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よもやまシネマ541 “HOKUSAI"
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2021.6.3

緊急事態宣言により休業をしていた映画館が、規制緩和により今週から再開されることになりました。待ちに待った再開にこころは踊り、早速新作映画を観に・・・。そうとは言え限られた作品の中、何をチョイスするかかなり迷ったあげく、選んだのは“HOKUSAI”。日本人なら知らない人はいない、天才浮世絵師「葛飾北斎」。その人をモチーフにした歴史時代劇は、彼の生涯を時代の波に抗いながらひたすらに思いのまま筆を走らせる姿を浮かび上がらせます。重厚感溢れる映像と役者たちの鬼気迫る演技で、北斎の生きざまや武士社会の不自由な時代への挑戦ともいえる人々の戦いが希代の絵師を軸に紡ぎ出され興味は尽きません。北斎以外にも歌麿や写楽と言った天才たちも登場し、それぞれの個性が見事に浮かび上がりその人物像には、描く絵以上に人間の中にあるこころの叫びみたいなものが伝わってきます。
さて、映画の感想ですがまず感じたのは歴史公証がしっかりと構築され、とても重厚感のあるエンタメ作品に仕上がっていたことに驚きました。北斎が生きた90年の生涯を通し、その魅力に迫る演出は緻密な構成であらためて彼の凄さを知ることになります。登場人物はみな実在のひとたちで、ほぼ史実に基づき描き出されているようで鑑賞後、ウィキペディアなどで調べるとさらに興味が湧きもっと知りたいと思うようになりました。有名な絵も沢山出てくるのですが、その絵が生まれるまでの課程が想像豊かに描かれ圧倒され印象深い。北斎をテーマにしたものは今までも映画化されましたが、重みの凄さは今作品が一番。絵に込められた生きざまや念いを知ることができ、ますます北斎が残した作品の数々が好きになります。調べて解ったのですが、北斎はかなり変人(オタク)だったようです。90年に及ぶ画業に満足することなく、最後まで絵筆をとり描いたいと思う絵を捜し描き続けた人物像には興味が尽きない。酒も煙草もたしなめず、もちろん女遊びや賭け事なども一切しない絵一筋の生涯だったとのこと。超貧乏だったことは知られているが、それは単にお金に興味がなかったと史実が残っています。また、絵を描くこと以外のすべてが余計で、食事などをするのももったいないと思う性格は、身なりも気にせずかなり汚亡かったようである。そんな人だからこそ、生涯3万点にも及ぶ作品を残せたのだろう?そのすべてに魂が宿っていることは紛れもない事実。北斎の紀行歴は掃いて捨てるほどあり、それだけでも充分面白いので、興味がありましたら是非調べて観ることをお勧めします。わたしはツボのはまってしまい、しばらくはHOKUSAIにのめり込みそうです。
作品は俳優さんたちの熱演も凄く、北斎を演じた柳楽優弥(青年期)と田中泯(老年期)の二人は全身全霊でその役に挑戦している感じがし、北斎の魅力を存分に表現しています。特に田中さんの鬼気迫る形相は画面を飛び越え、観客の胸ぐらを掴む勢い。凄いのひと言です。来年のアカデミー賞候補に上るのではないでしょうか?終わったばかりの賞レースで、ちょっと気は早いですかねぇ~~???。あと永山瑛太が演じた戯作者・柳亭種彦がとても印象に残りました。彼への興味も膨らみその生涯を調べてみたくなりました。映画の種彦は史実によると死んだ時の年齢は60歳で、ここはフィクションだったようです。
もう一つだけ伝えておきたいのが、効果音の使い方が凄いです。例へば紙の上走る筆の音。硯で墨をする音。などなど・・・。普段は気にもとめない音がこれほど気持ちの良い音なのかと思う、目から鱗の緊張感が届きます。と言う事で映画を観ただけなのに、かなり登場人物への思い入れがふくれてしまい、また趣味が増えてしまいそうなわたし。まずは墨田区の「北斎美術館」への観覧ですね!いろんな興味が湧いてくるエンタメ作品ですので、ぜひご覧あれ!! 久しぶりの新作鑑賞でちょっと興奮し、感想が長くなりましたすみません。
P.S. 田中泯さんですが、最近映画に出まくっている感が強い印象です。存在感がハンパなく、出ているだけで作品の深みが増す気宇な存在。共演者は大変かも???わたしはいま一番気になる俳優さんのひとり。また田中さんは俳優が本職と思いきや、実はなんと舞踏家。武闘家ならピンとくるのですがまさかです。それもフランス政府から芸術文化勲章をもらっている凄いひと。こんな人だから北斎になりきれたのだと確信をいたしました。


by eddy-web | 2021-06-05 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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