2021.9.3.
MARVEL STUDIOS発の新作、“シャン・チー”を観てきました。マーベル・コミックのキャラクターのひとり“シャン・チーが今作の主人公。他のスーパー・ヒーローたちとの違いは、超能力を持たない生身の身体能力(武術)を武器に活躍するという立ち位置のニューキャラ。ブラック・ウィドーらと肩を並べるヒーローということになる。そうは言ってもVFXを取り入れたアクションシーンは、他のヒーロー作品と大きな違いは感じません。実写とCGを巧みに組み合わせたアクションシーンは、見応え充分の迫力で観客の目を釘付けにしてくれます。作品はファンタジー要素も含まれ、ヒーロー誕生の秘話としては上出来ではないでしょうか?桃源郷をモチーフにしたような母親のふるさとでの、格闘シーンは”グリーン・ディスティニー“をリスペクトしているかのような美しい仕上がりで印象に残ります。また正直他のマーベル・ヒーローと比べやや地味なイメージがあったのですが、逆にそこが身近な存在感を生み親しみが湧いてきました。そしてベースとなる格闘シーンはカンフーの動きを最大限に生かし、闘神ブルー・スリーを彷彿させファンのこころに確実に掴む作品となっています。
さて物語ですが、MARVEL作品のポリシーとも言える、血の繋がり(絆)をテーマにた、親子の関わりを軸に善と悪の世界を浮かび上がらせ解りやすい演出になっていました。子どもも喜ぶ、楽しい作品に仕上がりコロナ禍のモヤモヤした気持ちを癒やすにはとてもいい感じです。
サブ・タイトルになっている“「テン・リングス」という伝説の武器を手にすると、無限のパワーを授かると同時に不老不死の命を得ることが出来るという。10本の腕輪で構成去れ、それを身につけることにより、ひとりで軍隊をも壊滅させることができるというもの。原作のコミックでは、指輪として描かれているようだが今作では腕輪へと変わったようである。アベンジャーズで登場した「インフィニティ・ストーン」と、ちょっとかぶる感じもします。こんなものがやたら出てくると、いくら強くても敵いません。今作の敵キャラであるウェンウー(シャン・チーの父)も、この腕派を手にしたことにより闇の世界へと引きずり込まれ我を失う。ラストは言えませんが、必要以上の力を授かると人は自信を見失っていくという戒めがここには描かれています。謙虚な気持ちを忘れず、目の前にある小さな幸せを大切にすること、それが本当の幸福を招くと謳っている作品です。
シャン・チーを演じたシム・リウはこの作品でヒーローの仲間入りをし、今後の活躍が期待されます。エンドロール後のカットでいつもの匂わせシーンを残しますが、さてどんな次回作にシャンは登場するやら?いまから楽しみです。
P.S.
ウエンウーを演じたトニー・レオンはさすがに存在感があり、他のキャストにはないオーラが出まくっていました。また友だちのケイテイ役でオークワフィナが出ています。“フェアウェル”でみせた繊細な演技はいまも強く印象に残っています。美人じゃないけど、どこか愛嬌のあるキャラで、きっとこれから大活躍しそうなそんな感じがします。彼女は女優としてだけでなく、脚本家・プロデューサーとしても活躍するマルチな才能の持ち主。類い希なるコメディセンスを生かしたトークですでにエンタメ界で大ブレイク中とのこと。しばらく彼女から目が離せません。