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よもやまシネマ564 “護られなかった者たちへ”
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2021.10.11.

先々週観た“空白”に続いて、洋画に負けない邦画のパワーを感じる映画に遭遇しました。今回紹介する作品は“護れなかった者たちへ”。ミステリータッチの社会派ヒューマンドラマは、見終わった後に日本という国のあり方を考えさせられる何とも言えない苛立ちを覚える映画となりました。
東日本大震災から10年。物語は自然災害の脅威になすすべなく打ちのめされた人たちに、再び訪れる辛く哀しい現実を描いた作品となっています。そして、まだ終わっていない震災の現実が浮かび上がる。10年の節目を迎えたいま、忘れてはいけない記憶と忘れられない記憶が交差し、今も続くその傷跡の深さにこころが締め付けられ哀しい。時間と共に薄れていく記憶の中で生きているわたしたち・・・。だが、この作品を観て思うことは実際に災害にあった人々の今も続く苦悩との戦いがあることを思い知らされる。今回の作品はかなり脚色されたもので、現実的にはあり得ない出来事とは思いつつ、もしわたしが主人公の立場だったらと考えてしまうそんな余韻を残しました。
いままでも震災の爪後をテーマにした作品は、さまざまなアプローチで映画化されてきた。わたしが記憶に強く残っているのは、NHKで放映された“風の電話”というドキュメント作品で、その後映画化にも繋がっていく。震災で残された人々の苦悩が、無人の電話ボックスに引き寄せれるように集まり、返事のない受話器に向い思いの丈をぶつけるドキュメントはこころを抉られ自身の無力さを思い知らされるものでした。
今回の作品はエンタメとして創られてはいますが、今も続いている現実の問題をしっかりと浮き彫りにし問題の深さを提議しています。自然災害後の人災ともいえる現実が映し出され見終わった後、こんなに考えさせられるとは思ってもいませんでした。わたしはその晩、主人公気持ちを想い眠れない夜を過ごしてしまいました。
監督は“64-ロクヨン”で繊細に人間描写を浮かび上がらせた大ヒットさせた瀬々敬久氏。そして脚本は“永遠の0”でこれまた大ヒットを生んだ林民夫氏。ヒューマン作品を得意とした2人がタッグを組み創り上げた作品は、それまでの作品とは違った意味を持つ記憶に残る作品となったのでは無いでしょうか?W主演といえる今作では、追う者(刑事)苫篠役に阿部寛。追われる者(容疑者)利根役に佐藤健といういま勢いにのっている2人がキャステイングされている。共に深い傷を抱えながら懸命に生きようとしている2人が、ある事件を切っ掛けに運命のように引き寄せられ絡み合う。2人共役に憑依したのようになりきり、観客のこころに容赦なく入ってきて胸を締め付けます。眼光の強さがハンパなく、強さと弱さを隠すような演技は甲乙つけがたい素晴らしいものでした。ラストも予想だにしなかった展開で、後のことを色々と考えてしまいました。身体を張った演技とは、今作の2人を言うのではないでしょうか?
それにしても作品はエンタメとしての出来はもとより、さまざまな社会問題を浮き彫りにし本当に色々と考えさせられました。日本という国に住むわたしたちが、司法、立法、行政といった国の根幹をもっと深く知る必要性を感じた作品となりました。物語の中で交される会話の中で「原理原則の中で動いている」というのがあります。とても冷たく感じる言葉で、人肌をまったく感じませんでした。みなさんはどう感じますでしょうか?是非観て、感想を聞かせてもらいたいと思います。
P.S. 先進国と位置づけられている日本ですが、世界幸福度ランキング2021では世界56位。先進国の中ではかなり下のランク。皮肉な結果が浮かび上がり、「本当の幸せ」とはを、あらためて考えさせられます。ちなみに調査は主観的な幸福度を調べるのに+して以下の6項目が加味されるとのこと。
1.ひとりあたりの国民総生産(GDP)
2.社会保障制度などの社会的支援
3.健康寿命
4.人生の自由度
5.他者への寛容さ
6.国への信頼度
だそうである???
この基準なんなんでしょう?こんなんだから、幸せなんて一生訪れないと思ってしまうわたしです。
映画のラスト近くで利根が「死んで良い奴なんて、いないんだ!!」という言葉のほうが、よっぽど強く重みを感じます。


by eddy-web | 2021-10-14 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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