
BLOGカテゴリの中で、一番書き込みが少ないのが「風来紀行」。コロナ禍自粛のせいではなく、外に出ていないので話もないのが現状。
そこで思いついたのが、昔日本中を走り回った自転車旅の話。基本ひとりが好きなわたしは、20代の後半から数年かけ夏休みを取り、自転車で日本中を旅した思い出がある。北海道からはじまり、四国、九州、そして本州。
いまNHK・BSTVで火野正平さんがやっている
「こころ旅」という番組にはまっている。なぜかは上記に記した過去があり、その思い出が番組と重なるからである。つい先日、たまたま佐渡の旅が写し出され、そのルートがまさに自身が辿った風景と重なり何とも言えない高揚感が蘇った。

そこでいまから16年前、50歳の記念に娘と行った佐渡周遊の自転車復活旅の話をひとつ。ひとり旅での経験が、自分の人生において大きな力になっていると自負しているわたし。その気持ちを伝えたく、娘(当時9歳)をつれ佐渡ケ島一周への旅に出た。普段忙しさに流され、いっしょにいられないこどもへの懺悔のつもりで出発したのだが・・・。
予定は組まずに行くのが流儀のわたしは、行き当たりばったりの風来旅がお気に入り。そんな旅に娘を連れ出すなんてと、普通のひとならみなきっと思うだろう。勝手ですが楽しい旅はもともと好みでなく、自然の中に溶け込み自身が生きていること生かされていること、そんなことを娘に感じて欲しいと思った旅でした。なれない旅に娘はさぞ困惑したに違いありません。強い海風に煽られ、漕いでも漕いでも前に進まない自転車。上れど上れど頂上に達しない上り坂。容赦なく照りつける強い夏の太陽。そのどれもがこれでもかこれでもかと降り注ぐ・・・。そんな中、娘に「頑張れ!頑張れ!!」と声をかけ佐渡を駆抜けたあの夏の日。結局旅は予定の半分も達成出来ず、東京への帰還と相成った。それでも二人でたらい船に乗ったり、その海で泳いだり・・・。いまもわたしには、大切な宝物の思い出。娘は東京に帰るなり、よっぽど辛かったのかもう二度と旅など行きたくないと言い、いまでもことあるごとにわたしをいじめます。あれから16年、娘はパティシエの道をひとりひた走っています。