いまのサブカルブームの先駆者と言っても過言では無いのが、グリコのおまけからはじまった、製菓メーカーが発売したアニメ主人公のシール付きお菓子。当時の子どもたちはこぞってシール集めに夢中になり、筆箱や下敷きに貼っては友だちに自慢をした。買ったお菓子には目もくれず、ひたすらおまけ集めをした子どもも少なくないはず・・・。
シールと言えばマーブルチョコに付いていたアトムシールが、みんなの心をつかんだのは言うまでも無い。その後シールからマジックプリントへと、姿を変え長い間ファンのこころに残っている時代を象徴するおまけアイテム。そんな時代の中、珍しかったのが丸美屋の「のりたま」(ふりかけ)に付いていた8マンシール。お菓子ではなくふりかけってところがたまらない・・・。8マンは「週間少年マガジン」に掲載されたSF漫画で、のちにアニメ化され一大ブームを巻き起こした作品である。1963年から放映が開始されあっという間に子どもたちのこころを掴み大ヒット。わたしもその魅力にすっかり虜になってしまったもののひとり。そして当時TVアニメ「8マン」のスポンサーだったのが丸美屋。ふりかけ「のりたま」のおまけに付いていたのが、今回紹介する「8マンシール」。8マンは鉄腕アトムが少年ヒーローとすると、ちょっと大人に憧れを持ち始める頃にすっと入ってきたスマートでカッコいい正義の味方。普段は頼りない大人(私立探偵・東八郎)が、いざ事件が起こるとスーパーロボット8マンに変身し活躍するという変身ものの先駆けである。今でも当時子どもだったひとたちにとっては、紛れもない昭和を代表するレジェンドヒーローのひとり。当時人気だった「鉄腕アトム」を超えるロボット漫画をという少年マガジン社が、珍しいコンペ形式をとり桑田次郎(二郎)氏を選んだとのこと(原作・平井和正)。残念な知らせだが、つい先日(7月2日)その桑田氏が85歳で永眠されました。また、ひとり偉大な漫画家がこの世を去り、昭和が本当の終わりに近づいています。氏のシャープでスマートなタッチは、当時他の漫画家には無い美しい画風で大好きでした。無駄の無い線の流れは、これぞプロと思わせるもので、今観ても洗練されていてなかなかこのような画風の作家さんには巡り会うことがない。謹んでご冥福をお祈り致します。合掌。
P.S. 余談だが「8マン」は、SFアニメの金字塔であると同時にいろいろな話題を残した作品でもある。余りイイ話はなくアニメの主題歌(当時皆が口ずさんだ、「光る海、光る大空、光~~る大地」)を歌っていた歌手(克美しげる)が殺人事件を起したり、桑田次郎氏が拳銃不法所持で捕まったりと・・・。何かとお騒がせなニュースで世間を騒がせたのも事実である。それでもわたしたちにとっての「8マン」は、正真正銘正義の味方に変わりは無いのです。最終話で宿敵デーモン博士と共闘し、超人類ミュータントとの死力を尽くした戦いは、いまでもはっきりと記憶に残っています。まさに名作と言える作品です。
★別のお宝ポスター
桑田次郎先生のもう一つの代表作“月光仮面”のポスター(雑誌プレイコミック付録)