

2021.6.28
タイムトラベル小説の名作として世界的に知られる“夏への扉”が、世界初で映画化された。SF小説の金字塔が、いままで映画化されてないことのほうが不思議なくらいの名作がついに日本で映画化されました。米国のSF作家ロバート・A・ハインラインが1956年に発表した“夏への扉”はSF小説の愛好者ならだれもが一度は手にしている名作中の名作。
わたしがはじめて手にしたのは、30年ほど前のこと。ふだんあまり本を読まないわたしですが、大好きなひとに勧められ時間を忘れてしまうほど一気読みをした作品が“夏への扉”。題名にまず心ひかれ、SF作品ということがさらにわたしを突き動かしたのが思い出されます。65年も前の作品は今も色あせることなく、ファンのこころを捉えてはなさない。そんな作品の映画化となれば、観ずには入られないのがオタクの心理。先ほども言いましたが、いままで映像化されなかったことが不思議でしょうがない。余りに名作過ぎて、ハードルが高かったとでも???それ故今回の映画化は作り手にとっても、かなりのプレッシャーではなかったfでしょうか?そこはあまり追求せず、素直に今回の映画を堪能したいと思います。
30年も前に読んだ事もあって、細かいディテールまで記憶がなく思い出しながら鑑賞に臨みました。主人公の愛猫ピートは原作そのままの名で登場し、冒頭のタイトルロールで彼の性格(哲学)を表す紹介文が流れ、「ピートは冬になると家中の扉を開けてくれとせがむ。扉のどれかが明るく楽しい夏へと通じていると信じて疑わず、“夏への扉”を探し続け決して諦めないのだ」…と。この文章が読み上げられると同時に、わたしはあっという間に30年前にタイムスリップ。まるで映画とリンクしたような不思議な感覚を覚えました。そこからはもう、映画に引き込まれるように時間旅行を主人公と共に過ごしていました。原作とはまた違う設定も、そう違和感なく素直に受け止めることが出来、個人的には堪能出来ました。いろいろな意見が出ると予想されますが、スタッフのみなさんには拍手を贈りたいとおもいます。今回は単に映画を楽しんだだけでなく、昔を思い出しながらの鑑賞となり、何だかちょっと夢心地の気分。「時間を取り戻すことが出来たら、いったい自分は何をするだろうか?」なんて、完全に物語りの波に飲み込まれてしまいました。
鑑賞後、本屋さんに立ち寄りハヤカワ文庫“夏への扉”を購入。もう一度あの頃を思い出し楽しもうと考えています。作品が1985年公開の映画“バック・トゥ・ザ・フューチャー”のアイデアの元になったことはあまりにも有名な話。そんなことを踏まえて観るのも、一興ではないでしょうか?SF好きのファンはもちろんですが、モンモンと自粛生活を送っているみなさんに「明日(夏)を信じる」ことを思い出して欲しいお勧め作品です。
P.S. 登場人物の中、主人公を騙す悪女を夏菜さんが演じていますが光ってます。こういう役が出来るスキルを充分感じさせ、今後が楽しみです。また愛猫ピートを演じたネコ君(一役2匹)、ちょっと太めでしたがしっかり芝居をしていて可愛かったです。
※作品が好きすぎてこの本の表紙を創作デザインしたことがあります。以前このブログの別コーナー「青之無也-2」に載せました。もしよろしければ覗いて観てください。