、フランク・ハーバードによる全6作からなるもので、惑星アキラスを舞台に繰り広げられる壮大なドラマ。SF小説の愛読者なら知らない人はいないという傑作のひとつです。第一作が出版された直後から、幾度も映像化が構想されては打ち切られたという逸話が残っていて、その理由はスケールの壮大さと精神性の高さが、制作者たちの前に大きな壁として立ちはだかったようである。わたしが思うに物語自体はわりとシンプルなのだが、登場人物たちの複雑な思念が絡み合いやや宗教色(哲学的)が強い感じがします。また宇宙船などのテクニカルアートがすごくシュールなイメージで映像化にはかなりのセンスとクオリティが要求されると・・・。大ヒットした“スターウォーズ”のように勧善懲悪的な表現とは異なる世界感は、観る側にとってもかなりの想像力が要求される高いハードル。観る側にも想像力を要求されるのだから、作り手側のプレッシャーは計り知れず高いクォリティが要求される。それほど深い感性の表現と壮大な物語をビュジアル化するそんな作品に、凄い期待を持ってしまうのはわたしだけではないだろう。 実はこの作品はそんな難しい問題を抱えつつも、いままで映画化もドラマ化もされています。わたしは1984年にはじめて映画化されたこの作品を観ています。監督は「カルトの帝王」と呼ばれている巨匠デビット・リンチ。わたしの大好きな監督のひとりで、その世界感は唯一無二の色をもち、何とも言えない怪しい感覚で観る者に強いインパクトを与えてます。監督が“DUNE”に抜擢されたのは、物語が持つちょっと怪しげな感覚の表現にむいていると思われたからに違いありません。むかしの作品なのでいま感想を言うのははばかれるのですが、正直良く解らなかったのが印象です。監督自身も言っているのですが、物語の全体を満足する形に創り上げることは出来なかったと語っています。長~~ぃ物語を2時間枠に収めるという物理的な作業というリスクもあり、リンチ監督でも、この問題を消化仕切れなかったようである。 さて今作は“ボーダーライン”“ブレードランナー2049”を監督した、ドゥニ・ヴィルヌーブが監督のほか、脚本・制作もこなし期待も高い。センスの良さはいままでの作品を観れば納得ですが、高いハードルを超えることが出来るのかという別の興味でも期待はつきない。作り手の苦労も知らないオタクが、勝手なことを言って(_ _)。 感想ですが、難しいテーマによくぞ挑んだその意気込みにまず拍手です。リンチ監督の時みたいにシリーズをまとめた形ではなく、一作ごとに創り上げる手法のようで、とても丁寧な創り方になりプロローグとしての出来としては素晴らしいと思います。また、ヴィルヌーブ監督のセンスが遺憾なくビジュアル反映されていて、ワンシーンのひとつひとつが印象に残る絵画のようでした。とくに目をひいたのが象徴的な宇宙船の形態。メカ的な表現を極力そぎ落とし、極限までにシンプルにしたその形は美しさと神々しさを併せ持つシンボル的デザインになっていて感動です。また、小型宇宙船が真逆のアナログさを象徴し昆虫(トンボ)の動きをしているのがこれまた秀逸。宇宙船大小の差別化を巧みに組み合わせ、壮大なスケール感を見事に創り上げています。神秘的なSF世界を創り上げたプロジェクトチームの職人技を感じた瞬間が幾度もあり、そのひとつひとつが見事に紡がれた傑作ではないでしょうか。次回作いまから楽しみな作品となりました。 P.S. 原作の“DENE砂の惑星”は、沢山の作品に影響を与えている作品だが、ジブリの”風の谷のナウシカ“もそのひとつとのこと。若い人はきっと逆の印象を持つかもしれませんが・・・。いろんな意味で凄い作品ではないでしょうか。 ※マーベルやDCでお馴染みの俳優さんが多数登場していますが、それまでのキャラ色は封印され重厚感溢れる演技をしているのも見所のひとつとなっています。顔を見せないシャーロット・ランプリングの存在感は役そのもので圧を感じさせています。凄いのひとことです。
by eddy-web
| 2021-10-17 00:00
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