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よもやまシネマ533 “ヤクザと家族”
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2021.2.2.

2回目の緊急事態宣言がだされ、息を潜めて暮らす毎日。出歩くことすら罪悪感を感じ、周りの目を気にして生きる息苦しさ・・・。映画など観て良いのかと考えもするのですが、メンタルを保つのに絶対に必要なわたしの趣味は、精神安定剤のひとつ。混雑状況を確認し、1ヶ月ぶりに劇場へと足を運びました。
選んだ作品は“ヤクザと家族”。監督は昨年“新聞記者”で日本アカデミー賞をはじめ、多くの映画賞を手にした藤井道人監督が脚本とあわせ制作した話題作。前作では報道携わる人間社会の不条理を浮き彫りにし、観る側にひとつの問題提議を浮かび上がらせてみせた藤井監督。今回の作品もその流れは継承され、すでに過去のものとなりつつあるヤクザの世界にスポットをあて、見事に「人権」というテーマを背負い表現してみせています。
昭和時代に日本男児に、義理人情の世界を表現し楽しませくれた任侠映画。高倉健や菅原文太といった俳優を輩出し、高い人気を誇ってきたドル箱の映画分野。時代と共にその表現は変化をとげ、娯楽という視点はやがてリアルに以降。深作欣二監督が世に送りだした “仁義なき戦い”はノンフィクション映画として、70年代代表するエンタメの象徴になりました。時代の波は浮いては沈みを繰り返し、いまもなお人気のテーマとして生き残っています。近年では北野武監督の“アウトレイジ”シリーズが人気を誇り、鬼気迫るバイオレンスドラマは「全員悪人!!」と言い切り、その派手な演出は観客の度肝を抜くものとなり北野監督の名を不動のものにしました。
さて、今作“ヤクザと家族”、はヤクザという特殊な世界を背景にはしていますが、過去のヤクザ映画とは一線をかく作品となっています。もちろん裏社会の舞台はしっかりと押さえリアルな世界感でまとめ上げられてはいます。ただ藤井監督は任侠の世界を表現するのでは無く、時代の流れに抗うことすら許されない少数の人間たちの生きざまと苦悩を浮かび上がらせ、格差を生み出す現代を象徴する形に創り上げています。コロナ禍のいま、ヤクザでなくとも生きづらい世の中を、ある意味格差社会の現代がかかえる危機感を訴えています。
ヤクザを肯定する気はさらさらありませんが、人として生きる道を絶ってしまうほど人間は偉い存在なのでしょうか?今作は一歩道を踏み外すと、ひとは生きて行けないことを思い知らされる、哀しい末路を描き出し考えさせられます。主人公山本を演じた綾野剛は期待通りの演技で、繊細な役どころを見事に表現しています。対する主人公と契りの杯をかわした親分(芝崎)を演じた館ひろしは、物静かな出で立ちの中キラリと光る研ぎ澄まされた眼光を時折みせ迫力満点。その使い分けが半端なくゾクっとさせ、懐の深い男の生きざまを表現し渋さ全開です。脇を固めた俳優さんたちも、それぞれの個性を遺憾なく発揮し、重厚感あふれる作品を創り上げてくれました。先ほどもちょこっと触れましたが、ヤクザを擁護する考えはありません。むしろ社会に及ぼす害を思えば、無いこしたことのない存在かとも・・・。それでもそれを単純に消してしまう世の中が正しいとも思えないのは、この作品に込められた社会が抱えるマイノリティの権利が、裏側にしっかりとメッセージして表現されているからでは無いでしょうか?かなり重たい作品なので、ストレスの発散は出来るどころかむしろ抱えてしまうような作品です。でも良い作品ではないでしょうか。
余談ですが、ヤクザより恐ろしい現代の凶器がネット社会だということがしっかりと盛り込まれ、背筋が寒くなります。
P.S. ヤクザという社会は一括して「反社」と扱われ、過去の存在となりその姿を観ることはほとんど無くなりました。昔(昭和)はそれ風のひとが街にあふれ、肩で風をきって闊歩していたのを覚えています。風呂屋にいけば必ずと言って良いほど、背中に見事な入れ墨をしたオジサンがワンサカといました。こどもの頃どんな人かも解らず、ずっと後ろからその背中の絵を観て感動してた自分がいます。この作品の中で、暴対法の強化によりヤクザは携帯も持てず、その子どもは幼稚園にも入れないということを知りました。ヤクザを止めても人間扱い(口座、保険、家)されるのに5年はかかると言われる現代。ささやかな幸せさえ掴むことを許されない現実を知ると“ヤクザと家族”という、タイトルの本当の意味がじわっと沁みてきます。ラストシーンの山本をしたってていた翼(磯村勇斗)と、山本の娘・彩とのシーンでは思わず涙してしまいました。何もかも失ってしまった山本の最後の台詞「ごめんなぁ~っっ」は、胸に刺さります。
久しぶりの投稿で興奮して長文になり(^.^)ご(-.-)め(__)ん(-。-)ね(^.^) 許してください。


by eddy-web | 2021-02-03 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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